まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

初めての講義

2005-05-26 22:07:24 | 学業
5月26日(木)。

とうとうやって来ました。
天下のエディンバラ大学獣医学科の最終学年に講義する日が。

全く不思議なもので、あー、もう間に合わない!と思っても、なんとかなってしまうもの。
夜中の2時に最後のスライドを作り終わり、練習をする間は全くなかったけど、無事本番を迎えることが出来ました。簡単なアニメーションも初めて使いました。

9時から10時まで、PhD4年生、スペイン人のオルガが世界の家畜衛生システムの仕組み、貧困削減に必要な獣医畜産学などの全体的な説明をしました。
次の一時間を僕が担当したのですが、オルガの全体的な内容とは逆に、僕のはフィールドと、最近研究してきた都市部、都市周辺部における、地域的な話が中心でした。

まず日本における畜産、家畜衛生状況の簡単な紹介で始め、ネパールでの青年協力隊活動の取り組み、現地で発生した口蹄疫の2回に渡るワクチン接種について話しました。

貧しさとは何か、どんなものか。数字の説明ではない、2年間の生活で感じた実際の話に、最先端の科学に常に親しんでいる学生達は、意外と引き込まれたようでした。
特に口蹄疫の話では、実際発生に遭遇したとき目の前で起こった状況を一つずつ伝え、限られた状況の中で、あなたはどのような行動を選択していくか、というシュミレーション形式にしました。
異文化、貧困、制限された状況、という発展途上国のフィールドを、身近に感じてもらえたと思います。

続く都市部、都市周辺部での獣医学の話では、国中から動物や牛乳とともに流れ込んでくる病原体と、所得層におけるリスクの違いなどについて説明しましたが、意外とこれもよく質問して飽きずに聞いてくれました。

しかし、自分でも驚いたのが、知らない間に身に付いた語学力です。スライドを見ると、ここ1、2週間伝えようと考えていたことが自然と沸いてきたので、ただ思ったことを話し、それについてどう思うか学生と対話しているうちに、あっという間に1時間経っていました。
ネパール語も、頭の中のイメージから日本語への変換を経ずに直接口から出るようになると、どんどん上手くなりましたが、ようやく英語もその領域に入ってくれました。もうネパール語を追い抜いて、第2言語になったようです。

最後に話した3年生のアンドリュー(以前古い大学の校舎によじ登り、てっぺんの像にTシャツを着せた人)も、すごく感動して聞いてくれました。
学生達も、教室を出てから、特にネパールの話に感動してくれたようで、話しかけてきてくれました。

これは本当に自信がついたなあ。帰ってからも、思い出し笑いを何度もしてしまうのでした。