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たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

名前にひかれて20年。ようやく行った真昼岳。

2010年06月13日 | 東北の山
◎2010年6月12日(土)

 真昼岳は和賀岳とともに、すごくいい名前の山だなと思っていた。飛躍し過ぎかもしれないが、古代の蝦夷(えみし)、阿倍野比羅夫、坂上田村麻呂を想起させる。共通項は岩手、秋田というだけのことで、それ以外の歴史的な背景は一切ないだろうが、ストレートな名前ながらも、何となく神秘的な響きがあり、山の名前を知って以来、ずっと行きたいと思っていた。10年前に北上のビジネスホテルに泊まり、余裕を持って真昼岳を探索するつもりでいたら、翌日は豪雨。ここまで来たからと、秋田まで出て墓参りをして帰って来た。5年前にも、木と関根の3人で台風とともに北上し、登山口でUターン。真昼温泉につかって、翌日に盛岡の姫神山に登って帰った。そして、昨年、I男を和賀岳に連れて行ったが、本音のところは真昼岳に行きたかった。ただ、行ってみたはいいが、つまらない山だったら、彼に悪いと思い、二百名山だったか三百名山として折り紙付きの和賀岳にした。こんな因縁を持ちながら、今回は4度目の挑戦となった。実は先週末に行くつもりでいたが、土曜日は天気も悪く、直前に中止し、順延していた。それを入れたら5度目となるか。

 金曜日、仕事が終わってから出発。新幹線を使って帰宅したものの、たいした時間の短縮にはならず、もたもたしていて家を出たのは20時15分。コンビニに寄ったりして、佐野ICから入ったのは21時15分。湯田ICまで450kmはある。こんな時間では、当夜中に走れる距離もたかが知れている。途中で晩ご飯も食べないといけない。岩手県までは何とか行き着きたいと思ったが、前沢SAに着いたのは1時。I男と去年来た時は、この時間、錦秋湖SAまで行けたのに。缶ビールを飲んで、さっさと寝る。高速道路のパーキングでアルコールを飲んでいいものかどうかは知らないが、酒無しで寝るのもつらい。

(登山口)

(吊り橋)


 寝起きはかなり不快だった。ほとんど寝ていない。5時半に目覚ましをセットしていたが、4時に起きた。寝汗でべっとり。洗顔したりトイレに行ったりで、時間をつぶし、湯田ICに向かう。今日は岩手側から入る。秋田側から入って、峰越林道(真昼岳林道?)を県境まで北上し、ここから歩けば、1時間少々の楽勝コースもあるらしいが、せっかくここまで来て、楽勝コースでは意味がないし、女神山も含めて歩いてもみたい。秋田側の善知鳥コースも考えたが、徒渉が何度かありそうでパス。また、秋田側から入ると、下山後に、きっと、秋田の知人やら親戚を訪ねもしたくなるだろう。すぐに帰る予定でいるから、これでは日程が1日足りない。必然的に、出発点は、以前、木らと登山口を見ただけの兎平登山口となった。真昼温泉前を通って、真昼岳林道を進む。登山口までは車で入れる。駐車場には仙台ナンバーの車が1台。もう出発した後のようだ。6時7分。登山者ノートに記帳して出発。先行者はもう1時間半前に出ている。ちょっと下って、吊り橋。この吊り橋がかかるのは時期的なものらしく、鉄索に金属板を置いただけの代物。バランスが悪くてかなり揺れる。ここで、いきなり大チョンボ。吊り橋の真ん中で写真を撮り、カメラを収納しようとして、橋が揺れた拍子にカメラを川に落としてしまった。あ~ぁとため息をつきながら、橋を戻り、川に入り、カメラを水からすくう。靴の中はもう水浸し。カメラもアウト。車に戻り、予備のカメラに取り替えて再出発。靴の交換は面倒で、もうそのままで歩くことにした。掲載の写真は2枚とも、水没カメラで撮った画像。(翌日、カメラをキタムラに持って行ったら、水没の場合は、買った方が安いと言われたが、見積もり待ち)

(飛龍の滝)

(ブナ林を行く)


 登山道は整備されている。枯葉に覆われて、分かりづらいところもあるが、朽ちかけた標示板があちこちにあり、テープも充実しているから迷うこともない。東北の山らしく、ブナの自然林。沢を1か所だけ渡る。ここで、今度は当人が水没。途中の石が滑って、片足にまた水を入れてしまい、さらに膝が泥んこに。悪いことは重なるものだ。ズボンも靴も既に濡れていたから、さほど気にもならない。ただ、足下がさらに不快になる。足裏が水でふやけているのが分かり、すこぶる気分が悪い。この先は気を引き締めて慎重にと。6時30分、右手に滝が見えてくる。「飛龍の滝」と書かれている。この辺は滝が多い。女神山の下にも白糸の滝がある。帰りはそれを見てみたい。開けた展望の一角がここだけ。ずっと、ブナ林の中をくねくねと歩く。特別な急登はない。フクロウの鳴き声が聞こえる。いい雰囲気。

(兎平下から女神山)

(兎平)

(分岐)


 林の中を歩くのがそろそろ飽きた頃、ようやく周りの展望が開けた。そして、「県境・兎平」の標示。7時15分。再歩き出しからほぼ1時間。花が目に付くようになった。ササを切り開いた登山道が続いている。「兎平」というのは、当初、この辺りのエリアを総称して呼ばれているのかなと思っていたが、この上にあるピークの山のことを言うらしい。ちょっと登れば到達出来そうなピークなのだが、先があるから、敢えて登ることはしなかった。登らずとも、この景観は素晴らしい。高原が広がっている。真昼岳方面は見えないが、左手・西南方向に三角錐状の女神山が望める。女神山はすぐに分かった。ちょっと遠そうだ。秋田県側に入り、10分も歩くと兎平分岐点。北に真昼岳2.1km、南に女神山2.5kmと記されている。そして、裏を見れば、西に善知鳥口3.2km、兎平0.4km。この辺りのササは枯れている。どうしてだろう。

(真昼岳のニセピーク。今見直すと、右肩の盛り上がりが真昼岳のようだ)

(女神山)

(フキの群生)


 ようやく真昼岳がササの間から見えて来た。なかなか雰囲気のいい山。期待通り。この時点では、素直にそう考えていた。実は、この見えていた山はニセ真昼岳。手前南側のピークで、本当の真昼岳はさらにその先にあり、このルート上からは見えない。尾根状の気持ちのいい歩きをしばらく楽しむ。風も涼しい。そういえば、さっきから、ずっとエゾハルゼミの鳴き声がすさまじい。大阪のクマゼミのような大きな鳴き音。ホトトギスにウグイス、カッコー。トッキョキョカキョクに似た鳴き声を久しぶりに聞いた。そしてフキの群生。いかにも東北の山らしい。

(山頂間近か?)

(ところが山頂はあれ)


 しばらく展望がなくなり、直下の上りに入った。ヤブを切り開いた道のためか、狭っ苦しい、トラバースしているような斜めの道を登る。腰をかがめて歩くスタイルになる。急になり、やがて鉄の鎖。使う程のこともないが。次第に暑くもなり、手拭いはもう汗でしぼれるくらいになっている。これは体調のせいかも。寝不足で、決して快適な体調とは思えない。身体も重く感じる。足の不快感にはもう慣れてしまった。上が開け、ようやく、山頂と思ったが、山頂特有の景色がない。正面を見ると、まだ先があった。一旦下り、その先に、丸い感じの山がある。上には小屋。ここでようやく、ニセ真昼岳の存在に気付く。

(山頂)


 下って来るサングラスの方がいる。こちらに下りて来るということは、もしかして、先行の方だろうか。山頂には4~5人いるとか。山頂に着いたのは8時25分。登山口から2時間5分。2人いた。話を聞けば、楽勝ルートからのようだ。いろいろと、兎平方面の様子を聞かれる。狭い山頂。さらに狭くしているのが小屋。小屋を開けると、神社になっている。お参りする。空が霞んで、遠望は聞かない。展望盤と合わせても、よく見えない。西の一角に横手盆地が見え、田園風景が広がっているのは分かる。和賀岳くらいは確認したかったが残念。展望の良さなら和賀岳だろうな。しかも広い。ここで一服。2人はご夫婦のようだが、奥さんが咳き込んだ。オレのタバコかなと思ったが、蚊取り線香を腰につけている。こんな時期に蚊取り線香とは思ったが、人それぞれの体質だろうし、とやかく言う立場でもない。楽勝コースから、単独がやって来た。尾根歩きが続くようだし、短時間ながらもいいコースかもしれない。

(ニセ真昼方面)

(女神山に向かう)


 おにぎりとパンを食べて下山。山頂は良くなかった。ササがあって、北側の眺望は×印だった。これから女神山。やけに遠く感じるのだが。急坂を下る。ここで、腹に異変を感じる。昨夜の阿武隈ラーメンかなぁ。この急な下りでは適当な場所も見つけられない。鞍部まで我慢する。何とか持ってくれた。あわててヤブに入る。ほっとしてまた歩き出す。気温がどんどん高くなり、汗もダラダラと流れてくる。9時40分、兎平分岐。もう、行けるところまで行ってみるかといった気分になってしまった。この先、アップダウンが多く、上り、下りともにすこぶる長く、日陰もなくなってしまった。花の風景はますます広がる。あまり歩かれないのに、道はしっかりとしている。最近、刈られたばかりのようだ。

(エゾハルゼミ)

(女神山山頂)

(左肩の小さなポツンが真昼岳)


 山頂直下に到着。真昼岳よりもきつい感じがする。ここまで来たら、引き返すのも出来ない心境になっているが、体力が伴わない。休み休み、登る。水も大量に摂取。この暑さで、かなりぬるくなっている。間もなく山頂という所で、展望のいい一角があり、真昼岳を望むと、ニセ真昼岳の左に、ちんまりと真昼岳が見えた。ちょっとだまされた気分になってしまった。10時45分、女神山到着。だれもいない。切り開いただけの。斜めになった山頂。三角点を確認。長居はできない。日よけスポットがなく、とにかく暑い。一服しただけで早々に下山。さて、しばらく下ったが、さっきの展望スポットに出ない。変だなと思っていたら、反対側の白糸の滝方面に向かっていた。あ~ぁと、再び山頂に。また汗がポタポタ。

(さっきよりも色づいた感じ)


 兎平分岐まで、とにかく長く感じた。上り部分の歩きの時間が長い。木陰を見つけては休むの繰り返し。11時45分、分岐。ほっとして下る。花の色がさらに鮮やかになった。せっかくだから楽しみたいところだが、早いところ、林の中に入ってしまいたい。とてつもなく暑い。足の裏にはマメが出来たような気配。両足ともに痛い。靴はいつもの靴だし、考えられることといえば、水を吸い込んだ靴下が中でよじれて、固まりになった部分が、足の裏にあたって悪影響を及ぼしているのだろうか。

(間もなく到着)


 林の中に入ってほっとした。風も気持ちが良く流れてくる。滝をまた眺め、転倒した沢も今度は難なくクリア。吊り橋を渡り、駐車場に着いたのは12時40分。一番の車は消え、自分の車以外に5台増えている。真昼岳直下で行き会った方以外にはだれとも会わなかったから、皆さん、自分が女神山を四苦八苦して歩いている頃に、兎平と真昼岳のルート上を歩いていたのだろう。靴を脱いだら、やはり足はふやけ、マメだらけになっていた。

 通行止めと思っていたこの先の林道から岩手ナンバーのジムニーが下りてきた。関係者かなと思っていたら、車を降りたオッサンがオレに道を尋ねた。真昼大滝に行きたいが、どうやって行けばいいのか?ということだった。手にはイラストのマップを持っている。あっ、このマップいいなと思った。できればオレも欲しい。どこでゲットしたのだろう。地元の沢内観光協会で発行しているものらしい。このオッサンは滝が好きで、滝の写真を撮り歩いているそうで、真昼大滝に行きたく、この林道を北に向かってみたが、途中で雪があって進めず、Uターンして来たのだそうだ。Uターンした場所を聞くと、かなり行き過ぎている感じ。手持ちの25000分の1地形図とオッサンの観光マップを照らし合わせると、滝は小松倉沢から分岐する真昼本沢にあるようだ。観光マップに出ているくらいだから、分岐から道が付いているんじゃないですかと言っている間に、今度は軽トラの地元のご夫婦が上がってきた。オッサンをこの方々に預けたが、どうも釈然としない感じでまた北上して行った。このオッサン、ゴム長にスパッツを付けていたが、スパッツはかなり泥んこになっていた。ヤブをこいで滝を探したと言っていたが、かなりひどいところを歩いたみたいだった。

 軽トラのご夫婦に、どこかいい温泉が近くにないかと尋ねた。帰り道なら沢内バーデンの湯がいいのじゃないかということだった。以前、寄ったことのある温泉のことを聞くと、「ナンモ、アソコダバエグネ」というご返答。推薦に従って沢内バーデンに寄る。もう、白糸の滝見物に歩く気分は無くなってしまった。入浴料は300円。これで、シャンプーも石鹸も使い放題。熱めの湯。浴室は広く、客は他に2人だけ。露天の風通しもいい。隣の露天にもだれかが入っている。こんな時木ならどういった行動にでるのだろうかと思い、ニヤッとしてしまった。彼は東北に足を向けると行動が大胆になる。湯上がりの昼飯には山菜ソバ。軽い物にしないと、絶対に眠くなる。ビールはよだれが出るくらいに飲みたかったが、我慢した。まさに葛藤だね。フロントには例のイラストマップが置かれていた。今さらながらもいただいた。温泉を出て帰途に着く。風呂に入ったお陰で、やたらと汗が出る。途中、仮眠し、宇都宮で事故渋滞にあいながらも20時半に帰宅。かなりクタクタ。

 さて、肝心の真昼岳。山頂そのものは地味なものでしかなかったが、この山域の風情、雰囲気は最高に良かった。ようやく登れただけの価値は十分にあった。このままの延長で、今度は久方ぶりの森吉山かな。

(出会った花の数々)




















以上

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2 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2010-06-13 20:13:08
こんばんは。

ずいぶん遠いところまで行きましたねぇ~。
真昼岳は名前だけしか知りませんでした。写真を拝見する限り、楽園的様相に見えます。下部のブナと上部の草原は、おいらの理想のパターンです。
随分体調が悪かったようですね。腹のユルイおいらは、野○○をかなりの頻度でしています。普通の人にとっては大変でしょう。
カメラは、残念でした。こちらも同様の体験あり。屋久島の初日に池ポチャ。予備のカメラなしで、3日間を過ごしました。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-06-13 22:00:15
こんばんは。
ぶなじろうさんも、真昼岳の名前だけは知っていましたか。まさに、ブナ林を過ぎての上部は高山地帯の風景でした。東北には多い、山の形相の典型でした。
別に体調が悪いとかではなく、暑さに弱いだけの話ですよ。睡眠不足を引き合いに出したりしていますけど、たっぷり睡眠をとったりしても同じでしょう。スタミナ配分にも問題があると思いますが。
さて、カメラの件、ぶなじろうさんも同経験有りですか。うれしいお話ですね。私の場合、車移動でしたから、車の中には、ごった煮で何でも詰め込んでありますし、代替の算段に悩むこともありませんでした。しかし、痛い話です。きっと、下取り1,000円の始末でしょうね。
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