たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

月末に至ってようやく今年初めて普通の山歩きをした。赤城荒山と鍋割山。

2022年02月02日 | 赤城山周辺
◎2022年1月29日(土)

姫百合駐車場(8:27)……ふれあいの森登山口……荒山高原(9:03)……棚上十字路……上の避難小屋……ひさし岩……荒山(10:35)……荒山高原……鍋割山(12:08)……荒山高原……姫百合駐車場(13:20)
※記載時刻は到着タイム。

 1月4日は仕事始め。日常タイムに戻って、陽がまだ昇っていない寒空の中を犬の散歩をしていると鼻水が出た。その時は手鼻で済ませ、家に帰ってからテッシュをあてがって正式に鼻をかんだ。自分の鼻のかみ方は強い。いつも音を立てる。鼻水に色はなかった。しばらくしたら鼻血が出てきた。これがどうやっても止まらない。何とか治まったので脱脂綿を鼻穴に突っ込んで出勤した。初日に休むわけにはいかない。こういう時はマスクが当たり前の世情では助かる。血が出ても目立たないように黒いマスクにした。大量の鼻血だったので脳のトラブルかと気になったが、呂律が回らないわけでもなく血圧も正常。また出るのではと心配になり、勤務先近くの耳鼻科に行って診てもらった。なぜか休診日の多い4日なのに患者は自分だけだった。1mを超える長いガーゼをぎゅうぎゅうに詰められた。これで安心と思ったら、午後には鼻血がまた出た。ワイシャツもネクタイもスーツも血で汚れ、コートを着て隠した。帰宅して、妻にどこそこの耳鼻科に行ったと言うと、あそこはヤブで評判だ。何でそんなところに行ったのかと責められた。だから患者もいなかったのか。そんなことをオレは知らない。太田市に住んで35年近く経つが、ずっと群馬都民だった。地元の病院事情は隣町のかかりつけの医院以外に知るはずがない。その夜から4時間置きに鼻血が出て、枕元が血だらけになった。翌日、今度は別の耳鼻科に行くと、「これは、オレには治せないな。紹介状を出すよ」と、市内の大病院に回された。基本的に富士重工系企業社員か紹介状がなければ診てもらえない病院だ。診察までしばらく待たされた。その間に出血するのが気になった。幸いになかった。普通、出血箇所が特定できればそこを焼くなどの処置をするようだが、それが鼻腔のかなり奥のようで、焼くこともできず、短いガーゼを5枚重ねで貼り付けられた。麻酔をしてもかなり痛かった。嗚咽と涙。地元一番の病院にかかったということでほっとしたが鼻血は止まらなかった。次の予約はしていたのに緊急で翌日に診てもらい、ガーゼを入れ直した。気休めだった。その日の夕方には、テッシュボックスを持ち出して、職場の外の暗がりで鼻血を出し続けた。血の塊がいくつも出た。詰めたガーゼまで取れたと思った。小鼻を強く押さえて15分後に治まった。スーツをまた汚した。4時間置きの出血は4日続き、5日目にようやく止まった。その間、風呂にも入らず、酒も飲まなかった。タバコは吸った。残り少ない有給休暇を3日も使った。夜になるのが恐く、睡眠不足が続いた。貼り込んだガーゼは12日に取り出した。5枚ともに残っていた。これもまた痛かった。その前日の11日に職場の健康診断があり、前年に比べて体重と胴回りが極端に減っていて、測り直しをするほどだった。看護師に痩せた理由を聞かれた。鼻血続きと言ったら、なるほどという顔をしていた。健診の結果はまだ出ていないが、おそらく、精密検査で大腸内視鏡を受けることになるだろう。血は外に出るだけではなく、かなり飲み込んでいる。便も真っ黒だったし。4日間で洗面器半分以上の出血はしたろう。久しぶりに風呂に入った時には貧血だろうか、湯船から出たら立ちくらみがした。
 今思えばのこと。これは肝心なことだ。大病院の耳鼻科にかかったとはいえ、そこの医師から、鼻血が何日も続いたことに対しての原因やら今後の注意事項を聞くことはなかった。もっともこちらから聞くこともしなかった。とにかく早く鼻血を止めたいという一念しかなかったし。出血箇所が特定できなかったわけだから、ガーゼでの止血が適正な処置だったのか、あるいは自然に破れた血管がふさがって治まったのかもわからない。「また続いたら連絡して」で終わり。処方された止血薬をもらいに行った薬局のオバちゃん薬剤師さんから「この時期は乾燥するから、鼻腔にワセリンを塗った方がいいよ」と言われ、今でも朝夕、綿棒でワセリンを塗るようにしている。再発したらたまらない。
 鼻血が止まった後は薄い血混じりの鼻水が数日だらだらと続いた。これは二番目に行った耳鼻科に改めて行き、処方薬ですぐに治まったが、鼻はグズグズしてすっきりしない。その翌日、風呂に入ると、鼻からどろどろしたものが止めどなく流れ出てきた。鼻腔奥に溜まっていたらしいどす黒い血の塊だった。子供の頃、「ドウジが出れば鼻血が止まる」と聞いたことがある。この「ドウジ」が秋田の方言なのか、漢字でどう書き、どういう意味なのかは知らない。ネットで調べてもそんな言葉はなかった。あるいは、このどろどろがそのドウジなのかもしれない。これを最後に、今回の鼻血騒ぎはとりあえずは終わった。たまに出る鼻水も無色になった。たかが鼻血というこれまでの思いは今はない。現にこんな悲惨な状態になったし、後で同じ職場の方から聞いた話だが、その方のおやじさんは鼻血が止まらずに入院までしたそうな。

(唐沢山の下りで見かけた不動明王像。この近くに名前だけの滝があったような気がする)


(玉村町烏川のハクチョウ)


(松井田<ろうばいの郷>)


(同じく)


(仙ヶ滝)


(松井田城址の本丸跡。ここが山頂になる)


(金山で)


 そんなことで、山歩きどころではなく、体力が一気に衰えた。これではまずいと、15日に地元の八王子霊園から唐沢山に歩いてみた。かなりきつかったが何とか歩けた。だが後が悪かった。そのままハイキングコースを戻ればよいのに、唐沢山から南東尾根を下ってみたい衝動にかられた。登山道はない。かすかな踏み跡も消えてヤブになった。途切れた作業道からハイキングコースに復帰するのに再びヤブこぎ。軽いハイキングのつもりがリハビリには遠い体力消耗の歩きになってしまった。翌日は玉村町までハクチョウを見に行ったが、駐車場から川まではほんのわずかな距離。多々良沼のハクチョウ見物だったら沼一周の歩きもできたろうに、散歩すらできず、玉村の友達に、彼が観たがっていた映画のDVDを渡してさっさと家に戻った。午後からは狂犬病予防接種もあった。
 22日は松井田まで出かけた。新聞に<ろうばいの郷>のロウバイが見頃とあったからだ。それだけでは遠路はるばるご苦労さまになるから、軽いハイキングくらいはできないものかと探すと、松井田城址があった。典型的な山城。真田信繁(幸村)の初陣の城攻めになったらしい。興味深い城址だった。堀やら門の基礎石を見たが、石垣の名残を見ることはなかった。それでも随所に置かれた解説板は素人にもわかりやすかった。せいぜい1時間も歩いたろうか。むしろ、こんなのでちょうどいいかと思うくらいの低山歩きになったが物足りずにツララの垂れさがる仙ヶ滝まで足を延ばした。
 まだまだ復帰の体力には遠く、23日はお安く金山にした。歩いたことのない受楽寺から八王子山を経由して金山。帰路は金龍寺に出た。息切れでバテたが、息切れは以前からのもの。心地よい疲れ具合といったところで半分の充実を覚えた。

 早いとこ富士山見物に行きたい。衰えた身体の現時点では自信がない。せめてハイキングではない登山らしい歩きをしておきたい。子持山を考えたが、歩いたことのない南側から登ると長時間歩きになりそうで、無難なところで赤城山にした。12月に黒檜、駒ヶ岳に行っているから、先日、白くなっていた荒山と鍋割山がいいか。少しは雪上の歩きも楽しめるだろう。ずっと真っ白な黒檜山に登るほどの体力はない。いつぞや、見知らぬ者どうし、先頭を交代しながら、膝越えのラッセルをしたことがある。振り返ると、10人ほどの列になっていた。またそんなことになってはかなわない。

 とてつもなく長い前書きだった。仕方もない。ただの日記調のブログだ。読むのがお嫌なら目ならぬ鼻を押さえればいい。書き手はずっと好き勝手なことを脈絡もなく記して自己満足しているのだから。山行記録優先のYAMAPやヤマレコでこんな前置きをダラダラと記したら読者がいなくなる。それでなくとも、自分のブログへの関心度はむしろ骨折やらその抜釘手術、大腸内視鏡検査の記事の方が高い。主眼の山歩き記事は低迷状態だ。

(今日はここから入ってみるが)


(たいして時間もかからずに姫百合駐車場からのコースが見えてくる)


 姫百合駐車場までは雪もなくスムーズに到着。車は10台ほどで意外に少なかった。天気も良く、風もない。大方が黒檜に向かったのだろうか。ここでふとおかしなことを思った。もしかしたら、タイミング的に今日あたりはハイトス隊が赤城山に来ているのではないかと。だが、赤城に来たとしても、鍋割山ではなく黒檜山だろう。こちらは虚弱な体力での間に合わせの赤城山だ。その時は一瞬の思いで終わったが、後でまさかのことになる。
 いつもと違う入口から入ってみた。ふれあいの森側にある登山口。ここは11月に紅葉見物がてらに来た際に目にしていた。駐車場からは200mもなく、おそらく、すぐに通常コースに合流だろうが、歩いたことがない所は歩いておきたかった。前にジイちゃんが歩いていた。すぐにハーハー状態になっていたが、あっけなく追い越した。ジイちゃんの歩きは遅過ぎる。やはりすぐに一般道に合流し、じきにふれあいの十字路になった。ここまでの雪の量は少なく、地面にへばりついている程度。気温が上がればぬかるみになるだろう。今日の足はスパイク長靴。甲の部分にできる隙間が不快で、長靴はあまり好んでは履かないのだが、たまたま専用のインナーソックスを見つけたので購入し、その試し履きの意味もある。今のところ、甲の隙間を意識することはない。ただ、このソックス、沢靴用のネオプレーンソックスとどう違うのか。わざわざ買うまでもなかったような気がする。

(雪はこんな感じ)


(風穴)


(荒山高原に到着)


 荒山高原はまだ先なのにかなりきつい。やはり調子は戻っていない。風穴の手前で早くもストックを一本出した。備え付けの寒暖計は-8℃を指している。ここは日陰だから余計に低いはず。ここまで、ジイちゃんの次に二人連れも抜きはしたが、これもまたご高齢で、追い抜きのカウントにはなるまい。もう下る方が二人いる。駐車場の車の台数からして、この先で出会うハイカーはさほどにいないだろう。先の視界が荒山高原で切れているところであっさりとネエちゃんに抜かれた。
 今日の荒山高原は穏やかだ。いつもなら地吹雪状態にぶつかるが今日は珍しい。高原にいるのはさっきのネエちゃんと自分だけ。ネエちゃんは上着を脱いでいる。自分も脱ぎ、メガネをサングラスに代えた。
 さてここからどうするか。予定では、荒山を先行して鍋割としていたが、ここまでの歩きからしてどうも両方歩けるかは怪しい。弱音ではもう下る選択肢すらあった。それではリハビリ歩きの意味がない。鍋割なら何とか行けそうだが、それではどうも…。一山だけなら荒山だろうが、ここからの一途の登りはつらい。ふと思った。山頂までの標高差は同じだろうが、棚上十字路経由の遠回りの方が楽ではないのか。緩い登りなら、長時間でも耐えられる。そうしよう。ここに戻って、余力があったら鍋割…。それはあり得まい。棚上十字路方面に向けて歩き出す。ネエチャンはまだ休んでいる。

(棚上十字路へ)


(昼からはむどろんこ道だろう)


(棚上十字路)


 ゆったり登り気味の歩きはダラダラながらも自分には無理なく歩ける。それでもたまに立ち休みになる。雪はあったりなかったりで、前述したが、一時、遠目で真っ白になっていた鍋割山も、今朝の17号線から見る鍋割山に白い所はなくなっていた。昼からは、ここもぬかるみだろう。
 棚上十字路で休みながらストックをもう一本出して長さを調整していると、後ろからザクザクっと足音がした。さっきのネエちゃんだった。ここから左折しててっきり荒山登りかと思ったら、直進して行こうとしている。「あれっ、荒山じゃなかったの?」と聞くと、「いえ、荒山じゃなくて……」と次の地名が出ない。こちらも方向感覚なしだから、つい「軽井沢峠にでも出るの?」と聞くと、「ええ、そっちの方です」なんて返答。「荒山に登られるんですか?」と聞かれたからそうだと言って「気をつけて」と別れたものの、後で考えれば、ネエちゃんの向かう側は赤城温泉になってしまい、軽井沢峠に行くにはここから荒山方面に向かって、避難小屋(「休憩舎」が妥当だろう)が分岐になる。その時は、お互いに地理感覚のないとんちんかんな会話をしたものだが、ネエちゃんにしてみれば、確信して直進したわけだから、おそらくはバスででも来て、赤城温泉方面に出るつもりでいたのか、もしくは軽井沢峠だとしたら道間違いになる。その後に出会うことはなかった。その時の自分には、ネエちゃんは大回りして軽井沢峠から改めて荒山に行くのか、すごいものだとしか思っていなかった。

(ふれあい道)


(正式には「上の避難小屋」というらしい)


 ふれあい道をゆっくり行く。雪が少しずつ多くなっていくような気がする。周囲は白い世界になっている。しっかりしたトレースが残り、おそらく、こちらは数日間降雪はなかったようだ。12月に黒檜に登った際には、完全な積雪は山頂部だけだった。避難小屋に到着。どこが避難小屋なのか。小屋である以上は戸があるはずなのに、ここにはない。吹雪に遭って、こんなところでビバークでもしたら、おそらく朝までもつまい。ここから荒山までの標高差は150m。一方、荒山高原からだと山頂まで310mほどある。引き算で160m。ダラダラ登りでそれだけ稼いだのではチャラに近いから、距離は長いとはいえ、やはり、こちら経由が楽とも言える。これまでそんなことを考えたことはなかった。

(雪が少し増えてきている)


(ひさし岩から)


 ここからは傾斜が増す。前にも後ろにもハイカーの姿はない。つまり安心して歩けるということになる。人目を気にするレベルまで落ちた体たらく。立ち休みは続いた。どうも自分の今の歩きを納得できないでいる。ゆっくり、長く歩けばいいものを、気短かにさっと歩いては長い立ち休みをとる。ペースを落としてもすぐに早くなる。これでは累積して時間もかかってしまう。ひさし岩で休憩。地蔵、駒ヶ岳、黒檜と青空の下で真っ白に寒々と見えている。ここに立つと、四季を通じていつも、赤城山もバカにならないなと思ってしまう。荒山には登らずにこのまま戻ってもいいかという気持ちが頭をもたげる。それではいけんな。心身ともにどんどん萎縮してしまうことになりかねない。

(さらに深くなった。トレースはここを下るものばかり)


(荒山山頂)


(北に下りたらしき窪み)


(展望地から上越方面の山々)


 岩の間をくぐり、傾斜が緩み、やっとこさ荒山の山頂に到着した。最初の思いは、これで鍋割山に行かなくとも済むという安心感。荒山だけでも大義名分が立つ。だれもいない山頂をうろつく。雪をかぶった上越方面の山々が神々しく見える。北東に下るトレースというよりも窪みがあった。何日か前のものだ。好き者がいるようだ。以前、自分もそれをやった。
 ここの寒暖計は7℃になっている。そんなことはあるまいと思うが、風もなく汗ばんでいるから不思議にも思えない。だれもいないうちにセルフ撮り。毛糸の帽子を脱いで撮ってしまったから失敗。髪の毛が少ない分、帽子で押さえつけられていた頭髪は全体にペタリとしていた。その場で破棄してもよかったが、帽子をかぶって撮り直ししたとしても、イケメンジジイに写るわけもない。
 アイコスで一服していると、荒山高原の方から単独女性が登って来た。太目だからなおさらなのか、見るからに汗だく状態になっていて、湯気が出ているようにも見える。山頂を一周して、すぐにひさし岩の方に下って行った。この女性、後でまた出会うことになる。ではオレも下るとするか。もうストックは収納してもいいだろう。

(下る)


(こちら側も雪のないところが続く)


(うっすらと富士山なのだが、これではわからない)


(アップで)


 スパ長とはいっても、長年付き合っているとスパイクの減りは避けられない。ガチンガチンに凍っているところではツルっといった。ひんやり。以降、意識して歩いたから滑ることはなかった。
 正面にうっすらと富士山が見えている。あ~ぁとため息。鼻血騒ぎさえなかったら、おそらく、今年はもう2回は間近に拝んでいるはず。間近ではないが、金山からも見ているから、かなたからの富士見2回は悲しい。
登って来る人と行き交うようになる。荒山高原までの間に6人くらいは出会ったろうか。大方が疲れた顔で登って来る。それゃそうだろう。高原からの310mはきつい。自分はマスクをしていない。行き交う方もまたそうだ。マスクの女性と行き会った。お門違いな話だが、下りのオレに道を譲ってくれた。上り優先の建て前は、ある意味、迷惑でもある。疲れて登っているから、上から降りてくれば、それをいいことに先に下ってもらい、その間、休憩がてらに休める口実になる。だが、建て前どおりに下る方に待たれてしまうと、場合によってはせかされる気分になるというものだ。

(鍋割山)


(予定では、ここから箕輪に下るつもりだった)


(荒山高原に戻る)


 マスク女性から間を空けてというか、その間にもう一人いたろうか。男性が登って来た。下向きで歩いているから、顔は見えない。すれ違った瞬間、つい、アレっと声を出してしまった。帽子と衣類、体型に覚えがあった。やはりハイトスさんだった。ということは、先ほどのマスク女性はおK3さんということになる。奇遇といえばそれまでだが、出発時の予感が当たるとは。しばらく立ち話をし、鼻血話もしたりしたが、それはともかく、今日は荒山、鍋割、それぞれピストン歩きとのこと。自分は荒山だけで終わるつもりでいただけに、これでは半ば背中を押されてしまったようなもの。おK3さんを上で待たすのもなんだし、立ち話は早々に切り上げたが、その先、鍋割高原までの下りは、ずっと、果たして鍋割山まで体力が持つか、それだけが気になっていた。正直のところ気が重くなった。まるで初心者ハイカー並みの心境だ。箕輪へのショートカットコースを下るつもりでいただけに、その標識を見た時にはため息が出た。
 荒山高原には鍋割山から下って来たオジさんが一人だけ。石に腰かけて菓子パンを食べ空腹を満たした。行きがかり上仕方がない。では鍋割山に行きますか。鍋割山といえば、以前、霧氷を楽しんだことがあったが、それをここに至って思い出した。今日は枝に付いた雪すら見ていない。12月に黒檜に行ったのも霧氷見物が目的だったが、暖かすぎてか見ることはなかった。今日もとうとう最後まで見ることはなかった。鍋割山は意地で登るに過ぎない。どうせならとストックなして登ることにする。

(鍋割山へ)


(雪庇。だろうね)


 今度は本気にゆっくりと歩く。50mほど前方を歩いている単独女性がいる。付かず離れず行こう。いきなりの雪道もすぐに地肌が出てきて、再び雪が現れても全面の雪道というわけではない。それでいて、左右に雪庇が見られて楽しませてくれる。下るハイカー何人かと交差する。何度も登った鍋割山だ。雪があっても、特に目新しいものはない。鍋割山は荒山登りよりも楽だ。この体力では荒山に登れば鍋割山は無理だなんて思っていたが、そんな気弱さでもカバーできるじゃないの。とはいっても、立ち休みは繰り返している。
 長靴用のインナーソックスだが、ここで弱点を見つけた。確かに甲の部分の隙間はカバーできてはいるが、足が膨らんだ分、これまでのかかと部分の浮き上がりもなくなると思っていたが、ちょっとした急な斜面の登りには、やはり多少は浮いてしまう。脱げてしまう危うさはないものの、これだけはどうも避けられないようだ。試し履きをして、ソックスの下は敢えて薄手の靴下にしたが、厚い靴下にすれば、今度は長靴の中がきつくなって血豆ができるだろう。

(火起山か?)


(浅間山の山頂は隠れている)


(こちらは上越の山々)


(振り返って荒山と地蔵岳)


(左のドロ道は通行止め)


(人面岩)


 鈴ヶ岳が後方に見えるようになり、その左に上越の山々から浅間山にかけての眺望が目に入る。左手前方にはまだ富士山のシルエット。気分は良い。
火起山を通過。ここで嫌なのが例のぬかるみ歩道。さほどに気温は上がっていないだろうから、ドロドロではないかと思うが、目の前にはロープでガードされ、右に迂回路があった。やはり、ここどうにかならないかと苦情に近いものも寄せられていたに違いない。別に長靴なら、通過に問題点はないのだが、登山靴なら泥が付いて不快になるだけだ。
左右に岩が出てきて通称人面岩。この時期は雪をかぶっていることが多いが、今日はすっぴんだ。左下に歩いた跡がある。ここを下れば岩窟に安置された石仏を見ることができる。今はいい。帰りにでも久しぶりに見に行こう。その時はそう思っていたが、帰路で人面岩に気づかずに通過していた。

(このまま鍋割山かと思ったら)


(山頂直前で雪が消えた)


(鍋割山山頂)


鍋割山到着。ここは荒山と違って風があって寒い。脱いだ上着を着なおした。5人ほどいたろうか。歩きの目安にしていた女性はすでに休んでいた。周囲を回り、菓子パンと、ポットの湯でスープを飲んだ。荒山と鍋割山の両方を歩けてほっとした。少しは体力も回復したか。いや、まだまだ。せめて、明日も軽い歩きをしようか。今日の歩きで足が痛くなるということはあるまい。
青少年交流の家の方から登って来たのか、そちらで休んでいたのか、ネエちゃんがオレの目の前を通って荒山高原の方に下って行った。その時は何も感じなかった。特別な特徴があるわけでもない。

(竈山からだったろうか)


 おそらく、下り途中でハイトス隊に出会うだろうと腰を上げる。竈山、火起山への上りは少々きつかった。さっきのネエちゃんを抜きはしたが、また抜かれそうになったので脇の高台に登って景色を見るふりをしてやり過ごした。下りになると、そのネエちゃんがゆっくり、そーっと歩いている。転んで足でも痛めたのかなと思ったが、真後ろになると、そのネエちゃんの靴には滑り止めがなかった。いくら雪が少ないとはいえ、これでは危ない。上りはともかく、下りではなおさら。当人もわかりきったことだろうが、注意して下るようにと当たり前のことを話して追い越した。沢歩きの時はザックの中に使いもしない縄を入れているが、今日はあいにく持っていなかった。細引きなのでごろごろして歩きづらいことはなかったと思うが。

(ハイトスさん、ご苦労さん)


 荒山山頂で出会った女性が登って来た。相変わらず汗をかいている。そろそろ荒山高原だ。ここでハイトス隊がやってきた。今度はご夫婦と立ち話。ランチは荒山でとったとのこと。こちらの事情をハイトスさんから聞かれたのか、おK3さんから痩せたようなことを言われたが、それはあるまい。着ぶくれはしているし、顔も元の丸顔に戻っているはずだ。ここで気づいた。ハイトス隊はアイゼンを付けていた。そこまでしなくともと思ったが、ハイトスさんのスパ長のスパイクがすり減って役立たずのようだ。

(荒山高原からの下り)


(姫百合駐車場に到着)


 荒山高原に出た。だれもいない。そのまま姫百合駐車場に下る。風穴の寒暖計は-2℃。以前から気になっていたことだが、トレッキングマップには駐車場付近に「栗太郎」なるところに出る分岐道が記されている。おそらくは栗の木の古木かと思うが、見たいと思いつつ、今回も忘れてしまった。しっかりした標識なり踏み跡があれば気にもかけるのだろうが、どうも自分の目には入らないから素通りしてしまう。いつか見ておかないといけないなぁ。
 駐車場に到着。車は15台ほど。もちろん、大沼の方から下って来て、トイレ拝借の方もいる。出発時に比べたら増えているとはいえ、午後を少し回ったばかりでこれでは寂しい感じがする。自分の車の正面にハイトスさんの車が置かれていた。
 長靴を脱ぎ、インナーソックスも脱ぐ。足から湯気が出てきた。やはり長靴が蒸れるのはどうしようもないようだ。歩数計を見ると15,000歩。これだけは稼いだようだが、歩きの内容は、バテバテとは言わずとも体たらくと言ってもいい。もう少し歩いておかないときつそうな山からの富士山見物も無理だろう。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
« 九鬼山から御前山。ばっちり... | トップ | 東吾妻町の観音山と不動滝 »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
荒山 (ハイトス)
2022-02-04 11:32:45
荒山はお疲れ様でした。
考えてみれば荒山へ東屋から登るルートは今まで考えたこともなかったですが、緩やかに登れるのでいいかもしれませんね。
東屋の正式名称が避難小屋とはおっしゃるように違和感があるなぁ。
それにしても鼻血とは聞きましたが結構大変だったのですね。
完治したようで祝着です。
それにしてもお互いいろいろなところに不具合が出てきますね。
せめて体幹を鍛えるとまでは行かなくても維持できる用に適度な歩きは続けたいものです。
我が隊は予定通りに鍋割に足を伸ばしたはいいですが、目一杯でした。
これ以上だとちょっと無理かなぁ。
今回も調子悪ければ荒山だけにするかと思っておりました。
相方が元気で発破をかけられているのが実情です。
返信する
荒山と鍋割山 (瀑泉)
2022-02-05 18:34:56
たそがれオヤジさん、お久しぶりです。
コメント欄は前記事から開放されたことは気付いてましたが、ちょっと山梨では出番が無いので控えさせていただきましたヨ。
今回は、おなじみの赤城山なので、コメントさせていただきますネ。
で、いきなりですが、まずば鼻血。それにしても鼻血とはいえ随分と災難でしたネ。鼻をかんだダケなのに5日間も鼻血が続くとは。一応、止まったようで何よりでしたが、結局、原因は分からず仕舞いなんですかネ。何にしてもお大事にしてくださいナ。
ところで、話を山に戻って荒山。今回のルートは、自分も雪山で歩きましたが、たそがれオヤジさんは、荒山~軽井沢峠の周回もされていましたネ。年末に五輪尾根を歩いて、ほぼ雪の赤城山も歩いてしまった感があったのですが、次回のでも参考にさせていただきますヨ。
それはさておき、たそがれオヤジさんにしても、ハイトスさんにしても、体力が無いと仰る割には、雪山でストック無しとか、1本とか凄いと思いますケドね。
自分は、山を始めた時から(当時は、山で拾った木の杖を)常に1本使ってたし、雪山はどこでも2本ですしネ。確かでんさんも杖を使うことに抵抗があるみたいだったケド、もしかして上州人の気質ですかネ。
自分なんて全く抵抗は無いし、それでなくても故障が多いので、むしろ積極的に使っていますケド。
返信する
ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2022-02-07 17:04:24
ハイトスさん、こんにちは。その節はどうも。私には出会いそうな気が何となくあったのですがね。
ハイトスさんも荒山、鍋割で目いっぱいでしたか。私は、ハイトスさんから両方回ると聞くまでは、当初はそのつもりでいても、荒山で終わりにする気でした。ハイトスさんに会わなかったら、きっとそうしていたでしょう。
何だか、年寄りくさい話になってしまいますが、私には身体を鍛えるという志向はまったくありませんね。今さら…です。むしろ、いつまでも山を歩ける体力でいたいものです。それには歩くしかないでしょうね。おK3さんに発破をかけられたのも、奥さんがまめに歩かれているからでしょう。
鼻血が完治したのかどうかはわかりません。まだ、いつ鼻血が出てくるかビクビクしていますよ。老化で血管がもろくなっているのでしょうね。
返信する
瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2022-02-07 17:05:03
瀑泉さん、こんなしがない荒山、鍋割山歩きへのコメントありがとうございます。
ハイトスさんへの返信にも記しましたが、鼻血の件は、おそらく、血管がもろくなっていて、それがたまたま鼻腔の奥で処置しづらく、長引いたということではないかと思います。耳鼻科の先生が言っていましたが、冬になると、鼻血患者が多くなるそうです。空気の乾燥もあるのでしょう。
五輪尾根の記事は拝見しましたが、今季は赤城に二回も行かれているようですね。雪山としては手頃に歩けますからね。その私も二回目になりますが、12月12日に黒檜に行った時は雪があったのは山頂部だけで、そして今回も同じようなもの。まともな雪山を歩きたいものです。それもトレースのしっかりあるところ。となると、近場では日光ということになるでしょうかね。
ストックの件ですが、私は別にこだわりはないですよ。急斜面の登りなんかはWストックが楽だし、むしろ途中からWにして、さっさと使っていればよかったなと後悔するくらいです。傾斜の緩いところはできるだけ意識して使わないようにしています。特に理由はないですけどね。少しはきつく歩いてみたいといった意識があるのかもしれません。もっとも、今回程度の積雪量では必要もないと思いますが。
例の荒山~軽井沢峠ですが、今回は歩いた跡は見ましたが、かなり深かったですね。あの分ではラッセルしたか、途中でやめて戻ってきた感じでした。一人分の足跡ではなかったですから。
返信する
Unknown (みー猫)
2022-02-08 00:21:16
たそがれさん、こんばんは。
ご無沙汰しております。ふみぃさんと
先日、栃茨県境尾根を歩いていてふと、鼻血の話になり、2人して心配しましたが、医者のいうことで杞憂だったようですね( ;∀;)
ハイトスさんの記事の写真を見て確信しました。
ところでジムニーのクラッチペダルが踏み込み多めと思いませんか?ネットでスイフトMT用のゴムが丁度良いとのことで、送料高いので2個買いました(バカです)・・・よろしかったら差し上げます(笑)どうやって渡すかは考えねばなりませんが。
返信する
みー猫さん (たそがれオヤジ)
2022-02-08 09:43:00
みー猫さん、こんにちは。鼻血の件、ご心配いただきありがとうございます。鼻血もこれまでは取るに足りない出血とばかりに思っていましたが、こう何日も続いたり、入院する方もいるといった話を聞くと、バカにもならないものかと思うようになっています。これは外傷ではなく、中から来るものですから、注意しようもない。自分は血圧が高めですから、そんなことも影響があるのかなと思ったりもしています。
ごめんなさい。みー猫さん。みー猫さんやらふみぃさんのお歩きは今の自分には参考にならないなと、しばらく拝見していなかったのですが、もしかして、みー猫さんはジムニーのMTに今、乗られているのですか? 失礼しました。クラッチ踏み込みが多目とありますが、メカのことは私あまりよく知らないのですが、昔から、MT車を乗る際には、半クラ癖でクラッチ板が摩耗しないよう、座席を前に移動して、いつも深く踏み込んでギアチェンジをしていますから、特に意識はしていません。もしかして、みー猫さんご指摘の件はそういうことなのでしょうか。
そのスウィフト用のゴムとやら、いま少し利用度がわかりかねるのですが、便利ということでしたら、いただけるものでしたら、喜んでいただきますよ。いずれ、また一緒に歩くこともあるでしょうし、その際にでも。その時は私とハイトスさんもついて歩けるような軽いコースにしてください。
返信する
クラッチのストッパーゴム (みー猫)
2022-02-08 23:17:31
たそがれさん、こんばんは。
どんなものかというと、スイフト用のストッパーを付けると、踏み込む位置が5mmほど、浅くなるものです。ジムニーは何度もクラッチ踏むので楽ですよ。自分はフロアマットやドアバイザー、カーナビなど純正付けなかったのですが(貧)・・・フットレストとかは付けています。以前のJA11より舗装路で凄く良く走ってくれて助かります。いやいや、ハイトスさんとたそがれさんが出会うと、草むしり尾根の予感がしますので、舞い上がらないコースでお願いしますよ(笑)
返信する
みー猫さん (たそがれオヤジ)
2022-02-09 14:49:04
みー猫さん、ご返信ありがとうございます。
何となくイメージがわき、ネットで調べると、なるほどといった製品のようですね。一つ遊んでいるようでしたらいただきます。その際は取り付けもお願いしますよ(笑)。
草むしり尾根ねぇ。あれはあれで面白かったと思いますよ。ああいう無謀なことはやめて、大人しく遊びましょう。ヤバそうなところも、私はいまだに気持ち的には抵抗はありませんが、身体が言うことをききませんよ。ハイトスさんもしかりかと思います。
返信する

コメントを投稿

赤城山周辺」カテゴリの最新記事