空飛ぶ自由人・2

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「天號星」ライブビューイング

2023年10月11日 23時00分00秒 | 演劇関係

[演劇鑑賞]

今日は、昼前、娘と有楽町に出かけ、
マリオンの中にある

この映画館に。

丸の内ピカデリー1と2が背中合わせにあり、
1は定員623人、2は定員434人。

今日は「劇団☆新感線」「天號星(てんごうせい)」
ライブビューイング

新宿の歌舞伎町タワーの中に新たに出来た劇場、
MIRANO-ZAで公演中を生中継。


実は、2日前の10月9日に
観劇の予定でしたが、
突然、「公演関係者の体調不良により、公演の実施が困難となりました」
との発表があり、
10月4日から9日までの計7公演が中止になってしまったのです。
ロト6は当たらないのに、
こんなことだけ当たるとは。
人気の劇団とあって、
チケットは全日売り切れ。
仕方なく、ライブビューイングでの観劇となりました。
MIRANO-ZA、入りたかったなあ。

中島かずき・作、いのうえひでのり・演出の
作品群は、
日本の演劇の地平を拓くもので、
「いのうえ歌舞伎」と呼ばれています。
以前、IHIステージアラウンド東京で上演した
「髑髏城の七人」を観ていますし、
いのうえ歌舞伎は、「ゲキ×シネ」として映像化されており、
「朧の森に棲む鬼」「髑髏城の七人」「蛮幽鬼」「シレンとラギ」
を観ています。

その、いのうえ歌舞伎の新作。
期待は高まります。

今回のテーマは、江戸を舞台にした「入れ替わり」の話。

口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛の裏の顔は、
世のため人のため、悪党を始末する「引導屋」の元締め。
池波正太郎の「必殺仕置人」へのオマージュらしい。
しかし、真の元締めは女房のお伊勢で、
半兵衛は顔の怖さを買われただけで、
実際は、気弱で温厚、虫も殺せぬ人物だった。

ある時、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す、
はぐれ殺し屋の宵闇銀次が現れる。
引導屋を潰して裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、
銀次は半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする。
だが星の運行による天號星の災いで、
二人を雷が直撃し、
半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。
姿形は銀次だが、その内面はお人良しの半兵衛と、
顔は半兵衛だが、その心は凶暴な銀次。
二人は起こった珍事が理解出来ず、右往左往する。

そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉がやってきて、
銀次の命を付け狙う。
銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。
一方、半兵衛の身体に入ったものの、
引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。
だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく。
その背景に、
材木奉行と材木問屋の陰謀や
星占いの宗教団体、半平衛の娘たちの話
貧乏人たちの団結と抵抗がからむ。

という、いつもながらの荒唐無稽な話を、
力業(ちからわざ)で舞台に展開。
内容はぎっしり
コミカルな場面もあり、
涙の人情話もあり、
何よりすさまじい殺陣
宵闇銀次を演じるのは、今作で新感線7回目の出演となる早乙女太一

これが、やたらとカッコいい。

人斬り朝吉を演じるのは、新感線5回目の出演となる早乙女友貴

大きく成長した姿を見せる。

もはや準劇団員と言ってもいいくらいの兄弟が、
大衆演劇の「劇団朱雀」でつちかった
殺陣の技を披露する。

この殺陣の時の音響が見事で、
刀が風を斬る音、
刀がぶつかりあう「カキーン」という音、
他のものに刀がぶつかる音
を役者の動きに即して使い分ける。
照明では、人が斬られると、
その人が赤く染まる。

細部に至るまで、技術の粋を集めた舞台。
照明、場面転換、装置の回転、音楽と
ことごとく演出の配慮が充満する。

歌と踊りの場面が入るのが、
まさに「歌舞伎」と呼ばれる所以だが、
歌詞が聞き取れない。
ライブビューイングでは、
歌詞を文字にして出すことはできなかったのだろうか。

半兵衛を演ずる古田新太と早乙女太一はダブル主演だが、
脚本の構造上、早乙女太一に脚光が当たるのは仕方ない。
古田新太は、後進に主役を譲ったというところか。


脇を固める新感線おなじみの俳優たちも、
それぞれ役割を理解して、達者に演ずる。

作品全体がケレン味たっぷりで、
歌舞伎はそもそも、そういう見せ物として誕生したのだ。
充実した舞台のノンストップ演劇。
「ゲキ×シネ」になったら観て下さい。

 



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