本年5月の連休明け。
それも思い付きでいきなりのスタートであった。
作るなら≪コシヒカリ≫という事は念頭にあったのでそれを具現してみようと、
早速、行動を開始した。
で、
苗を探す事もままならず、思案すること数日、
既に回りの農家では田植えを済ませているところがほとんどで
生育が大丈夫かという不安一杯の米作り一年生の勉強が始まった。
苗の入手!
私の住む地域のJAの育苗は、先年の実績を基にした各農家の予約により販売されていて
今更、余剰の苗を購入するのも面白くなく、
それじゃ~と、毎年、最上級の品質を獲得している≪全国の食味ランク=特A級≫の
丹後コシヒカリの育苗苗を入手しようと決意して、なかなか、苦労していると、
京都府農林水産部のご紹介により、快く、その苗を分けてくれる方を見つけることができた。
即、丹後に向かった。
で、
苗の状況を現地の赴き現認して、田植え日の確定を元に逆算して引き取の日時の打ち合わせを
行った。
その時感じた事は、今まで目にした育苗苗には無い勢いが凄くて、草丈が長く、
何よりも、育苗床を剥がし裏返し開けて見て根の張り、本数の多さが特徴的であった。
代掻き!
以前、この田んぼは、小松菜・ミズナ・ミブナの畑であり、それに応じた土作りを行っていたので、
米作りに必要な養分は充分充当できている事と推測できるので、
一切の肥料の散布は最後まで行わない事とした。
即ち、最初から最後まで一切の肥料を使わないで米を生育させる。
前作も堆肥だけしか使用していない実際と、少量の追肥(完熟鶏糞)だけの使用で
収穫を相当量行ったのだが、充分すぎるほど豊穣な土壌であると勝手に推測して、
自身に言い聞かせる納得で決着していた。
田植え!
色々な方を誘ってみた。上田米穀店が大勢をつれて来てくれた。
うぅ~~~ん、現代の子達の食物に対する愛情の無い扱い方に少し戸惑うも、
古い友人も手伝いに来てくれたりして、先ずは無事に終了。
順調な生育!
田植え後、2ヶ月。祇園祭より速く今年は梅雨明けを向かえて、高温少雨の気候の中、
潤沢な水量を確保できる私の水田では、水に悩まされることも無く、
隣の水田の向井さんのおかあちゃんの頼んでもいないのに、勝手に水管理をしてくれる
本当にありがたい親切に甘えて水稲はすくすくと育ち、良い状態の結実を確認できるようになった。
カメムシの防除も嫌なのでしないことにここで決意!
穂肥(ほごえ)といわれる、結実期に化成肥料の散布を行うのが一般的なのであるが、
行うことはせず、最初の予定通り、基の土だけの力を信じる決断を行った。
といえば格好はいいのであるが、本当は凄くビビッてた。
8月中旬、水田の水を一気に抜く。落水。
穂が色付き始め、頭をたれる!
ここから完熟を促進するために充分に地温を上げ、養分吸収を目的とする管理を行った。
あとは、稲刈りの見極め。
9月中旬以降、16~23日までの間で行うことに決定する。
水害!
周りの水田は全て稲刈りを済ましていて、「いつするの?」という質問も受けていた。
私は、まだまだできるだけ土の上にいて、黄色く熟させたく思っていて、
その言葉には正直、「皆さん、焦りすぎじゃないか?」と思っていた。
で、
あの水害である。200メートル先の熊田川の堤防が切れた。
私の水田は、水没や土砂の流れ込みは無かったものの、水に押されて全ての稲が倒れた。
流される事が無かったのが奇跡。
たぶん、根の張りが強かったたくましい稲であったからであろうと思う。
正直、脱力し、悔しくて不満のぶつける先も無く、現状を見て泣いてしまった。
二度と米など作るものか!の気持ちで一杯であった。
が、
気持ちを≪戦う≫という感覚を持つ事にしたら、とにかく、稲刈りをしよう!という
決意が湧いて来るから不思議なモンである。
で、猫が捨てられていて新しい飼い主を探してやらねばと拾う。
こいつが曲者!
私の食費を圧迫しかねない食欲を持つから困ったものだ。
稲刈り!
難儀!!!!!!!この一言しかない。
この私が難儀するのである。
また、これだけ辛抱して根気良く仕事した経験が今まで無い。
何度、燃やしてしまおうかと思ったか・・・・・。
しかし、
皆が私の行動を注目しているし、実際に行動を良く観察されているのを分かっていた。
(他の農業者の目は諦める者には冷たく、行動する者には暖かく、尊敬と賞賛を伴う。)
だから、多くの稲刈りの手伝いの申し出をお断りした。
最後まで、一人ですると決意。
稲木干し!
ここまで手作業でコツコツやってきたのだから、
それじゃ~と、昔ながらに稲木に干して稲を乾燥させてみようと考えた。
で、昨日、水分量を測定した。
結果良好!正直嬉しい。
残された課題!
今夜は脱穀・籾摺りをどうするのか?どうしたのか結果は、又、後日このブログで報告します。
【これが、男の生きる道】
○所見
米作りの採算性
全く利益など無い事を認識しなければいけない。
米作りを始める前から計算ができるのであるが、下記の如く通常の販売では利益が出る訳が無い。
まして、他人様の機械や労力、管理を委ねるとなるとそれらの賃金や費用を負担する事を
経費換算する知識を農業者は計算できないのであろうか?
ここは農業者心理の摩訶不思議な事である。
一般的な耕作面積当たりの収穫量と収穫金額
収入
面積 1反
玄米の収穫量 450kg
収穫金額 90000円(農協渡し)→A
経費
苗代 11000円
田植え依頼 25000円
稲刈り 30000円
脱穀籾摺り 15000円
米穀検査代・草刈・肥料・農薬の経費の概算合計 20000円
経費概算合計 101000円 →B
戸別補償 15000円(受給できればいいが?不透明)
収支(A-Bに戸別補償を加算した) 4000円の利益
上記に減反政策により、29%の米作面積が減っている。
即ち収穫量は30%ほど落ちる。
収穫金額は単純に30%減算してみたら・・・・?
しかし経費はそうは変わらない。
で、でっ・・・・、でも作る。
ますます、良く分からない。
作物はわが子と同じという農民の心も理解できるが、
しかし、農業が生計という専業農業者なら経営という観点から考えればこんなばかげた
農作物は無い。
日本の主食生産は、このような経営実情である事が現実である。
私が常に、「既に農業は破綻している!」という訳の一つには、
農業者自身の行動や無思案が原因のように思えてならない。
私は、心中本音、就農者のほとんどを占める惰性的農業者は早く淘汰される事を望んでいる。
まぁ、時間の問題であろう。