噂の『TOKYO!』を観てきました。個性豊かなフランス、韓国の監督3人の競演。
ある意味予想どおりでもあり、これが TOKYO?と思うこともあり。ポイントは 「東京」 でなく「TOKYO」 かなぁと。
<Interior Design>
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:藤谷文子、加瀬亮、 伊藤歩、大森南朋、妻夫木聡
『恋愛睡眠のすすめ』で、すっかり監督の催眠術にかかり、気が付いたらエンドロール、感想も書けないほど熟睡(笑)だったという経験から、シュールなんだろうなぁと思ったら、やはりシュールでした。
都会に居場所を見つけるというストーリーは、都会に住む人々の不安な心理をよく表していたと思うし、シュールだけど、浮いてなかったところが良かったなぁと思いました。原作はコミックなのですね。3 作の中ではこれが一番スキかな~。キャスティングも良かったのではないでしょうかね~。
<MERDE>
監督:レオス・カラックス
出演:ドゥニ・ラヴァン、ジャン=フランソワ・バルメール、石橋蓮司
『ポンヌフの恋人』 でボロ布を纏っていたルンペン(ドゥニ・ラヴァン)が、なぜかスーツを着た怪人になってる~と、この時点で大笑い してしまいました。
意味不明なメルド語→フランス語→日本語への通訳で、かなり時間かせぎをしていたかも(笑)。メッセージ性が強いというのはわかるけど、やはり奇抜。怪人はなぜ素っ裸で寝るの?とか、メルド語を理解する人は何者?とか次から次へと疑問が出てきますが、ドン引きと笑いが紙一重でした。
片目がつぶれた怪人メルド、『ポンヌフ~』 でもジュリエット・ビノシュが目 の奇病を患っていたかと。「目」 にこだわりがあるのでしょうか。
<Shaking Tokyo>
監督:ポン・ジュノ
出演:香川照之、蒼井優、竹中直人
ディテール(細部)にこだわるポン・ジュノ監督の緻密なディレクションは、ポン・テールと言われているそうですが、それは香川照之の一挙手一投足によく表れていたと思います。ストーリーもよく練られていて、香川照之の演技力に大きく依存しているものの、彼の持つキャラとよくかみ合っているように思えました。
でも、蒼井優ちゃんの住む代沢 3 丁目(?)にあんな坂はありません。東京ではない、ウチの近所で撮影されたようですが。ディテールにこだわっているのか、いないのか(笑)。
「ひきこもり」 は今やグローバルイシューだし、「地震」 で Shaking しているのは日本全国だし、はたしてこの 2 つのエレメントが 「東京」 の代名詞なのか、ちと疑問でしたが・・・
3 人に共通しているのは、頭の中にある観念的な TOKYO を吐き出したという感じでしょうか。ガイジンの目を通してみた TOKYO ですから、そこはいたし方ないというか、「これぞ東京」 だと合点がいくものは見当たらなかったかな~。視点や素材は面白いと思いましたが。
『パリところどころ』 とか 『パリ、ジュテーム』 のように、人間が街の中に溶け込んだ風景が乏しくて、そうした印象も薄く、こうしたパリものとは明らかに違う都市オムニバスでした。
3 作の中で 「何じゃ、これ?」 と言わしめたのはやっぱり <MERDE> でしょうけれど、怪人のスーツの色が鮮やかな緑で、あの色彩感覚が面白いとか、菊の花がちりばめられた地下で素っ裸で寝ている構図の美的感覚がアジアにはないとか、友人がツッコミまくり、今日の昼休みはメルド談義で盛り上がりました(爆)。
カラックスは、どうして俺の作品が最後じゃないんだ とご不満だったらしいですが、「次はニューヨークで、メルド in USA」 との字幕を見たとたんに 「もう出てこなくていいよーーー」 とツッコミたくなるので、そこで終わったら、観客の後味が悪いことこのうえなく、ポン・ジュノ作品が最後でよかったです(笑)。
>ある意味一番笑えたのがメルドだったかと
何と言ってもこの作品で突出して自己主張の激しいのはメルドに間違いなく、バカバカしいとか言ってしまうとつまらないので、私は最初から最後まで笑っていました。結局、こうやって話題をさらっていくところが憎いですね(爆)。
下水道の怪人が札束と菊をムシャムシャするところは、見ていて不快を通り越してかなり笑えました。ある意味一番笑えたのがメルドだったかと^^;