朝倉慶著『もうこれは世界大恐慌 超インフレの時代にこう備えよ!』(徳間書店刊)をご紹介します。
いま当面の差し迫った問題は、緊迫の度を深めるイランをめぐる中東情勢とギリシャの財政問題に端を発した欧州の経済情勢でしょう。特に、イランと欧米の対立は、下手をすると大戦争に発展する危険性を孕んでいます。目が離せません。
そして、ギリシャの財政破綻は、もう時間の問題です。それが欧州各国に飛び火し、負の連鎖のスパイラルが始まろうとしています。ギリシャ国債が債務不履行を起こせば、即座にフランスの3大銀行、すなわちBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルが破綻するといわれています。ギリシャ国債を大量に保有しているからです。
そうなると問題は欧州だけにとどまりません。
即座にアメリカに飛び火します。
副島隆彦氏によると、上記フランスの3大銀行に対してCDS保険金の支払い義務が、アメリカの大銀行に2000億ドル(16兆円)あるといいます。シティバンク、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどが売ったようです。金融小型核爆弾の炸裂です。
これでアメリカとヨーロッパは一蓮托生となり、世界経済は大波乱となります。
そのとき、日本はどうなるのでしょうか。
日本の国家財政も火の車です。
大打撃を受けるのは必至です。
ここで、朝倉慶さんの同書の「まえがき」を次に引用します。
―――2001年の9・11同時多発テロ、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と、21世紀に入って驚くような事件、出来事が相次いでいます。そしていよいよ2012年にはこれらの出来事を凌ぐ、人類史における大変化が我々の上に降りかかってくるのです。
なぜ、そんな事態が起こってくるのか? この本では様々な視点から現在の世界、並びに日本における問題点をあぶり出し、それがもうどうにもならないところにきていることを解き明かしていきます。
まずは中東情勢です。
平和ボケしている日本人にはピンときませんが、イランの核開発が秒読み段階にきたいま、火薬庫と呼ばれるこの地域は平穏無事でいられるのでしょうか? 自らの生存権を脅かすイランの行動に、イスラエルは黙っているのでしょうか? 折りしも英国とイランの関係が国家断絶に近いところまで悪化し、欧米各国は一斉にイランに激しい非難を開始しました。火種は大きく拡大していきます。
一方、ユーロ崩壊はもう目の前です。元々異なった国家が同じ通過を保有するというところに無理があるのです。ユーロ圏では経済好調のドイツの一人勝ち状態で、南欧諸国の経済は相次ぐ財政再建の要請に疲弊する一方です。若年者の失業率がスペインでは46%という有様です。
そして域内の国債価格の値段の下落(金利上昇)が止まらなくなってきています。ユーロ圏各国は不毛な会議を繰り返していますが、何も決まらず、一向に諸問題を解決するための資金の目途も立たず、システムの構築もまったくできていません。いよいよ市場から暴力的なユーロの空中分解が起こってくるでしょう。
また世界を覆う金融の肥大化、そして闇は広がる一方です。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれる倒産保険が世界中で取引されています。日本の数値は1.3%、日本の破綻確率は6.5%です。ユーロ圏の中核国の一つフランスは、CDSの数値が2%、破綻確率は1割を超えます。そしてギリシャに至っては破綻確率が98%で、ギリシャは金融の世界では国としての体をなしていないのです。なぜ実質破綻している国家が破綻認定されないのでしょうか? 破綻確率98%などというのは、数字の遊びなのでしょうか?
日本の財政はどうなるのでしょう?
税収38兆円で約100兆円の予算を組み、累積債務が1000兆円を超えました。完全に持続不能、財政破綻は必至でしょう。なぜ日本国債の相場は安定しているのか? 金利の急上昇、国債暴落はいつ来るのか? 財務省のギリギリの攻防と金融機関の思惑、知られざる日本国債の相場の裏のからくりに迫ってみました。
そしてオリンパス事件です。
20年も粉飾を行っていたとは! 日本中が驚きました。しかしバブル期に大損したなどという話は山のようにあったのです。この粉飾はオリンパス特有のことなのでしょうか? オリンパスが使ったタックスへイブン、バージン諸島、ケイマン諸島には何がどのくらい隠されているのでしょうか? 日本のバブル期の100倍のスケールと言われたリーマンショックのあと、巧みに封印され隠されてきた欧米金融機関の膨大な不良債権も、やはりこれらタックスへイブンに眠っているのでしょうか? ジェットコースターのように激しく上下したオリンパス株は、どこが売ってどこが買ったのでしょうか? なぜあれほどまでに上下に動いたのでしょうか?裏に何かあるのでしょうか?
すべての矛盾が複合的に絡み合っています。
様々な点が線に結ばれる時、いよいよ「資本主義」という世界の屋台骨が怒涛のごとく崩れ去るのです。
恐ろしくも激しい、そして驚愕するような大変化のドラマが始まろうとしています。
2011年12月10日
朝倉 慶 ―――
本書とこのブログでも取り上げました次の書籍も、是非併せてお読み下さい。
今後の世界情勢がどのように展開していくのか、その大要がつかめるものと思います。
〇 『「金ドル体制」の終わり』 詳伝社 副島隆彦著
○ 『メルトダウンする世界経済』 イースト・プレス ベンジャミン・フルフォード著
○ 『ファイナル・クラッシュ』 朝日新聞社 石角莞爾著
以上
いま当面の差し迫った問題は、緊迫の度を深めるイランをめぐる中東情勢とギリシャの財政問題に端を発した欧州の経済情勢でしょう。特に、イランと欧米の対立は、下手をすると大戦争に発展する危険性を孕んでいます。目が離せません。
そして、ギリシャの財政破綻は、もう時間の問題です。それが欧州各国に飛び火し、負の連鎖のスパイラルが始まろうとしています。ギリシャ国債が債務不履行を起こせば、即座にフランスの3大銀行、すなわちBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルが破綻するといわれています。ギリシャ国債を大量に保有しているからです。
そうなると問題は欧州だけにとどまりません。
即座にアメリカに飛び火します。
副島隆彦氏によると、上記フランスの3大銀行に対してCDS保険金の支払い義務が、アメリカの大銀行に2000億ドル(16兆円)あるといいます。シティバンク、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどが売ったようです。金融小型核爆弾の炸裂です。
これでアメリカとヨーロッパは一蓮托生となり、世界経済は大波乱となります。
そのとき、日本はどうなるのでしょうか。
日本の国家財政も火の車です。
大打撃を受けるのは必至です。
ここで、朝倉慶さんの同書の「まえがき」を次に引用します。
―――2001年の9・11同時多発テロ、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と、21世紀に入って驚くような事件、出来事が相次いでいます。そしていよいよ2012年にはこれらの出来事を凌ぐ、人類史における大変化が我々の上に降りかかってくるのです。
なぜ、そんな事態が起こってくるのか? この本では様々な視点から現在の世界、並びに日本における問題点をあぶり出し、それがもうどうにもならないところにきていることを解き明かしていきます。
まずは中東情勢です。
平和ボケしている日本人にはピンときませんが、イランの核開発が秒読み段階にきたいま、火薬庫と呼ばれるこの地域は平穏無事でいられるのでしょうか? 自らの生存権を脅かすイランの行動に、イスラエルは黙っているのでしょうか? 折りしも英国とイランの関係が国家断絶に近いところまで悪化し、欧米各国は一斉にイランに激しい非難を開始しました。火種は大きく拡大していきます。
一方、ユーロ崩壊はもう目の前です。元々異なった国家が同じ通過を保有するというところに無理があるのです。ユーロ圏では経済好調のドイツの一人勝ち状態で、南欧諸国の経済は相次ぐ財政再建の要請に疲弊する一方です。若年者の失業率がスペインでは46%という有様です。
そして域内の国債価格の値段の下落(金利上昇)が止まらなくなってきています。ユーロ圏各国は不毛な会議を繰り返していますが、何も決まらず、一向に諸問題を解決するための資金の目途も立たず、システムの構築もまったくできていません。いよいよ市場から暴力的なユーロの空中分解が起こってくるでしょう。
また世界を覆う金融の肥大化、そして闇は広がる一方です。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれる倒産保険が世界中で取引されています。日本の数値は1.3%、日本の破綻確率は6.5%です。ユーロ圏の中核国の一つフランスは、CDSの数値が2%、破綻確率は1割を超えます。そしてギリシャに至っては破綻確率が98%で、ギリシャは金融の世界では国としての体をなしていないのです。なぜ実質破綻している国家が破綻認定されないのでしょうか? 破綻確率98%などというのは、数字の遊びなのでしょうか?
日本の財政はどうなるのでしょう?
税収38兆円で約100兆円の予算を組み、累積債務が1000兆円を超えました。完全に持続不能、財政破綻は必至でしょう。なぜ日本国債の相場は安定しているのか? 金利の急上昇、国債暴落はいつ来るのか? 財務省のギリギリの攻防と金融機関の思惑、知られざる日本国債の相場の裏のからくりに迫ってみました。
そしてオリンパス事件です。
20年も粉飾を行っていたとは! 日本中が驚きました。しかしバブル期に大損したなどという話は山のようにあったのです。この粉飾はオリンパス特有のことなのでしょうか? オリンパスが使ったタックスへイブン、バージン諸島、ケイマン諸島には何がどのくらい隠されているのでしょうか? 日本のバブル期の100倍のスケールと言われたリーマンショックのあと、巧みに封印され隠されてきた欧米金融機関の膨大な不良債権も、やはりこれらタックスへイブンに眠っているのでしょうか? ジェットコースターのように激しく上下したオリンパス株は、どこが売ってどこが買ったのでしょうか? なぜあれほどまでに上下に動いたのでしょうか?裏に何かあるのでしょうか?
すべての矛盾が複合的に絡み合っています。
様々な点が線に結ばれる時、いよいよ「資本主義」という世界の屋台骨が怒涛のごとく崩れ去るのです。
恐ろしくも激しい、そして驚愕するような大変化のドラマが始まろうとしています。
2011年12月10日
朝倉 慶 ―――
本書とこのブログでも取り上げました次の書籍も、是非併せてお読み下さい。
今後の世界情勢がどのように展開していくのか、その大要がつかめるものと思います。
〇 『「金ドル体制」の終わり』 詳伝社 副島隆彦著
○ 『メルトダウンする世界経済』 イースト・プレス ベンジャミン・フルフォード著
○ 『ファイナル・クラッシュ』 朝日新聞社 石角莞爾著
以上
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