空飛ぶ自由人・2

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映画『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』

2022年12月25日 23時00分00秒 | 映画関係

 [映画紹介] 

ダニエル・クレイグがブノワ・ブラン探偵役で出演する
「ナイブズ・アウト」の続編
と言っても、前作とストーリー的つながりはない。

億万長者のマイルズ・ブロンは、
ギリシャのプライベートな島に
友人たちを招待する。
人けのない島で、
マイルズ本人が殺される殺人ゲームの謎解きを楽しもうというのだ。
ところが、殺人計画は探偵のブノワによってあっさり解明されてしまう。
しかし、予期せぬ殺人が起こり、
それは第2の殺人に発展する。
事件に隠された謎は・・・・

冒頭、マイルズの招待客のところに
謎の箱が届き、
その箱の開け方が、楽しめる。
招待されたのは、
マイルズの古い友人4人と
今の恋人と、探偵。
ところが、マイルズは探偵を招待したおぼえはないという。
探偵は招待状を持参しており、
招待客の誰かが、探偵に渡したものらしい。
招待客の間にはなにやら確執があるようなのだが・・・

隔絶された島での「密室殺人」。
クリスティ的王道探偵モノで、
やり尽くされた題材で、新味はない。
登場人物も好感を持てず、
序盤、やや退屈な印象。

ところが、半分を過ぎたあたりで、
話がぐるりと回転する。
えっ、えっ、えっ、
そうなのか、そうだったのか、
と驚いているうちに、
今まで起こった事柄が、
別の視点で照射される。
まさに映画ならではの展開。
その過程で、招待されていないはずの探偵が
参加した理由も明らかになる。

とこれ以上は書けないわけだが、
やり尽くされた題材ながら、
後半は加速度的に面白く見ることが出来た。

島に作られた億万長者の豪邸のセットが目を見張らされる。
最後に、ある美術品が灰になってしまう。
驚かされたが、芸術に対する敬意を払うべきかと思うが。

億万長者にエドワード・ノートン
見事な悪役。


招待客をジャネール・モネイ、キャスリン・ハーン、
レスリー・オドム・Jr、ケイト・ハドソンら。
イーサン・ホーク、ヒュー・グラントなどがチョイ役で出、
スティーヴン・ソンドハイム、アンジェラ・ランズベリー、
ヨーヨー・マ、セリーナ・ウィリアムズらがカメオ出演。
スティーヴンとアンジェラはこれが遺作となったが、
ほとんど気づかなく、
巻き戻して初めて確認出来る。

監督はライアン・ジョンソン(脚本も)。

12月22日からNetflix で配信開始。
アメリカでは、11月23日から29日までの感謝祭の連休期間に、
約600館で、期間限定の劇場公開をされた。
Netflix の作品が配信前に
アメリカの3大映画館チェーンで同時上映されるのは史上初めて。

題名の「グラス・オニオン」とは、
昔の仲間が集ったバーの名前だが、
意味はそのままで「ガラスの玉ねぎ」
何層にも重なっているが、
中心はすでに見えてて、
真相は既に明白、の意。

 


シェラトンに泊まりました

2022年12月24日 23時00分00秒 | 旅行

一昨日のこと。
国内小旅行をしました。
小旅行どころか「極小旅行」。
市内にあるリゾートホテル、
シェラトンに泊まったのです。

移動距離にして、
直線でわずか3.5キロメートル

市内に家があるのですから、
決して泊まることがないはずのホテル。
どうしてそういうことになったかというと、
カミさんの親戚筋の人が、
期限が近づいたポイントを消化するために、
娘へのプレゼントとして、予約してくれたのです。
ところが、娘はジュンスのコンサートでソウルに行く日程が迫っており、
それまでに在宅の仕事を終わらせなければならない。
当日になっても仕事が終わらず、
とうとう、代わりに、私たち夫婦がその好意を受けることになったというわけ。

タクシーで乗り付けようとも考えましたが、
貧乏性が身についているため、バスで。

とりあえず、食事はイクスピアリ内の

↓ここで。

ホテルで夕食とも考えましたが、
調べてみると、1万5千円ほどする。
で、再び貧乏性が顔を出して、
ここのお寿司に落ち着いたわけです。

その後は、ホテルの送迎バスが時間帯により無いため、
モノレールで。

これに乗るのは、20年ぶりくらい。

2つめの駅で下車し、徒歩でホテルへ。

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、
東京ディズニーリゾート・オフィシャルホテルの一つ。
日本に存在するシェラトンとしては最古のホテル。
1988年(昭和63年)開業というから、
舞浜のホテル群の中では最初の方。
1016室を擁する巨大ホテルです。

ロビーのツリー。

フロント。

部屋はアップグレードしてくれて、
最上階の12階。

建物が「S」の形に湾曲しているため、
廊下は途中で先が見えなくなります。

部屋は↓。

大きなべッドときれいなバスルーム。

コーヒーメーカー。

ベランダがあり、
東京湾の灯火が見えます。

やはり、高級ホテルは肌が合わないらしく、
眠れません
仕方なく、読書に。

何時の間にか寝て、
朝が来ると、
ベランダの外が明るい。

この景色。

12階からの眺めは素晴らしい。

富士山も見えます。

そして、朝食のビュッフェへ。

そういえば、娘の成人式のお祝いは、
このホテルの和食レストランでした。

朝食付きのプランで無料ですが、
普通に払うと3100円です。

ご覧のとおりの洋食、中華、和食。
典型的なホテルの朝食ビュッフェです。

オムレツも作ってくれます。

フルーツやアイスも豊富。

朝食後は、庭園を散策。

ここは、教会というか、結婚式場。

というわけで、
一夜の夢の世界を味わってきました。

なお、ホテルのビュッフェの
私のベスト3は、
ソウルの新羅ホテルのビュッフェ、

ドバイのアトランティスのビュッフェ、

そして、掛川のつま恋リゾート彩の郷のビュッフェ。

 


小説『紙の梟』

2022年12月22日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

貫井徳郎による、4篇の短編と1篇の中編を収録。
平成23年から令和3年と、時期も掲載誌もバラバラだが、
共通するのは、
「一人殺したら、例外なく死刑」という
死刑制度が確立した日本社会。

というのは、
日本の司法界では
「3人殺せば死刑。1人だと死刑判決は出ない」というのが
(法的根拠のない)相場だったが、
死刑を逃れた犯罪者が
社会復帰後、再び殺人事件を起こすことが頻発して、
厳罰化を望む声が高まり、
裁判員制度が進んで
市民の素朴な感情の反映が推進されたこともあり、
殺意の有無によって判決の軽重が左右されるという判断論拠が疑問視、
最終的に、人を一人殺したら、即死刑、
という単純なルールが市民に受け入れられた。
殺意の有無は無視され、
正当防衛の殺人も除外しない。
この結果、国際社会では「死刑大国」として轟々たる非難を受けたが、
「日本には死んでお詫びをするという文化がある」と言い張り、
世界的にも有名なハラキリ文化が持ち出され、
諸外国を納得させてしまった。
死刑容認は反対論を押さえつけ、
反対を口にすることができないほどの社会的空気が出来てしまう。

そういう架空の日本社会を背景にした5篇は、
それぞれ特異な問題を提起している。

「見ざる、書かざる、言わざる」

ある服飾デザイナーが襲撃される。
発見された時、目はつぶされ、
舌は切られ、
指は全て切断されていた。
つまり、犯人を見たとしても、
それを言うことも書くことも出来ない状態だったのだ。

担当刑事は、デザイナーが何か秘密を抱えており、
その口封じのための犯行、と目星を付けるが、
どうもその事実はないようだ。
二人の刑事の活躍により、
犯人は捕まるが、
殺人ではないので、死刑には出来ない。
巧妙な死刑回避の犯罪だ。
しかし、人一人の人生が完全に失われたのは、殺人に等しい。

その結果、国会で重傷害罪が新設され、
最高刑は死刑。
これによって、相手の命を奪っていない被告人にも、
死刑判決が出せるようになる。

「籠の中の鳥たち」

オフシーズンの別荘にやって来た、6人の男女。
大学のサークルの仲間だ。
うち、一人の女性が暴漢に襲われ、
助けるために友人男性が
石で男の頭を打ったため、死んでしまう。
過失であったとしても死刑になってしまう。
そこで学生たちは死体を埋めてしまうが、
地震が起きて、土砂崩れが起こり、道路が遮断されて、
別荘に閉じ込められてしまう。
その後、女子学生が刺殺され、
男子学生が硫化水素の発生で殺されてしまう。
隔絶した環境の中での密室殺人。
犯人はこの中にいるのは確実だ・・・

密室殺人の出来としてはあまり褒められたものではないが、
殺人の動機に死刑制度があるのは確かだ。

「レミングの群れ」

いじめが原因で、中学生が自殺する。
すると、いじめ側の中学生が殺される。
殺したのは、人生に希望を無くした自殺願望者
自分で自殺することは出来ないが、
人を殺せば、国が死刑で命を奪ってくれる。
その標的として、社会的指弾を受けた、
いじめ側の人間の命を奪う。
というのが動機だった。
そして、いじめた中学生の両親、無策だった教師、
何もしなかった教育委員たちが、
自殺願望者の標的になって命を奪われる事件が頻発する。

途中で、自殺願望者の背中を後押しして、
殺人は自分が行い、
犯人として自殺願望者の証拠を残す人物が現れる。

その正体を巡って、
最後の2行で、
話がぐるりと回転する。

「猫は忘れない」

主人公の男性は、ストーカーによって姉を殺された人物。
証拠不十分で釈放された犯人に復讐を加えようとしている。
人一人殺したら死刑、を個人的に達成しようというのだ。
綿密に計画を練って実行するが、
飼い猫の始末について、失敗してしまう。

小説の眼目は、男性の恋人の存在で、
二人は全てのことについて共通していたのだが、
死刑制度だけは意見が対立してしまっていた。

最後に、
刑事たちによって、
男性に、ある情報がもたらされる。
男性のしたことは正しかったのか・・・

「紙の梟(ふくろう)」

高名な作曲家・笠間耕介が主人公。
結婚まで考えていた恋人の松本紗綾が惨殺される。
犯人の動機は、
紗綾によって、父の資産が奪われ、
父が自殺したことへの復讐だという。

しかし、笠間には違和感が残る。
金目当てで男性に近づき、金を貢がせる、
結婚詐欺まがいの行為をする、
という女性像は、付き合っていた紗綾の姿に合致しない。
紗綾は、質素な生活をしており、
真面目に勤める書店員だった。

更に驚くべきことが発覚する。
松本紗綾という人間は存在せず、
紗綾は、どこの誰とも分からない人物だった。
自殺した男性との時も別名だった。
住民票もなく、偽の運転免許証でアパートを借り、
就職していた。
(勤め先は、所得税や住民税、厚生年金の納付先はどうしていのだろうか)

やがて、犯人の弁護士から連絡が来て、
笠間は犯人の擁護をすることにする。
ツイッターに死刑反対の意見を載せると、
すさまじい非難が襲いかかる。
死刑容認論一色の世間は、笠間を許さない。
笠間の作曲家人生も風前の灯火だ。

笠間がツイッターに情報公開した理由は、
紗綾に対する情報を得るためだったが、
いくつかの情報から、
笠間は紗綾の隠された過去を知ることになる。
更に、もう一人、重要な情報を寄せる人がいて、
笠間はその人に会いに行くが・・・

架空の人間だった恋人の正体さがしと並行して、
社会に蔓延する一つの見解と、
それに反対する者への攻撃が描かれる。

 

「死刑」についての議論はさておき、
そう決めてしまった社会の一つの論理の押しつけは恐ろしい。

副題の「ハーシュソサエティ」とは、
世論が厳罰を支持する厳しい社会のこと。

 


映画『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』

2022年12月21日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

「タイタニック」(1997)が世界興行収入第1位を獲得して以来、
これを抜くものは当分出てこないと思われていたが、
同じジェームズ・キャメロン監督の「アバター」(2009)があっさり突破。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」 (2019) によって一度は抜かれたものの、
昨年、中国での再公開によって、
再び興行収入歴代第1位の座を獲得した「アバター」。
その約13年ぶりの続編。

5作目まで作成される予定だという。

地球からはるか彼方の星パンドラ。
そこには先住民ナヴィが住んでいた。
元海兵隊員のジェイクは
DNA合成によりパンドラの一員となり、
ナヴィの女性ネイティリと結ばれた。
のが、前作。

それから10年が過ぎ、
2人は家族を築き、二人の子どもたちと平和に暮らしていたが、
再び人類がパンドラに現れたことで、
再び戦闘が始まる。
神聖な森を追われたジェイクとその一家は、
海の部族のもとへ身を寄せる。
美しい海の生活に同化していく一家。
しかし、海辺の楽園にも
地球人による侵略の手が迫る。
地球が滅亡に向かっているため、
侵略軍は移住地としてパンドラを選んだのだ。
攻撃がジェイクたちを襲い、
過酷な戦闘に巻き込まれていく・・・

前作でジャームズ・キャメロン監督
革新的な3D技術を駆使して、
今まで誰も観たことのない映像を生み出した。
その技術は引き継がれ、
今度も目を見張る映像が続出する。
後半は「タイタニック」を彷彿とさせる
水中でのアクションが連続する。

しかも、ほとんどが生身の役者ではなく、
俳優の動きをデジタル変換した3D映像。


モーション・キャプチャーという技術で、
センサーのマーカーにまみれた俳優の動きを
3D映像に変換するという、理屈は分かっていても、


あまりにスムーズで、
かつダイナミックなので、
一体どうやって撮影したのか見当がつかない。
特に本作では、
海中シーンが多く、


水の中のゆらめく映像が
驚きと共に現出する。


総じて自然描写が素晴らしいの一言。

ジェイク役のサム・ワーシントン
ネイティリ役のゾーイ・サルダナ
おなじみのキャストが続投するが、
顔が出ないので、俳優はちょっと気の毒。
ただ、俳優の表情は見事に映像化されている。

白人によるインディアン居住地への侵入、
西洋列強によるアジア・アフリカへの植民地侵攻、
ウクライナへのロシアの侵略、
捕鯨問題など、
やはり、頭をかすめるものは多い。

前作は見なくても分かるとは思うが、
基礎的知識はあった方がいいので、
ディズニー・プラスで前作を観るか、
「Wikipedia」の
詳しいストーリーを読んでおくことをお勧めする。

5段階評価の「4」

日米同時公開。
拡大上映中。

 


中国コロナ

2022年12月20日 23時00分00秒 | 様々な話題

大陸から不気味な情報が流れて来た。

「ゼロコロナ」政策を事実上撤回した中国で、
新型コロナが蔓延し、
死者が急増しているという。
都市封鎖をやめたことで、
コロナ患者が他都市に流出したためだろうか。

広東省広州市では19日、
発熱外来を受診する人が一日平均5万人に上った。
北京市内では新型コロナ関連の死者が急増し、
病院の遺体安置室が満杯になっており、
葬儀場は火葬の順番待ちで、新たな予約を断っている状態という。
火葬場へと向かう長い車列ができ、
火葬場の敷地では、車を止めるスペースを見つけるのも大変な混雑ぶり。
人数制限が行われているのか、
入り口の前には、火葬場に入れない大勢の人の姿があった。
中には、職員らに詰め寄る人の姿も見られる。

北京市では医薬品が不足し、
病院にも患者があふれている。
住民は外出を控え、北京市内の通りは閑散としているが、
北京駅だけは、混雑している。
多くの労働者が新型コロナに感染し、
宅配便の配達スタッフをはじめとした働き手が不足。
そのため、働き場を求めて、
他の地方から北京に人が入ってきているというのだ。
また、感染のリスクを避けるため、
北京から地方へ移動する人もいて、
多くの人が北京駅に集まっている。

中国政府の新型コロナが原因での死者数の発表は、
ずっと「ゼロ」を続けていたが、
19日、ついに、中国当局は
18日に2人が亡くなったと発表した。
「ゼロコロナ政策」を緩和した12月7日以降、
当局から死者が発表されたのは初めてだ。
しかし、実際ははるかに多いとの指摘もある。
14日から「正確に実際の数を把握できない」と
無症状の感染者数の公表を止めており、
急増する感染者数や死者数の把握を放棄している形だ。

中国は、予防効果が高いとされる海外製ワクチンを使っておらず、
重症化リスクが高い高齢者の接種率も十分に上がっていないことも、
死者の急増につながっているとみられる。
政策転換があまりに突然だったため、
薬や抗原検査キットも十分に備えていない市民も多い。                                                       香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは
15日、専門家の予測に基づく試算として、
ワクチンの追加接種などを行わずに
防疫措置の緩和を進めれば
中国で100万人近くが死亡する可能性があると伝えた。

遺体の処理が間に合わないとか、
100万人の死者とか、
時間を巻き戻して、
2年半前の欧米の状況の再現かと不思議になる。
ゼロコロナ政策で、
ある段階の変異株までは感染者を抑え込めていたかもしれないが、
感染力の強いオミクロン株の登場で政策維持が不可能になったと
指摘する専門家もいる。

別の専門家は、最終的に中国全人口の60%前後が感染し、
来年1月に感染のピークを迎えると予想し、
高齢者など重症化リスクの高い人々が最も打撃を受けるとみている。

ゼロコロナ政策による都市封鎖で、
たまりにたまった感染エネルギーが
爆発したのか。
それとも、人口のある程度のパーセンテージが感染しないと、
感染が収まらないという法則でもあるのか。
と、少々非科学的なことも考えてしまう。

カタールのWカップの中継で、
マスクをしていな観客の映像を
中国当局は他の映像と差し替えたという。
しかし、映像はもれ、
中国国民がゼロコロナ政策に疑問を持ったのが緩和につながったのだが、
全然マスクをしていない欧米の映像は、
別の惑星の出来事のようだ。

中国メディアの報道では、
各地の感染のピークについて
北京は元旦ごろ、浙江省や山東省、河南省など多くの地域で
来年1月の春節前に集中するとみられる。
春節の大型連休には
帰省や旅行で移動が大幅に増えると思われ、
感染がさらに拡大する恐れもある。

3年前、コロナの拡大と中国の春節が重なった時、
中国からの入国者を受け入れたため、
日本にコロナが侵入した。
その過ちを繰り返さないでもらいたい。