◎2024年4月17日(水)
名草巨石群入口駐車場(9:48)……厳島神社(10:06)……林道入山線(10:13)……ダルマ杉峠(10:42)……送電鉄塔(10:57)……反射板(11:14)……赤雪山(11:40~11:55)……ダルマ杉峠(12:42)……厳島神社上(13:06)……駐車場(13:18)
一か月以上新しいブログ記事を出していなかった。その間、山歩きをしていないわけではない。足利の、ハイカーも稀な地味な山を何度か歩いていたし、皆野町の蓑山(美の山)にも行った。ただ、いずれもブログ記事にするほどの歩きではなかった。正直のところ、そんなレベルの山行に、文章を作ったり写真選びに手間をかける面倒くささがあった。せいぜい収穫といえば、先月の13日に登った前回記事の大坊山から外れて寄った天道山からの下り道を発見したことか。そして、短区間ながらも、蓑山をあまり歩かれていないらしい古道コースで登ってみた程度のものだろう。前者は、天満宮(とはいっても鳥居のある小さな社)から入山する往時の参拝コースが落葉にすっかり埋もれて見えなかっただけのことで、天道山分岐のテープに<その先×>と記された人は、地元の方だとしたら失礼にあたるかもしれないが、この辺の地理、事情には不案内なのだろう。
天気の良い休みの日は花見ばかりをしていた。熊谷の桜堤、蓑山の山頂広場、東秩父村の虎山千本桜、ついでにすでに終わっていた花桃の郷。これにはがっかりした。無人の駐車場のボックスに、公園整備・管理料の300円を入れ、かなり上まで登ったのに、見たのは桜と遅れ咲きの花桃数本だけで、しかも宅地の中を遠くから。桃源郷はすでに閉ざされ、暑さもあって、歩き疲れただけだった。300円は喜捨にもならなかった。そして地元の菅塩沼の花見。
手頃な低山のアカヤシオはこれからとばかりに思っていたが、花見にうつつを抜かしている間に、どんどん花を落としていたようだ。今回、赤雪山山頂の休憩舎に置かれた雑記帳には、13日に仙人ヶ岳から歩かれた方が「アカヤシオが満開で楽しめた」と記されていた。その日は虎山の千本桜見物に行っていた。
名草の巨石群は、両崖山から行道山方面に歩けば、随所の標識に出ている。かつて、それもかなり以前のことだろうが、行ったことがあるような気はするが確証は持てない。登山記録ならメモ程度に残すが、ドライブがてらのちょい歩きで行っていたら何も残らないし、デジカメならともかく、紙焼きの古い写真だとしたらすでになく、そもそも写真撮りに興味もなかったから、撮ったものやらどうだか。
そろそろ足利の山も間を置きたいと、けじめがてらに巨石群を物見遊山として見に行くことにしたが、これだけでは寂しいし、山歩きも加えたい。調べると、名草上町から赤雪山、仙人ヶ岳に行けるようだ。そのコースは、織姫神社から名草巨石群までの「やまなみの道」にさらに続く仙人ヶ岳への延長線に合流して歩く形になる。まともに歩けば距離があり過ぎで、織姫神社はおろか、途中の浄因寺からでも自分には無理のようだし、省略して名草から仙人ヶ岳まで行ったとしても、周回にすれば、その帰路の車道歩きが長くなる。とりあえずは赤雪山まで行ってから、その先は考えることにする。路線は違うが、あしバスアッシーを使えば、自分とて大周回も可能かもしれないが、少ない本数のバス頼りは気にそぐわず、どうしても車利用でのコースを考えてしまう。
(厳島神社の鳥居。標識には巨石群まで0.4kmとあったが、感覚的には、神社までそれ以上だったし、巨石群はなお先だ)
(やまなみの道との合流…。正面から歩いてきた。右の道は浄因寺からの道になる)
(弁慶の割石)
(胎内くぐりの石、というよりも岩だ、左手に入口がある。くぐれば子宝恵みと軽いお産の効能があるらしい)
(この入口がどうも…。ストレートには記さない。子作りには後ろから…うやむや。猥褻な想像力だけは衰えない。我ながら感心する。余計なことだが、左下の切れ落ちた石が美観を損ねている気がしないでもない。左臀部の一部だとしたら接着してもらいたいものだ)
(厳島神社)
駐車場から厳島神社の鳥居は目の前だったが、その先が長い。小さな沢沿いの道だ。間もなく左からやまなみの道が合流する。標識には浄因寺まで8.3kmとある。やはり、往復16km以上となると、傾斜が緩やかだとしてもきつい。まだかまだかと思っているうちにようやく神社が見えてきた。道は左右に分岐するが、左道でまずは本殿におじゃまする。下には「弁慶の割石」と「胎内くぐり」の大石。義経の平泉への逃避行は日本海側を通ったはずで、ここに寄り道するはずはない。なぜか、最近は炭治郎の割石になっているようだ。岩の前に弁財天を置く胎内くぐり石は見ようによっては卑猥な感じがする。そんな気分でくぐったせいか、出る時に頭を岩にゴツンして、しばらく痛かった。
(先に行くと)
(これが名草巨石群)
(石祠が祀ってあった)
本殿にお参りして先に行く。両石ともに、どうも記憶の片隅にありそうだった。やはり来たことがあるのだろうか。橋を渡って行くと、先ほどの分岐右道に合流して山道歩きになった。そして巨石群。正式名称らしい「天然紀念物名草村ノ巨石群」(「記」ではなく「紀」)の碑があり、昭和14年に認定されたようだが、自分にはさほどの巨石には思えず、まだ先にもあるのかと思いきや、ここの一角だけだった。これでは記憶に残るはずもない。沢歩きをしていれば、これ以上の巨岩、巨石の風景はずっと続く。ここで、かつて来たことがあったかあやふやになってきた。来ていれば、「こんなものか…」といった負の印象は残っているはず。それが記憶からは出てこない。
いつもの余談で失礼。この昭和14年だが、鳥居に入って間もなく「日支事変記念基本金造成●(福?)林地」と刻された石碑があった。もったいぶっているようで恐縮だが、この日支事変を昭和12年の盧溝橋事件に端を発する日中戦争のこととするならば、2年後の天然物認定もまた何となく政治的なにおいがしてくるし、あるいは村興しの一環だったのかもしれない。あくまでも根拠のない想像だ。こんなのは全国どこにでもあろう。くだらないことを記した。
(林道に出た。ここからが地味な登りで少々きつかった。左の建屋は厠だ)
(林道歩き)
林道に出た。ここまでは車が入れるようで、行き違いに車から出て来たオッさんと出会った。あとは舗装林道をしばらく歩くようだ。赤雪山までは3kmの標識がある。この林道は「入山線」というらしい。どこの舗装林道とも違わず、クネクネでジワジワと上がっていく。途中で片手ストックを出したが、どういうものか、この林道を歩きながら息切れは収まった。なにせ、駐車場から林道合流までダラダラと150mの標高差があった。これしきで随分と弱くなったものだ。
(ここで林道歩きから解放される)
(ダルマ杉峠というらしいが、このダルマが「達磨」のことかは知らない。少なくとも、石仏やらは見かけなかった)
(階段を登って)
(尾根歩きになった)
(ヤマツツジが咲いていた。この時点で、もしかして、アカヤシオは終わりかなと思った)
(変哲のない最初のピーク)
林道を30分近く歩いてようやく赤雪山への取り付きに到着。赤雪山1.4kmを示す標識には手書きで「ダルマ杉峠」とある。つまり林道を1.6km歩いたことになる。上に朽ちかけた階段が続いている。傾斜はそれほどでもなさそうだ。
意外に長い階段を登ると尾根に出た。赤雪山まであとは尾根通しだろう。地図を確認すると、その間に三つほどのピークがあり、きつそうなのは三つ目から赤雪山への上りだ。尾根を緩く登ったところに一つ目のピーク。ここで少し生気を欠いた赤いヤマツツジを見かける。当初はツツジのことはまったく考慮に入れていなかった。巨石群から赤雪山に行くことだけが目的だったが、このツツジを見てから、もしかしたらアカヤシオに出会えるかもしれないといった期待が出てきた。ヤマツツジに関しては、ツボミ状態も多く、これからなのだろうか。普通、ヤマツツジが出るようになれば、アカヤシオは終盤になっている。
(標識は随所にあって、地図を持たなくとも歩ける)
(送電鉄塔)
(ミツバツツジ。アカヤシオではないだろう。トウゴクが頭につくのかオレにはどうでもいい)
(少しアップで)
送電鉄塔に到着。標識に合わせてカーブすると、今度はアカヤシオかと思いきや、どうもミツバツツジらしい。判断にちょっと迷ったが、薄ピンクの、明らかにアカヤシオである花は地面のそこかしこに落ちている。遅れてしまったようだ。桜よりもアカヤシオに気を遣うべきだった。今季はすっぽりと頭から抜けていた。点在するヤマザクラもまた、見頃はとうに過ぎている。
(この辺は緩やかで歩きやすい)
(これは明らかにミツバツツジ)
(これはアカヤシオだろう)
(これも、上に行くに連れて花数が少なくなっていく)
次のピークに向かう途中はミツバツツジが主流だ。とはいってもツツジ回廊ではなくポツラ、ポツラだが、その中にようやくアカヤシオを見つけた。これは落ちた花ではなく、枝にしっかりと付いている。陽があたっているのに生き生きとしていないのは、やはり終わりかけということだろう。現に、このアカヤシオも、地面に落ちている花の方が多い。せめて一週間前に巨石群に行くことを思いついていたら、思わぬ開花に出会えたかもしれない。
(反射板)
(赤雪山かと思ったが違っていた)
(しばらくなかったが復活。こうなるとミツバかアカヤシオかわからなくなる)
(ヤマツツジだけは明瞭)
(せっかくのアカヤシオも、深い斜面では近づけない)
(一週間前なら盛りだったろうに)
(ヤマザクラも葉桜になりつつある)
また鉄塔のあるピークだった。ただ、送電線はない。地図を見ても、送電線が走っているのはさっきのところだけだ。反射板だった。銘板には「松田川ダム反射板鉄塔」とある。正面右寄りにピークが見える。あれが赤雪山かと思ったが、地図を見れば三番目のピークで赤雪山はさらにその先のようだ。
ミツバツツジが続き、またヤマツツジが復活。その合い間にかろうじてアカヤシオ。アカヤシオは寂しいが、殺風景な景色の中を黙々と歩いているよりも、色づいたツツジを見、そしてアカヤシオを探しながら歩いているだけでも楽しいものがある。咲き具合、散り具合はだいたいわかった。この先への期待は持つまい。アカヤシオ目的の山行だったら、つぶさに状況を調べ、確実に楽しめそうな山に行っている。三つ目のピークは知らぬ間に過ぎていた。
(ここが破線路との合流と思った)
(あまり利用客がいる様子はない。林の中を黙々と登るコースだろう)
鞍部に下ると、赤雪山0.2kmと合わせ、南に向けて「駐車場1.1km」の標識があった。松田川ダムの駐車場のことだろうが、地図上の破線路にあたるのか、そこを歩いたことはない。ダムから赤雪山に登った時には尾根伝いに明瞭な道を直登しているし、見下ろせば、薄暗い植林の中の細い道になっている。ただ、これが破線路だとすれば、地図ではここを横切るはずだが、尾根を右手に突っ切って下る道は見えない。どうも、この辺は地図通りではないようだ。あとでGPS軌跡をカシミールで確認すると、この標識を通過する時点では、破線路はすでに過ぎていた。実際にあったかも怪しい。標識もなかったし。
(ラストの登り。わかりづらいが、結構長い急坂になっている)
(直登ではなく、曲がりくねった道になっているので助かる)
(見下ろす)
(坂で見かけた唯一の花)
鞍部から見上げる。ここを登るの? といった圧迫感。これまでよりも急な坂が、上が見えないほどに続いている。晃石山唯一の急登、駒形石のあるあの坂をなぜかすぐに思い出したが、あんなものではない。うんざりする。前にも後ろにもだれも歩いていない。それだけでも救いだ。山頂までのこの区間、ツツジはなかった。残り少ないヤマザクラが傍らにあっただけ。何度も立ち休みを繰り返し、東屋の屋根が見えた時にはほっとした。
(赤雪山の山頂に到着。汗をかいた)
(仙人ヶ岳方面に行ってみたが、花は見かけなかった)
(赤雪山からの展望はこんなもの)
山頂にはだれもいない。見上げれば、出発時の青空の半分は消えている。風もなく、のどかに鳥のさえずりが聞こえる。腹が空いているわけでもないので、水を飲み、東屋に入って、冒頭に記した雑記帳をながめていた。そこにアカヤシオ云々の記載があった。さてどうしよう。仙人ヶ岳に行くには、標識ではさらに4.2kmとある。これにはたじろいだ。長い林道歩きを避けるなら、ここに戻るまで8.4kmの距離になる。これはきつい。仙人ヶ岳まではいくつかのピークがあったとしても、赤雪山よりも40m高いに過ぎない。楽とはいえないが、さして苦痛は感じない歩きだということは、これまでの体験で知ってはいる。
途中までならどうだろう。アカヤシオを見られるに越したことはないが、ここまでの鞍部からの上りにツツジを見ることはなかった。200mほど先に行ってみた。緩い下りになって鞍部。その間、茶系以外の色彩はなかった。赤雪山に戻る。ツツジ目的で登って来ていたら、ガツガツとアカヤシオを求めて先まで行ったかもしれない。今回はこれで良しとしよう。
(下るとする)
(いや~な空になっていた)
(ツツジを見ながらの下り1)
(同じく2)
(同じく3)
(同じく4)
(これだもんね)
(最後のミツバ)
(最後のヤマツツジ)
下山にかかる。今回はあっけないピストン歩きだから、往路時の様子にさして加えるものはない。同じツツジと落ちたアカヤシオの花を見ては、登り下りを繰り返す。特記するとすれば、トレランの方と出会ったこと、反射板に近づくと、見上げる空が黒くなっていたことだろう。一雨降るかと気になったが、黒い雲も間もなく消えていった。
(林道に出た)
(林道下り)
(これはひどいね。行政もこれには手をつけられまい。夜間に閉鎖すれば少しは違うと思うが)
(こんなところにと思ったが)
(確かにあんなのが直撃したらひとたまりもない)
(再び巨石群)
(往路とは違った道を選んだが、何もなかった)
(不安定な斜面に置かれた石灯篭)
ダルマ杉峠に到着。車が一台。外でオッさんがタバコを吸っていた。この先の林道歩きは下り調だったため、すこぶる快適に感じた。そして巨石群に到着。今度は神社を上から見る分岐の道を歩いてみた。もしかすれば、他にも巨石があるかもと思ったからだが、それはない、ただの杉林の道だった。
(鳥居をくぐって)
(駐車場に戻った。満足感はあまりなかった)
駐車場に到着。かなり暑くなっている。出発から3時間半か。これとて、時間がかかり過ぎだろう。ともあれ、ここのところ、こんな短時間歩きばかりが続いている。年相応の体力からすれば手頃だろうが、毎回、物足りない、半端な気分で終わっている。少しは長い歩きをしたいが、起伏があり過ぎというのも考えものだ。今さら、身体を酷使するような歩きでもないだろう。
名草巨石群入口駐車場(9:48)……厳島神社(10:06)……林道入山線(10:13)……ダルマ杉峠(10:42)……送電鉄塔(10:57)……反射板(11:14)……赤雪山(11:40~11:55)……ダルマ杉峠(12:42)……厳島神社上(13:06)……駐車場(13:18)
一か月以上新しいブログ記事を出していなかった。その間、山歩きをしていないわけではない。足利の、ハイカーも稀な地味な山を何度か歩いていたし、皆野町の蓑山(美の山)にも行った。ただ、いずれもブログ記事にするほどの歩きではなかった。正直のところ、そんなレベルの山行に、文章を作ったり写真選びに手間をかける面倒くささがあった。せいぜい収穫といえば、先月の13日に登った前回記事の大坊山から外れて寄った天道山からの下り道を発見したことか。そして、短区間ながらも、蓑山をあまり歩かれていないらしい古道コースで登ってみた程度のものだろう。前者は、天満宮(とはいっても鳥居のある小さな社)から入山する往時の参拝コースが落葉にすっかり埋もれて見えなかっただけのことで、天道山分岐のテープに<その先×>と記された人は、地元の方だとしたら失礼にあたるかもしれないが、この辺の地理、事情には不案内なのだろう。
天気の良い休みの日は花見ばかりをしていた。熊谷の桜堤、蓑山の山頂広場、東秩父村の虎山千本桜、ついでにすでに終わっていた花桃の郷。これにはがっかりした。無人の駐車場のボックスに、公園整備・管理料の300円を入れ、かなり上まで登ったのに、見たのは桜と遅れ咲きの花桃数本だけで、しかも宅地の中を遠くから。桃源郷はすでに閉ざされ、暑さもあって、歩き疲れただけだった。300円は喜捨にもならなかった。そして地元の菅塩沼の花見。
手頃な低山のアカヤシオはこれからとばかりに思っていたが、花見にうつつを抜かしている間に、どんどん花を落としていたようだ。今回、赤雪山山頂の休憩舎に置かれた雑記帳には、13日に仙人ヶ岳から歩かれた方が「アカヤシオが満開で楽しめた」と記されていた。その日は虎山の千本桜見物に行っていた。
名草の巨石群は、両崖山から行道山方面に歩けば、随所の標識に出ている。かつて、それもかなり以前のことだろうが、行ったことがあるような気はするが確証は持てない。登山記録ならメモ程度に残すが、ドライブがてらのちょい歩きで行っていたら何も残らないし、デジカメならともかく、紙焼きの古い写真だとしたらすでになく、そもそも写真撮りに興味もなかったから、撮ったものやらどうだか。
そろそろ足利の山も間を置きたいと、けじめがてらに巨石群を物見遊山として見に行くことにしたが、これだけでは寂しいし、山歩きも加えたい。調べると、名草上町から赤雪山、仙人ヶ岳に行けるようだ。そのコースは、織姫神社から名草巨石群までの「やまなみの道」にさらに続く仙人ヶ岳への延長線に合流して歩く形になる。まともに歩けば距離があり過ぎで、織姫神社はおろか、途中の浄因寺からでも自分には無理のようだし、省略して名草から仙人ヶ岳まで行ったとしても、周回にすれば、その帰路の車道歩きが長くなる。とりあえずは赤雪山まで行ってから、その先は考えることにする。路線は違うが、あしバスアッシーを使えば、自分とて大周回も可能かもしれないが、少ない本数のバス頼りは気にそぐわず、どうしても車利用でのコースを考えてしまう。
(厳島神社の鳥居。標識には巨石群まで0.4kmとあったが、感覚的には、神社までそれ以上だったし、巨石群はなお先だ)
(やまなみの道との合流…。正面から歩いてきた。右の道は浄因寺からの道になる)
(弁慶の割石)
(胎内くぐりの石、というよりも岩だ、左手に入口がある。くぐれば子宝恵みと軽いお産の効能があるらしい)
(この入口がどうも…。ストレートには記さない。子作りには後ろから…うやむや。猥褻な想像力だけは衰えない。我ながら感心する。余計なことだが、左下の切れ落ちた石が美観を損ねている気がしないでもない。左臀部の一部だとしたら接着してもらいたいものだ)
(厳島神社)
駐車場から厳島神社の鳥居は目の前だったが、その先が長い。小さな沢沿いの道だ。間もなく左からやまなみの道が合流する。標識には浄因寺まで8.3kmとある。やはり、往復16km以上となると、傾斜が緩やかだとしてもきつい。まだかまだかと思っているうちにようやく神社が見えてきた。道は左右に分岐するが、左道でまずは本殿におじゃまする。下には「弁慶の割石」と「胎内くぐり」の大石。義経の平泉への逃避行は日本海側を通ったはずで、ここに寄り道するはずはない。なぜか、最近は炭治郎の割石になっているようだ。岩の前に弁財天を置く胎内くぐり石は見ようによっては卑猥な感じがする。そんな気分でくぐったせいか、出る時に頭を岩にゴツンして、しばらく痛かった。
(先に行くと)
(これが名草巨石群)
(石祠が祀ってあった)
本殿にお参りして先に行く。両石ともに、どうも記憶の片隅にありそうだった。やはり来たことがあるのだろうか。橋を渡って行くと、先ほどの分岐右道に合流して山道歩きになった。そして巨石群。正式名称らしい「天然紀念物名草村ノ巨石群」(「記」ではなく「紀」)の碑があり、昭和14年に認定されたようだが、自分にはさほどの巨石には思えず、まだ先にもあるのかと思いきや、ここの一角だけだった。これでは記憶に残るはずもない。沢歩きをしていれば、これ以上の巨岩、巨石の風景はずっと続く。ここで、かつて来たことがあったかあやふやになってきた。来ていれば、「こんなものか…」といった負の印象は残っているはず。それが記憶からは出てこない。
いつもの余談で失礼。この昭和14年だが、鳥居に入って間もなく「日支事変記念基本金造成●(福?)林地」と刻された石碑があった。もったいぶっているようで恐縮だが、この日支事変を昭和12年の盧溝橋事件に端を発する日中戦争のこととするならば、2年後の天然物認定もまた何となく政治的なにおいがしてくるし、あるいは村興しの一環だったのかもしれない。あくまでも根拠のない想像だ。こんなのは全国どこにでもあろう。くだらないことを記した。
(林道に出た。ここからが地味な登りで少々きつかった。左の建屋は厠だ)
(林道歩き)
林道に出た。ここまでは車が入れるようで、行き違いに車から出て来たオッさんと出会った。あとは舗装林道をしばらく歩くようだ。赤雪山までは3kmの標識がある。この林道は「入山線」というらしい。どこの舗装林道とも違わず、クネクネでジワジワと上がっていく。途中で片手ストックを出したが、どういうものか、この林道を歩きながら息切れは収まった。なにせ、駐車場から林道合流までダラダラと150mの標高差があった。これしきで随分と弱くなったものだ。
(ここで林道歩きから解放される)
(ダルマ杉峠というらしいが、このダルマが「達磨」のことかは知らない。少なくとも、石仏やらは見かけなかった)
(階段を登って)
(尾根歩きになった)
(ヤマツツジが咲いていた。この時点で、もしかして、アカヤシオは終わりかなと思った)
(変哲のない最初のピーク)
林道を30分近く歩いてようやく赤雪山への取り付きに到着。赤雪山1.4kmを示す標識には手書きで「ダルマ杉峠」とある。つまり林道を1.6km歩いたことになる。上に朽ちかけた階段が続いている。傾斜はそれほどでもなさそうだ。
意外に長い階段を登ると尾根に出た。赤雪山まであとは尾根通しだろう。地図を確認すると、その間に三つほどのピークがあり、きつそうなのは三つ目から赤雪山への上りだ。尾根を緩く登ったところに一つ目のピーク。ここで少し生気を欠いた赤いヤマツツジを見かける。当初はツツジのことはまったく考慮に入れていなかった。巨石群から赤雪山に行くことだけが目的だったが、このツツジを見てから、もしかしたらアカヤシオに出会えるかもしれないといった期待が出てきた。ヤマツツジに関しては、ツボミ状態も多く、これからなのだろうか。普通、ヤマツツジが出るようになれば、アカヤシオは終盤になっている。
(標識は随所にあって、地図を持たなくとも歩ける)
(送電鉄塔)
(ミツバツツジ。アカヤシオではないだろう。トウゴクが頭につくのかオレにはどうでもいい)
(少しアップで)
送電鉄塔に到着。標識に合わせてカーブすると、今度はアカヤシオかと思いきや、どうもミツバツツジらしい。判断にちょっと迷ったが、薄ピンクの、明らかにアカヤシオである花は地面のそこかしこに落ちている。遅れてしまったようだ。桜よりもアカヤシオに気を遣うべきだった。今季はすっぽりと頭から抜けていた。点在するヤマザクラもまた、見頃はとうに過ぎている。
(この辺は緩やかで歩きやすい)
(これは明らかにミツバツツジ)
(これはアカヤシオだろう)
(これも、上に行くに連れて花数が少なくなっていく)
次のピークに向かう途中はミツバツツジが主流だ。とはいってもツツジ回廊ではなくポツラ、ポツラだが、その中にようやくアカヤシオを見つけた。これは落ちた花ではなく、枝にしっかりと付いている。陽があたっているのに生き生きとしていないのは、やはり終わりかけということだろう。現に、このアカヤシオも、地面に落ちている花の方が多い。せめて一週間前に巨石群に行くことを思いついていたら、思わぬ開花に出会えたかもしれない。
(反射板)
(赤雪山かと思ったが違っていた)
(しばらくなかったが復活。こうなるとミツバかアカヤシオかわからなくなる)
(ヤマツツジだけは明瞭)
(せっかくのアカヤシオも、深い斜面では近づけない)
(一週間前なら盛りだったろうに)
(ヤマザクラも葉桜になりつつある)
また鉄塔のあるピークだった。ただ、送電線はない。地図を見ても、送電線が走っているのはさっきのところだけだ。反射板だった。銘板には「松田川ダム反射板鉄塔」とある。正面右寄りにピークが見える。あれが赤雪山かと思ったが、地図を見れば三番目のピークで赤雪山はさらにその先のようだ。
ミツバツツジが続き、またヤマツツジが復活。その合い間にかろうじてアカヤシオ。アカヤシオは寂しいが、殺風景な景色の中を黙々と歩いているよりも、色づいたツツジを見、そしてアカヤシオを探しながら歩いているだけでも楽しいものがある。咲き具合、散り具合はだいたいわかった。この先への期待は持つまい。アカヤシオ目的の山行だったら、つぶさに状況を調べ、確実に楽しめそうな山に行っている。三つ目のピークは知らぬ間に過ぎていた。
(ここが破線路との合流と思った)
(あまり利用客がいる様子はない。林の中を黙々と登るコースだろう)
鞍部に下ると、赤雪山0.2kmと合わせ、南に向けて「駐車場1.1km」の標識があった。松田川ダムの駐車場のことだろうが、地図上の破線路にあたるのか、そこを歩いたことはない。ダムから赤雪山に登った時には尾根伝いに明瞭な道を直登しているし、見下ろせば、薄暗い植林の中の細い道になっている。ただ、これが破線路だとすれば、地図ではここを横切るはずだが、尾根を右手に突っ切って下る道は見えない。どうも、この辺は地図通りではないようだ。あとでGPS軌跡をカシミールで確認すると、この標識を通過する時点では、破線路はすでに過ぎていた。実際にあったかも怪しい。標識もなかったし。
(ラストの登り。わかりづらいが、結構長い急坂になっている)
(直登ではなく、曲がりくねった道になっているので助かる)
(見下ろす)
(坂で見かけた唯一の花)
鞍部から見上げる。ここを登るの? といった圧迫感。これまでよりも急な坂が、上が見えないほどに続いている。晃石山唯一の急登、駒形石のあるあの坂をなぜかすぐに思い出したが、あんなものではない。うんざりする。前にも後ろにもだれも歩いていない。それだけでも救いだ。山頂までのこの区間、ツツジはなかった。残り少ないヤマザクラが傍らにあっただけ。何度も立ち休みを繰り返し、東屋の屋根が見えた時にはほっとした。
(赤雪山の山頂に到着。汗をかいた)
(仙人ヶ岳方面に行ってみたが、花は見かけなかった)
(赤雪山からの展望はこんなもの)
山頂にはだれもいない。見上げれば、出発時の青空の半分は消えている。風もなく、のどかに鳥のさえずりが聞こえる。腹が空いているわけでもないので、水を飲み、東屋に入って、冒頭に記した雑記帳をながめていた。そこにアカヤシオ云々の記載があった。さてどうしよう。仙人ヶ岳に行くには、標識ではさらに4.2kmとある。これにはたじろいだ。長い林道歩きを避けるなら、ここに戻るまで8.4kmの距離になる。これはきつい。仙人ヶ岳まではいくつかのピークがあったとしても、赤雪山よりも40m高いに過ぎない。楽とはいえないが、さして苦痛は感じない歩きだということは、これまでの体験で知ってはいる。
途中までならどうだろう。アカヤシオを見られるに越したことはないが、ここまでの鞍部からの上りにツツジを見ることはなかった。200mほど先に行ってみた。緩い下りになって鞍部。その間、茶系以外の色彩はなかった。赤雪山に戻る。ツツジ目的で登って来ていたら、ガツガツとアカヤシオを求めて先まで行ったかもしれない。今回はこれで良しとしよう。
(下るとする)
(いや~な空になっていた)
(ツツジを見ながらの下り1)
(同じく2)
(同じく3)
(同じく4)
(これだもんね)
(最後のミツバ)
(最後のヤマツツジ)
下山にかかる。今回はあっけないピストン歩きだから、往路時の様子にさして加えるものはない。同じツツジと落ちたアカヤシオの花を見ては、登り下りを繰り返す。特記するとすれば、トレランの方と出会ったこと、反射板に近づくと、見上げる空が黒くなっていたことだろう。一雨降るかと気になったが、黒い雲も間もなく消えていった。
(林道に出た)
(林道下り)
(これはひどいね。行政もこれには手をつけられまい。夜間に閉鎖すれば少しは違うと思うが)
(こんなところにと思ったが)
(確かにあんなのが直撃したらひとたまりもない)
(再び巨石群)
(往路とは違った道を選んだが、何もなかった)
(不安定な斜面に置かれた石灯篭)
ダルマ杉峠に到着。車が一台。外でオッさんがタバコを吸っていた。この先の林道歩きは下り調だったため、すこぶる快適に感じた。そして巨石群に到着。今度は神社を上から見る分岐の道を歩いてみた。もしかすれば、他にも巨石があるかもと思ったからだが、それはない、ただの杉林の道だった。
(鳥居をくぐって)
(駐車場に戻った。満足感はあまりなかった)
駐車場に到着。かなり暑くなっている。出発から3時間半か。これとて、時間がかかり過ぎだろう。ともあれ、ここのところ、こんな短時間歩きばかりが続いている。年相応の体力からすれば手頃だろうが、毎回、物足りない、半端な気分で終わっている。少しは長い歩きをしたいが、起伏があり過ぎというのも考えものだ。今さら、身体を酷使するような歩きでもないだろう。
まあぶっちゃけ今年はハズレ年なのでガツガツ歩きをしなくてよかったのでは。私もメインのついでに咲いていたら・・・程度に切り替えました。これからはナゲに期待ですね。
私は年はまだ若いはずですが、心臓達をやらかしてから中々、元のようには歩けず時間がかかっています。長距離を歩かないと体力はつかないのになかなか長距離が歩けないで体力は落ちていく。ジレンマですね。
「暖かい日が続く」とありますが、それとアカヤシオの開花との因果関係が、自分にはどうもわかりません。自分にはてっきり、雨のせいかなと思ったりしたのですが、さほどの雨降りはなかったので、赤も紫もピンクも同時に存在すること自体が、気候変動の影響なのかなと思ったりしています。ハズレ年というお言葉は確かにヒットしているかもしれませんね。
ふみふみぃさんのジレンマ、よくわかりますよ。私は心臓ではなく骨折でしたが、事故以降はどうも、これまで平気で歩いたところも臆病な歩きになっています。確かに、内科と外科の違いは大き過ぎですが、ふみふみぃさんは若いし、みー猫さかあたりから難しいところを誘われて葛藤せずとも、しばらくはマイペースしかないですね。失礼ながら(笑)にしておきます。