モルツーの日々@競馬と本と日本史他

本が好きな書店員(出版社営業部から書店員に出戻りました)。史跡巡りの写真を素敵に撮りたい。馬も好き。

読書記録2012年5月

2012年06月23日 | 書籍紹介と読書記録

私の中で、いよいよ有川浩ブーム到来。
「モルツーが読んだらきっとハマるハズ」と言われていたのをずっと読まずにいたのですがふと読んでみたくなり、まず『クジラの彼』をiPhoneで読んでまんまとハマりました。

ただ、25歳くらいまで平気でライトノベルを読み、35歳の最近でもラノベを買うことに全く抵抗がない私からすると、「コレが一般小説のカテゴリーに入ってなおかつ売れるなら、アレもアレもイケるだろ」と思う気持ちは抑えがたく。
少し以前の物になるけれど、例えば『三千世界の鴉を殺し』(津守時生/ウィングス文庫)とか『野望円舞曲』(田中芳樹・荻野目悠樹/徳間デュアル文庫)とか『でたまか』(鷹見一幸/角川スニーカー文庫)とか。

そういえば最近、魔術師オーフェンのシリーズを一般書籍の売場で見かけた気がします。
今後は『スレイヤーズ』とかも進出してきちゃったりするんじゃないか、なんてね。
とはいえ「剣と魔法」の世界観はやはりヲタク色が強く、「ラノベ」カテゴリーになっちゃうかもですね。
SFも、どちらかと言うとそれに近いか・・・。

とりあえず、有川浩を読んでると実写ドラマではなくアニメの映像しか浮かばず、コレが「一般の人」に受け入れられてる現状をみると「時代は変わったなぁ」と感慨を覚えずにはいられないのでした。


クジラの彼 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)

有川浩(著)
いきなりコレを読んでしまったので、「なんか同人誌みたい」と思ってしまった。
つまり、なにか本編があって、そのスピンオフであるカンジがしたのです。
しかも電子書籍で読んだので裏表紙の説明とかも読まないままだったので。
まさに、スピンオフ作品も収録されたものだったのですね。
ここから入ったことで、まずは「自衛隊三部作を読まねば!」と思ったのでした。
ちなみにこんな甘々作品・・・!私、けっこう好きです。


空の中 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川グループパブリッシング

有川浩(著)
文句無しに面白い。
SF好きなので、まさにツボ。
未知との遭遇譚に加えて少年の成長譚。
そして飛行機。
全ての娯楽小説の中でも「傑作」の一つだと思う。
「なにか面白い小説、無い?」と聞かれたら、まずコレを勧めようと思うくらいに。
(既読の可能性は高いけどもね)
序盤、ディックの姿が現れる瞬間は、映像が目に浮かんでその壮大さに鳥肌が立った。
本読んでて鳥肌立つなんて久しぶり。



海の底 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川グループパブリッシング

有川浩(著)
『クジラの彼』のあの人たちか!と、萌えた。
思いのほかヘビィな展開もあり、感情移入しまくり、のめり込んでイッキ読み。




三匹のおっさん (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

有川浩(著)
結局、少年が語り手になったなーと、途中、ふと思ったりしながら読んだ。
まだあまりキャラが完成してない気がするのですけどドウデスカ。
続編ではっちゃけてるのを期待。




塩の街 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)
塩の街―wish on my precious (電撃文庫)
クリエーター情報なし
メディアワークス

有川浩(著)
あー、覚えてるわこの表紙。と、電撃文庫版の表紙を見て思い出しました。
巻数が続いてるモノではないのに出版社オススメの印が付いてて不思議だったのです。
売れてるなら続編がバンバン出てくるのが定石なのに。
一般書の方へ行ってたのですね。納得です。
ただ、中身は確かに「電撃大賞」(ヲタク向けラノベ)の香りがぷんぷんと。
「上手な同人誌小説ってこんな感じダヨネー」と思わずにはいられませんでした。
どの登場人物の視点なのかの表現が不足したままストーリーが進むので読みづらかったですし、感情の説明が浅くて「登場人物が自分に酔ってるだけ」に見えることもしばしば。
まさに「発展途上の有川浩」を見る事ができて、興味深かったです。
「小説って目に見えない工夫がされてるものなんだなー」なんてことも見えたりして。
あとがきで著者自身が「(読み返したら体裁を整えたくなったが)拙いくせに、拙さを何とかごまかそうとすると成立しなくなるのです」と語ってらっしゃいました。
「恥ずかしいけど仕方ない!」というスタンスで角川文庫版を出されたのかなぁなどと垣間見えて、小説家ってタイヘンなんだなぁとか思ってみた次第です。
これだけを読んで「有川浩、大したことない」とは思わないで欲しいなと危惧。




阪急電車 (幻冬舎文庫)
クリエーター情報なし
幻冬舎

有川浩(著)
オシャレでした。
なんてゆーか。
あと、今のところ私の中で唯一「実写ドラマ」な映像で読める有川作品。
実際にドラマ化されているからという理由ではなくて、キャラクターのセリフとかにアニメ臭さが少なかった。
連作オムニバスだと思って読んでいったら、前の節で出てきた人がまた主人公になっていたりと、さすが有川浩、一筋縄ではいかないのねと、してやられた気分で小気味良かった。



図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)

有川浩(著)
「本を守る」だなんて、そりゃあさぞかし全国の書店員さんのハートをわしづかみにしたでしょうよ、と。
そして、元書店員の私のハートもまんまとわしづかまれました。
『海の底』のように戦闘シーンも多い作品かと思っていましたが、「学園モノ」と言うほうがしっくりくるかなと。
「戦闘」より、「登場人物達に日々起こる事件の数々」的な印象。
「男性が多い団体生活に混ざってる元気少女とその友人」という構図は、よくある少女漫画のパターン。
私は、『花ざかりの君たちへ』を連想。
コミック版が「LaLa」での連載なのも、しかるべきところに収まってる気がします。
主人公を取り巻く世界と恋の行方にそそられて、この後、まんまとイッキ読みです。

ゼッタイ面白いことは分かってたので、ツレの手術待ち時間に現実逃避するためのアイテムとして、読みかけの巻とその次を持って病院に行きました。
「もっと集中して読めるときに読んだほうがいいんじゃないの?」とツレには言われ、まぁ結果その通り、さすがに手術時間が長引いてくると集中できなくなっていきましたが、最初の数時間はコレのおかげであっという間に過ごせました。
将来あの手術を振り返ったときに毎回思い出す、思い出のシリーズとなりましたです。



以上、有川浩ばかりを読んでた5月。
全作品制覇したいと意気込んでおります。



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読書記録2012年4月

2012年06月23日 | 書籍紹介と読書記録

地震本から転じて、地名本へ。
「先生、」シリーズの新刊をジュンク堂さんで発見した時は歓声を上げてしまいました。

 

図説 歴史で読み解く!京都の地理 (青春新書インテリジェンス)
クリエーター情報なし
青春出版社

正井 泰夫
どうしても、地質や地震記録の話に注目しがちな具合で読みました。
京都盆地内の地質分布図はおもしろかった。





地名に隠された「東京津波」 (講談社プラスアルファ新書)
クリエーター情報なし
講談社

谷川 彰英
2012年1月発行。
もともとは「東京地名の読み物」の企画としてあったものを震災を受けて津波絡みの本にしたとのことで、地名についてのあれこれが詳しいですし、分かりやすく解説してありました。
とはいえ東京湾に津波が来るイメージは湧かないのですし、ここに挙げられた地名による考察は海を埋め立てて海岸線が遠くなってる現在、そのまま通用するのかどうかの考察がされてなかったのが残念ですが、東京は、たとえ津波は大丈夫でも河川氾濫や雨水処理のキャパシティ超えといった「水」絡みの防災に不安は多いわけで、そうなると、やはりここに挙げられている「水が来やすい・集まりやすい場所」は事前に知って、いざという時回避できるようにしておかないと怖いな、と思いました。
そもそも江戸時代までは、品川のあたりまで海だったわけですし。
飯田橋だって、震災のあの後しばらく海水の匂いがしてましたし。(津波で海水がお堀を遡上してたのではないかと思えてしまうのです。ラムラの地下なんて半年くらい立入禁止になってましたし。)

備えあれば憂い無し。
高低差を気にしつつ日常を暮らしたいと思います。



ブラック企業、世にはばかる (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社

蟹沢 孝夫
地に足ついた本でした。
もっと、ブラック企業をあげつらって「世の中、こんな企業もあるんですよー!」と騒ぐだけの本かと思って読み始めたのですが、消費者の立場でもちゃんと考えなきゃいけないな、と。
例えば。
安く買い物ができる背景には、安い賃金で働かされてる人がいる、とか。
どこかが犠牲になってるから商品を安く提供できているのだという視点、目からウロコな気分でした。
(ちょっと考えてみればそりゃそうだよな、と思うことなんですけどね。)
だから、「ブラック企業ケシカラン!」とわめく前にちょっと考えてみようよ、というカンジ。
ブラック企業はその経営者だけが悪いのではなく、もっと根深く、社会の構造に問題の根源があるようですよ、と。

予想以上に面白かった本でした。



先生、モモンガの風呂に入ってください!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学
クリエーター情報なし
築地書館

小林 朋道
出てました!新刊!
相変わらずかわゆい写真が表紙に。
鳥取・・・一度行ってみたいなぁと。


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読書記録2012年3月

2012年06月23日 | 書籍紹介と読書記録

久々に「読書記録」記事をば。
今年3月は、一周年てこともあって地震関連の本を引き続き読んでました。

中世の巨大地震 (歴史文化ライブラリー)
クリエーター情報なし
吉川弘文館

矢田 俊文 (著)




「通貨」を知れば世界が読める (PHPビジネス新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所

浜 矩子
確かに、分かりやすかった。
オビの著者写真だけみると「怖そうなオバサマ」だけど、「甘いもの通貨」の話の辺りが非常にツボ。



日本人はどんな大地震を経験してきたのか (平凡社新書)
クリエーター情報なし
平凡社

寒川旭

東日本大震災を受けて書かれたもの。
地質学を出発点として、考古学や文献史料から地震の歴史を探る「地震考古学」というジャンルを専門とされてるかたのようで、他著作に『秀吉を襲った大地震』(平凡社)というのもあり、こちらも気になるトコロ。

とりあえずこの本は、「我が家の保存本」に認定。
今後、何度も読み返したくなると思えるほど、題名の通りに「日本人がどんな大地震を経験してきたのか」がとても分かりやすくまとまっている上に、過去の日本人も今と同じように震災と闘って、助け合って乗り越えてきたのだなぁと思えてじんときた。
震災直後は炊き出しを行い、政府からの保障もなされて。
そして立ち直ってきたからこそ「今の日本」があるのだと思うと、まだ色々地震とか噴火とか怖いことが多いけど、日本人なら大丈夫じゃない?と思うことができた。
オススメの1冊です。



巨大地震―首都直下地震の被害・防災シミュレーション (角川oneテーマ21)
クリエーター情報なし
角川書店

地震減災プロジェクトチーム/坂 篤郎

東日本大震災前に書かれたもの。
(私が読んだのは震災後に重版されたものですが)
あの震災後、やや事情が変わってしまった点はあるが、逆に「まさにあの日、この通りだった!」と思うこともあり(特に、「帰宅困難者を出さないためには一定期間、学校や企業にとどまっておくことが被害の拡大を防ぐ」なんて、あれ以前に周知されてればあそこまでの混乱にはならなかったのではないかと思ったわけで)、事前の防災意識って大事だよな、と考えさせられることも多くて。
また、企業の事業継続計画に関する地震への備えについてにも言及していて、これは一般向けの新書としてはあまり見かけないテーマだったので新鮮でした。
情報のバックアップとか、地域と連携した防災とか。
震災前に書かれたものですが、今読むと、防災・減災の具体的対策がとても身に染みて、役立つように思われます。



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