「題詠blog2007」。
051:宙
宙返りするひとたちが重力にさからいながら生きようとする
052:あこがれ
あこがれることにあこがれあこがれをいつになっても追いかけている
053:爪
小指の爪とこゆびのつめは初めての出会いでかわすちいさな約束
054:電車
それはもうまっさおな電車にのって海へうみへとむかへ僕たち
055:労
正直なひとを労うやわらかな風をもとめて丘陵にいる
056:タオル
まっしろなタオルをわたす瞬間にゆびさきは触れすこしとまどう
057:空気
ゆっくりと空気はぬけてすてられた赤いふうせんのようね夕暮れ
058:鐘
きょうかいの鐘のよいんをとじこめていま深遠のすきまに放つ
059:ひらがな
ひらがなの栞をはさむ突きすすむ漢字のような人のページに
060:キス
ああ、これはキスぢゃないかっ! と、夕暮れの魚政のまん前で僕たち
*
「笹短歌ドットコム。都市伝説短歌」。
はつなつの 金のエンゼル十枚でかならずあたる 金・銀・パール
「特に鮫島が選ばれし人類ってわけぢゃ……」と村田は事件をかたりはじめる
・いつまでもあの公園の水しぶき うじきんときもわすれられない
まよなかにみみをすませばかちこちと銀のVAIOのたいまーのおと
・「だって、三本めの足ったら」って、じゃれあってフライドチキンをかじる僕たち
ああ、だから。もしマリリンがいきていたっ。としても、ばあちゃんで、もうしわしわ
クポクポとふくみわらいでわに皮のバッグをめでる下水道局員
げんぱつのしきちのなかのかたすみに大きくおおきく咲いた野うさぎ
「あれ、やっぱ、カーネルおじさんの呪いだってっ。タケダ先輩のっいとこ見たってっ」
・真夜中の電話に出ると「もうミーはあなたのうしろ」とジャニーさんの声
*
「からだから短歌」。
71 肛門
肛門としてのげんしがいくおくのときをへだてて唇にかわる
72 陰茎
もうだれもたずねることない林間にからまるようにはえる陰茎
73 陰核
ひとりではいきてゆけない陰核にやさしいうそをなげかけている
74 膣
膣としてさいしょのゆめをなげかけるこの子よおおきくしあわせになあれ
75 生殖
そう、これを生殖という。 あなたには、アイときこえているのでしょうか
76 精巣
なんとなく神風だねっておたがいに出撃まってる精巣のなか
77 卵巣
きっとだれか待っているよってゆうきづけておくりだしてくれた卵巣
78 腎(臓)
そういえば、僕の腎臓がたいへんなことに!ってさわいでたひともいたっけ
79 尿
だから尿道として在ればいいだなんてあなたはとてもとてもうそつき
80 汗
ほらこんなにもここちよい汗かきながら夕飯のしんぱいをする君は
81 爪
マヨネーズきつうくしぼるキューピーのえがおにのこる僕の爪あと
82 尻
あかときは言わないでいた いつまでも尻とりあそびは続かないこと
83 股
股したのながさを自慢するひとはかるうく僕をとびこしたのです
84 腿
あら、あなたとてもきたえた腿ですね この垂直をささえてください
85 脚(足)
脚力でとおざかる人ちょっとだけやすむふりするめくばせをする
86 膝
えいかくにするどくはなつ膝蹴りの軌跡のなかにもとめたくなる
87 脛
いつまでも覚えています脛をうつとてもおもたい波の感触
88 踵
踵から着地するよう頑丈な登山シューズをもたせてください
89 鱗
上空の鱗雲いずれきえること知っていたから喋れなかった
90 尾
尾根沿いのほそい小道をかけおりるあなたの影におくれないよう
*
かんたん短歌blog。
ハウスジャワカレーの箱の説明を熟読したら玉ねぎを切れ
*
「短歌点・蛍」。
ひさかたのひかりをはなつ蛍野はきろくえいがのやうなしづけさ
ひさかたのひかりをはなつ螢野はきろくえいぐわのやうなしづけさ
*
「念力短歌講座 6/9」。
悪としていきてゆくから赤い羽根募金の箱はみないふりする
商品を客が手にした瞬間につり銭をだすキヨスクのおばちゃん
*
「笹短歌・付け句・やぶれかぶれの夏の放課後」。
ぐんらくはナパーム弾にてらされてやぶれかぶれの夏の放課後
さよならがメタンの海に沈みゆくやぶれかぶれの夏の放課後
ふと君はましろき手首みつめつつやぶれかぶれの夏の放課後
水晶がぼくのみらいをかたるときやぶれかぶれの夏の放課後
ああ、だって保健室のかおる先生がやぶれかぶれの夏の放課後
ミサイルはそらまりあまりあに放たれてやぶれかぶれの夏の放課後
くびすじに蝉のぬけがらたまりゆくやぶれかぶれの夏の放課後
校長とペアでそろえるセーラー服にやぶれかぶれの夏の放課後
土星からもうあわないと電波が届きやぶれかぶれの夏の放課後
もう理科室の人体模型でかまわないやぶれかぶれの夏の放課後
うつくしい雲をみているほんとうは やぶれかぶれの夏の放課後
堤防に二人乗りするきみをみて やぶれかぶれの夏の放課後
げた箱に鵺のつがいが巣をつくり やぶれかぶれの夏の放課後
凶器には三角定規はむかないと やぶれかぶれの夏の放課後
ブランコの鎖をとばすスピードは やぶれかぶれの夏の放課後
夕暮れは俺がひとりで買い占める やぶれかぶれの夏の放課後
タルナスパルナスルルルルルぅぅぅぅーー!やぶれかぶれの夏の放課後
051:宙
宙返りするひとたちが重力にさからいながら生きようとする
052:あこがれ
あこがれることにあこがれあこがれをいつになっても追いかけている
053:爪
小指の爪とこゆびのつめは初めての出会いでかわすちいさな約束
054:電車
それはもうまっさおな電車にのって海へうみへとむかへ僕たち
055:労
正直なひとを労うやわらかな風をもとめて丘陵にいる
056:タオル
まっしろなタオルをわたす瞬間にゆびさきは触れすこしとまどう
057:空気
ゆっくりと空気はぬけてすてられた赤いふうせんのようね夕暮れ
058:鐘
きょうかいの鐘のよいんをとじこめていま深遠のすきまに放つ
059:ひらがな
ひらがなの栞をはさむ突きすすむ漢字のような人のページに
060:キス
ああ、これはキスぢゃないかっ! と、夕暮れの魚政のまん前で僕たち
*
「笹短歌ドットコム。都市伝説短歌」。
はつなつの 金のエンゼル十枚でかならずあたる 金・銀・パール
「特に鮫島が選ばれし人類ってわけぢゃ……」と村田は事件をかたりはじめる
・いつまでもあの公園の水しぶき うじきんときもわすれられない
まよなかにみみをすませばかちこちと銀のVAIOのたいまーのおと
・「だって、三本めの足ったら」って、じゃれあってフライドチキンをかじる僕たち
ああ、だから。もしマリリンがいきていたっ。としても、ばあちゃんで、もうしわしわ
クポクポとふくみわらいでわに皮のバッグをめでる下水道局員
げんぱつのしきちのなかのかたすみに大きくおおきく咲いた野うさぎ
「あれ、やっぱ、カーネルおじさんの呪いだってっ。タケダ先輩のっいとこ見たってっ」
・真夜中の電話に出ると「もうミーはあなたのうしろ」とジャニーさんの声
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「からだから短歌」。
71 肛門
肛門としてのげんしがいくおくのときをへだてて唇にかわる
72 陰茎
もうだれもたずねることない林間にからまるようにはえる陰茎
73 陰核
ひとりではいきてゆけない陰核にやさしいうそをなげかけている
74 膣
膣としてさいしょのゆめをなげかけるこの子よおおきくしあわせになあれ
75 生殖
そう、これを生殖という。 あなたには、アイときこえているのでしょうか
76 精巣
なんとなく神風だねっておたがいに出撃まってる精巣のなか
77 卵巣
きっとだれか待っているよってゆうきづけておくりだしてくれた卵巣
78 腎(臓)
そういえば、僕の腎臓がたいへんなことに!ってさわいでたひともいたっけ
79 尿
だから尿道として在ればいいだなんてあなたはとてもとてもうそつき
80 汗
ほらこんなにもここちよい汗かきながら夕飯のしんぱいをする君は
81 爪
マヨネーズきつうくしぼるキューピーのえがおにのこる僕の爪あと
82 尻
あかときは言わないでいた いつまでも尻とりあそびは続かないこと
83 股
股したのながさを自慢するひとはかるうく僕をとびこしたのです
84 腿
あら、あなたとてもきたえた腿ですね この垂直をささえてください
85 脚(足)
脚力でとおざかる人ちょっとだけやすむふりするめくばせをする
86 膝
えいかくにするどくはなつ膝蹴りの軌跡のなかにもとめたくなる
87 脛
いつまでも覚えています脛をうつとてもおもたい波の感触
88 踵
踵から着地するよう頑丈な登山シューズをもたせてください
89 鱗
上空の鱗雲いずれきえること知っていたから喋れなかった
90 尾
尾根沿いのほそい小道をかけおりるあなたの影におくれないよう
*
かんたん短歌blog。
ハウスジャワカレーの箱の説明を熟読したら玉ねぎを切れ
*
「短歌点・蛍」。
ひさかたのひかりをはなつ蛍野はきろくえいがのやうなしづけさ
ひさかたのひかりをはなつ螢野はきろくえいぐわのやうなしづけさ
*
「念力短歌講座 6/9」。
悪としていきてゆくから赤い羽根募金の箱はみないふりする
商品を客が手にした瞬間につり銭をだすキヨスクのおばちゃん
*
「笹短歌・付け句・やぶれかぶれの夏の放課後」。
ぐんらくはナパーム弾にてらされてやぶれかぶれの夏の放課後
さよならがメタンの海に沈みゆくやぶれかぶれの夏の放課後
ふと君はましろき手首みつめつつやぶれかぶれの夏の放課後
水晶がぼくのみらいをかたるときやぶれかぶれの夏の放課後
ああ、だって保健室のかおる先生がやぶれかぶれの夏の放課後
ミサイルはそらまりあまりあに放たれてやぶれかぶれの夏の放課後
くびすじに蝉のぬけがらたまりゆくやぶれかぶれの夏の放課後
校長とペアでそろえるセーラー服にやぶれかぶれの夏の放課後
土星からもうあわないと電波が届きやぶれかぶれの夏の放課後
もう理科室の人体模型でかまわないやぶれかぶれの夏の放課後
うつくしい雲をみているほんとうは やぶれかぶれの夏の放課後
堤防に二人乗りするきみをみて やぶれかぶれの夏の放課後
げた箱に鵺のつがいが巣をつくり やぶれかぶれの夏の放課後
凶器には三角定規はむかないと やぶれかぶれの夏の放課後
ブランコの鎖をとばすスピードは やぶれかぶれの夏の放課後
夕暮れは俺がひとりで買い占める やぶれかぶれの夏の放課後
タルナスパルナスルルルルルぅぅぅぅーー!やぶれかぶれの夏の放課後