Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

Korean Art Film Showcase 2008 『妻の恋人に会う』

2008-03-09 01:12:17 | K-Movie Notes

 

『妻の恋人に会う』 
原題: 아내의 애인을 만나다 (2007年 韓国)
監督: キム・テシク
出演: パク・クァンジョン、チョン・ボソク、チョ・ウンジ

韓国アートフィルム・ショーケース (KAFS) 2008 上映作品
link to

KAFS 初日、朝 9:30 上映って早いよ~と思いつつ、キム・テシク監督と主演のパク・クァンジョンの舞台挨拶があるなら行ってみようかと前夜に決めたら、こと遊びに関することならスッパリ起きられるものだ。イメージフォーラム前に着くと、えっ、もう並んでるし・・・

日本で映画製作の学校に通っていたという日本語ペラペラのキム・テシク監督。韓国内では興行がコケて、借金を抱えているそうだ。コケたけれど海外のあちこちの映画祭・イベントからは招待されている。招待されても返済の足しにはならないだろうけれど・・・ ビジネスとアートの相性が悪いのは、今に始まったことではないけれど。

この作品、妻を寝取られたハンコ屋のオヤジ(パク・クァンジョン)が、妻の浮気相手であるタクシー運転手の男(チョン・ボソク)と 1 日ドライブをするという話。

なにせ面白かった 。冒頭のハンコから笑ってしまった。この始まり方がとっても気に入っている。

パンフによると韓国のウディ・アレンという異名をとるパク・クァンジョンは、妻を寝取られたハンコ屋のヨタレオヤジ役があまりにサマになっていた。クローズアップシーンが多くて、オヤジの表情のひとつひとつの細かいところに神経が行き届いているのがわかる。嫉妬なのか、復讐なのか、葛藤なのか、ただのチキン(小心者)なのか。オヤジの表情を読み取るのが楽しい。

オヤジ、オヤジと連呼しているけれど、素のご本人はとてもステキ。見るからに演技派俳優という感じ。

チョン・ボソクは、ドラマや『誰にでも秘密がある』の次女の憧れの教授役で見た記憶がある。「この世に不倫はない。それは愛だ」というセリフがこの浮気男の口から出てくると、薄っぺらくて、ご都合主義な図々しい男なのだけどで、なんとも憎めない男・・・というキャラで好演。

タクシー運転手の妻役のチョ・ウンジは、『甘く、殺伐とした恋人』や『ユゴ』にも出演していて、いつもそのキャラが印象に残る個性派女優。細身のスタイルの良さもあるが、動きがスマートで無駄がない。


妻の浮気が主軸だけど、痴情のもつれがもたらす悲劇とか、道徳的に云々するような展開ではない。監督の話にもあったが、この作品のテーマは不倫ではなくて愛。でも俗に言う韓流愛ではありません。

KAFS パンフの記事、「韓流」へのアンチテーゼのような投げかけが書かれているけれど、韓国のエンタメが、何でもかんでも「韓流」という一言でひとくくりにされてしまったことが残念。

ともあれ、KAFS で謳われているところの「反韓流」は、まさしくそのツボをぐいっと押しているのかも(笑)。