たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

みなかみ町の三十三尋の滝。ヤマヒル恐さにさっさと沢に下りず、ちょいナメ歩きで終わったのはちょっと心残り。

2022年06月21日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2022年6月18日(土)

駐車地(9:16)……林道入口(9:22)……沢に下る(9:38)……林道終点らしき地点(9:55)……三十三尋の滝(10:18~10:38)……林道終点(11:02)……林道入口(11:20)……駐車地(11:26)……人影の滝(11:39)……駐車地(11:54)

 みなかみ町の三十三尋の滝を知ったのはごく最近のこと。三十三尋といったら、「一尋≒1.5m」として、50m近くになる。この数字、普通の感覚なら落差のことだろう。三十三尋の滝の少ない情報を調べると、実際の落差はそんなになく、この一尋は1mと思った方が適当だ。あまりあてにならない自分の目でも落差30m少々だった。別にその落差にこだわったわけではなく、みなかみ町にこんな見落としの滝があったのを知ったから行った。すでに済ませた観光滝の人影の滝(不動滝)の先にある。その時は、三十三尋の滝のことなんかわかりゃしない。上毛新聞社刊の『ぐんま滝めぐり90選』にはなかった。これまで『90選』を頼りに滝見をしていた。90選は観光滝だけを収録しているわけではない。今は行くのも困難な常布の滝も掲載されている。もっとも初版出しの20年以上前は、芳ヶ平に行く途中で立ち寄り気分で行けた滝なのかもしれないが。
 この三十三尋の滝があるのはセキヤ沢。やがては利根川に吸収される西川の支流。場所的には、猿ヶ京温泉の先の法師温泉手前になる。この滝だけでは足りないかもと、次の候補を探したら、三十三滝の駐車場から、同じみなかみ町の照葉渓に行くよりも、赤城のおおさる山乃家の方が近かった。乙女の滝は消えたらしいという瀑泉さん情報を自分の目で確認しておきたかった。三十三尋のの滝の後は、どうせ帰り道だしと、赤城を組み込んだ。

(駐車地。カーブの先が合瀬大橋。人影の滝はガードの脇を下る)


 ここにこんな立派な橋がなぜと思うほどの合瀬大橋を渡ってすぐの空き地に駐車。人影の滝に行った際に使った。三十三尋の滝に行くには、この少し先の林道を2キロ近く入り、林道終点まで車で行けるのは知っているが、その林道は作業道に近いようで、軽四駆で何とか行けるほどの悪路で、対向車があればアウトらしい。ジムニーで行ったのに、林道に乗り入れしなかったのにはわけがある。セキヤ沢はナメ床が続いているらしく、林道の適当なところから沢に下ってナメ歩きを楽しむつもりでいた。わざわざパジェロミニを知人から借りて行った方のレポを拝見した。ナメ歩きは何も記されていない。これでは楽しみ半減のような気がする。まぁ、人それぞれだろう。滝見だけが目的の方もいらっしゃる。

 この時期の沢歩き、滝見物はヤマヒルに要注意。ヤマヒルには、これまでも何度もやられていて、マダニよりも遭遇率が高い。本当は半端に終わっている夜後沢に早々に行きたいが、あそこはヤマヒルだらけだろうと後回しにしている。今回の足は沢靴にした。巻いたスパッツにジョニーをスプレーし、さらに全身にハッカ油をかけ、塩と高濃度の塩水、ポイズンリムーバーと各種器具、薬品を持参して出発。今季初の沢だし(赤城不動滝は沢歩きとはいえまい)、ガードは固くした。それでもヤマヒルは入り込むものだ。ワセリンまで持ったのは余計だったか。マダニに噛まれた時、ワセリンを周辺にマダニごとに塗りつければ、30分後には窒息するそうな。ワセリンを塗らずとも、テーピングしてしまえばさっさと窒息するような気もするが。

(林道入口。車で問題なく入って行けそうだが。)


(ガタガタ道になり)


(これにはまったら四駆でなきゃ脱出はきついだろう)


(左側に巡視路がある。地図を見ればわかるが、この辺は高圧線だらけだ)


 車道歩きの途中で保戸野山が正面に見えた。ヤブ山のようだが、いつかは行ってみたい。地図を見る限りは高圧線があちこちに通っているようで、巡視路を利用すれば、うまく登れるかもしれない。現に、この先で巡視路入口をいくつか見かけた。林道に入る。反対側にも林道は続いている。林道は次第に荒れていく。やはり、普通車では厳しいだろう。林道とはいっても幅広の作業道に近い。石がゴロゴロし、陥没やら深い泥濘も見かける。終点まではたいした距離でもないし、運転に気を遣うよりも歩いた方が無難かと思う。
 林道を歩きながら、右下にセキヤ沢が見えたら沢に下るつもりでいる。だが、沢はなかなか見えず、沢音すら聞こえない。聞こえるのは春ゼミの鳴き声だけ。強引に下ってもいいが、意外に急斜面で、悪いことに、シダ系の高い葉が下まで続いている。ここを無理に下れば、ヤマヒルにたかられるのは確実。もう少し我慢しよう。ここで、ザックに付けたスズをどうやら落としたことに気づいた。付けたことは覚えている。音を意識して聞いてはいない。帰り道で探せばいいかと、別のスズを付ける。このスズ、さっぱり鳴らない。

(右下に沢がチラリと見えたのでここから下った。後で思うに、もっと手前から下ればよかった)


(やはりのナメ沢だった)


(ナメ沢を歩く1)


(ナメ沢を歩く2)


(ナメ沢を歩く3)


(ナメ沢を歩く4。危険もなく脇から越えられる)


(ナメ沢を歩く5。小滝)


(ナメ沢を歩く6。ここはさすがに右から巻く)


(ナメ沢を歩く7。左岸側から小沢が入る)


(ナメ沢を歩く8。鉄パイプ橋が横切る)


(ナメ沢を歩く9。林道終点から下れば、この辺に出るはずだ)


(ナメ沢を歩く10。ナメはまだ続いているが、次第にゴツゴツしてくる)


(ナメ沢を歩く11。岩は黒光りしている)


(ナメ沢を歩く12。惜しいことにレンズに水滴が付いてしまっていた)


(ナメ沢を歩く13。歩いている当人には飽きない)


(ナメは終わったか。石がゴロゴロ出てくる)


(それでも気まぐれに)


(終点が見えてきた)


 ようやく沢がちらりと見えた。50mほどの距離をズルズル滑りながら沢に下った。やはりナメ沢が続いていた。最初にやったことは、この区間でヤマヒルにやられなかったかのチェック。大丈夫だった。沢に入ればヤマヒルにはやられまい。
 気持ちの良いナメ歩き。水量はくるぶし上程度で、流れはわりに強い。たまに小滝や淵も出てくる。簡単に巻ける。GPSを見ると、林道の終点は間もなくだ。もっと下流から下ってナメを楽しむべきだった。逆に下りを長くしてしまうと、今度は林道に出るまでがつらくなる。ナメはここの沢だけではないし。少しでも楽しめればそれでいい。まして、西川の出合いから入渓すると、かなりの高巻きをする箇所があるらしい。
 目の前を鉄パイプ仕様の橋が横切っている。これも巡視路だろうか。随分と危なげな橋だ。ここを通って保戸野山に登る方もいるらしい。
 林道終点の駐車地は沢からでは見えなかったが、右岸から下る太い泥状の踏み跡があったので、その上かもしれない。その先から渓相は変わり、ナメも気まぐれで出てくるものの、基本はゴーロ歩き。これでは、林道終点まで車で来ていれば、ナメ歩きの楽しみもあまりないだろう。

(三十三尋の滝)


(縦撮り)


(滝の頭)


(中段)


(落ち込み)


(こちらは右隣の霧降状の滝の頭)


(写真の配列が滅茶苦茶だが、これは滝正面左側の岩壁。眺めていると落ち着かない)


(滝を並べて。広角の一眼だったらもっとましに写っている)


(左から)


(改めて滝ツボ。浅い)


(右から。霧降滝の岩屋から)


(霧降滝から落ちる水を入れて)


(これは霧降滝の落ち水。結構強い)


(改めて正面から。左に岩伝いの細い流れがあるのがわかるだろうか)


(霧降滝の全景)


(葉が紅葉していたらさぞきれいだろうな)


 やがて正面に三十三尋の滝が見えてきた。豪瀑とは言えずとも見ごたえは十分にある。梅雨の時期だし、水量は豊富かと思ったが、いつもこんなものなのか。ただ、周囲は高い岩壁に囲まれ、滝の周辺の岩は険しく黒光りしている。この滝のポイントとともいえるのがすぐ右にある霧降状の滝(便宜的に霧降滝とする)。こちらは三十三尋の滝よりも落差は若干少ないか。この滝の下が岩屋状にえぐられていて、そこに入って覗いてみると、霧状どころかかなり大粒の雨状だった。三十三尋の滝のすぐ左には一筋の細い流れが岩伝いに落ちている。
 残念ながら、見に来て良かったと思いながらも、滝の表現を自分はこの程度にしか記せない。それを写真でカバーしたいところだが、ここのところ、コンデジを代えたせいか、少し暗いと、ピンボケに撮れてしまうことが多くなり、せっかくの、本滝と霧降滝を合わせ撮りした写真は見るに耐えなかった。
 しばらく滝を眺め、アイコスで一服。腰かけた大石から立ち上がり、帰途に就くべく名残惜しく滝を見返すと、周囲の樹々の葉の緑が随分と目に入った。紅葉の時季にでも来れば、今以上に素晴らしい滝の景観を楽しめるかもしれない。

(下る)


(右岸から。上がってみたが、あまり面白そうな沢でもなかった)


(見当で上がったら、林道はまだだった)


(林道終点)


(林道歩き。長いといった感じはなかった)


(さっきの鉄パイプ橋)


(車道から保戸野山。この車道を通る車は稀だ。合瀬大橋の延長になる。橋が立派で、首を傾げてしまう。)


(帰着)


 帰路は林道歩き。さっきの泥状の踏み跡を上がると、終点はまだ先だった。終点広場でヤマヒルをチェック。今日は大丈夫だった。林道歩きは草むらでもないし、やられることはあるまい。

 落としたスズを探しながら駐車地に到着。ここで車の脇にスズが落ちているのを発見。最初からボケをやっていたようだ。この時点で人影の滝に行くのはどうしようか迷っていたが、大分暑くなってきていて、全身びっしょりだったので、赤城に行くのだけはやめた(乙女の滝の確認には、この日よりもさらに暑い翌日、短時間で済むだろうと体力も頭もぼーっとしながらの中をわざわざ行った)。

(不動尊)


(裏にあった石仏。右は宝暦、左は安永だった)


 とりあえず、不動尊に行ってみると、前回はここに立ち寄りもしなかったが、駐車場には滝のイラスト案内板があり、滝への途中で石仏が2体描かれていた。不動尊の裏に回ると、石仏が2体。これを見て、人影の滝に行くつもりになった。
 帰路でも探したが、案内板にあった石仏のスポット2か所ともに、石仏はなかった。おそらく、その2体を、不動尊の裏に運んだのかと思われる。

(ここから下って、しばらくは葉に覆われたヤブっぽい踏み跡歩き)


(途中からしっかりした歩道に)


(合瀬大橋が頭上に)


(人影の滝)


(落ち口)


(滝ツボ)


(左岸側に小さな滝)


(暑くなって、階段登りで大汗をかいた)


 人影の滝(不動滝)は前にも観ていたし、さほどに感動もなく、ただ眺めただけで終わった。三十三尋の滝を観た後ではどうしても見劣りしてしまう。
 不動堂の駐車場に車を回し、汗ぐっしょりの衣類を着替えた。周囲に人家は少なく、人の姿も見えない。ここで、沢靴のチャックを外したら、ヤマヒルが一匹這い出てきた。チャックかもくしは上から侵入したはいいが、チャック下は折り目になっていて、さらに中には入れなかったのだろう。そのままつまんで放り出した。
 暑いのはわかっていながら、日よけになる場所もなく、石のベンチに腰かけてラーメンを作って食べた。さすがに汗がダラダラと出た。

(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

<滝ビデオ⇒これ

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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2022-06-23 09:23:03
瀑泉さん、こんにちは。
三十三尋の滝は先行して失礼しましたね(笑)。昨秋の時点で、この滝の存在は知りませんでしたよ。
この滝に行くお薦めコースをご紹介します。わざわざみなかみまで行ってあっという間に終わってしまうのでは面白くもないでしょうしね。
人影の滝から回り込んで西川に入り、そこからセキヤ沢を遡行するという手です。直接、駐車地からセキヤ沢に下ってもたいしたことはないでしょうが、ヤブ漕ぎを強いられるかと思います。
セキヤ沢に入ってから一か所だけ、高巻きするところがあるようですが、沢靴にチェーンスパイクでも履かせて登って下れば問題ないようですよ。これは、釣り人さんのヤマレコ記録に出ていました。これは後で知ったことで、それをやればよかったかと、今は残念な気分です。
セキヤ沢のナメはかなり下からあるようですから、私のように、沢が見えた時点で沢に下ったのでは、楽しみも半減でしょう。また、この時期なら、そのコースにすれば、ヤマヒルとの遭遇は少なくなると思います。

私の滝への思いと体験は瀑泉さんの足許にも及びませんが、乙女の滝以外にも消えた滝は随分とあるのですね。落差20mの滝が消えるというのは半端ではないでしょう。結局、伏流になるもしかりで、水の流れやら地形が変わってそうなるわけでしょうが、まぁ、自然の力では人間の及ぶところではないし、仕方がない、そういうものだと思えばそれまででしょうかね。

ストレートに記しはしませんでしたが、瀑泉さんが肯定されていいますから、敢えて申し上げると、確かにバードウォッチング長靴は沢には不向きですね。ただ、長時間の、たとえば尾瀬ヶ原歩きなんかには足も疲れず、重宝しそうです。他に持つ長靴はごつくて重いですから、それに比べたら軽快です。
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Unknown (瀑泉)
2022-06-22 23:28:22
三十三尋滝、先を越されてしまいましたネ。
どうも、この滝をご存じないようだったので、ヒルのいない昨秋のうちに訪ねて、先に記事にしようと思っていたのですが、昨年は、寒くなるのが早く、そのうち雪も降り出して、スッカリ諦めてしまいましたヨ。
ただ、下流部がナメ沢なのは知りませんでした。
まぁ、ガタガタ道程度なら平気で突っ込むところですが、泥濘は無理なので、行くときは記事を参考に、ナメを堪能しながら向かいたいと思います。

それと乙女の滝、此方の記事で失礼しますが、もはやショボ滝どころか・・・でしたか。
ただ、7年前の水量は明らかに多いですネ。大猿の滝など、昔、自分が見た時もこんなものだったし、むしろ平水かと思います。
まぁ、流れが変わって滝が消えることは往々にしてある(例えば、神子内川支流黒沢の6mナメ滝が消えた等)から、其処まで珍しくはないのですが、さすがに塩原の「野地湯沢の滝」(落差20mの滝)が消えていていたのには驚きました。
此れは、おそらく滝上流で伏流となったようで、滝の下流から水が湧きだしていました。

ところで件の長靴、濡れた岩だと滑るので、沢で使うのはお勧めしません。
ただ、乙女の滝の下流部はツルツルなんですよネ。自分もフエルトでコケましたから、あそこは要注意なんです。
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