今回の記事は、過去に一度掲載しましたが、もう一度ご紹介します。
――「あの男が帰ってきた!」
いままで世界を牛耳ってきたアメリカの支配者たちは、恐れおののいています。
1990年代、彼らは「この世の春」を謳歌していました。
1991年12月、ソ連崩壊。一番の宿敵は、15の国に分裂してしまいました。
経済のライバル日本。
1980年代、世界最強だった日本経済。ところが、1990年代初めにバブル崩壊。「暗黒の20年」に突入していきます。
欧州。
欧州では、ソ連崩壊後、豊かな西欧が貧しい旧共産圏の東欧を救済するはめになり、苦しい状況。
中国は、まだ弱小国家で問題にならない。
ただ一国、アメリカだけは、「IT革命」による空前の好景気にわいていたのです。
かつてバブル時代の日本人がそうであったように、アメリカ国民も、「この繁栄は永遠に続く!」と確信していたのでした。
しかし……。
ソ連崩壊から20年。
ITバブルから10年。
世界は、なんと変わってしまったことか……。
2007年のサブプライム問題、2008年のリーマン・ショック、それに続く「100年に一度の大不況」。もはや世界の誰もが、ソ連崩壊後始まった「アメリカ一極時代」が終わったことを知っています。
問題は、「終わったのか? 終わっていないのか?」ではありません。
「なぜ終わったのか?」です。
普通の人たちは、こう答えるでしょう。
「そりゃああんた、アメリカは自滅したんだよ。だって、『100年に一度の大不況』の理由はアメリカの『住宅バブル崩壊』『サブプライムローン問題』『リーマン・ショック』などだといわれているじゃないか?」
確かにそのとおりです。
しかし、裏の歴史を知る人たちは、こういうでしょう。
「それもそうだけど、アメリカは没落させられたんだよ」
「…………誰に???」
「あの男にやられたんだ!」
「…………あの男???」
「プーチンさ!」
(以下、略)―――
2012年3月5日、プーチンはロシアの大統領選で再び再選されました。5月7日に正式に大統領に就任することになっています。
本書の前半では、プーチンが、いかにロシアの権力の頂点に上り詰めていったかを、面白く描いています。・・・・・・・
著者の北野幸伯(きたのよしのり)氏は、国際関係アナリストです。その経歴は、ロシアの外交官とFSB(元KGB)を専門に養成するロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学(MGIMO)(モスクワ大学と並ぶ超エリート大学)を日本人として初めて卒業。政治学博士。卒業と同時に、ロシア・カルムイキヤ自治共和国の大統領顧問に就任しています。ロシア通といっていいでしょう。
北野氏ご本人も次のように述べています。
――私は、20年以上モスクワに住み、この目で「ソ連崩壊」とその後の「地獄」、そして「復活」を見てきました。ですから、あなたに、ロシアで起こったこと、そしてプーチンが引き起こしたことの詳細を伝えることができるでしょう。本書を読み終えたとき、あなたの世界観は一変しているはずです。――
アメリカを牛耳る闇の政治権力と対等に渡り合える国際政治家としては、プーチンをおいてほかにいないでしょう。プーチンは、ロシア自立のために、既存の世界秩序に戦いを挑んでいるのです。
これは文字どおり「命がけ」の戦いだということは、ちょっと考えればわかります。イラクのフセイン、リビアのカダフィの例をみてもわかります。
プーチンは、もうじきロシア大統領に正式に就任します。プーチンは、どうやって目標を達成するのでしょうか。北野氏は、次のように予測しています。
●プーチンは、アメリカをさらに没落させる
●プーチンは、「ドル体制」をさらに崩壊させ、ルーブルを基軸通貨化させていく
●プーチンは、「中ロ同盟」の再強化をめざす
●プーチンはSCO(上海協力機構)の再強化をめざす
●プーチンは、「ブリックス」諸国との連携を深める
●プーチンは、「ユーラシア経済同盟」をつくる
(以下、略)――
以上