僕は、これまでに幾度か、爆弾テロを目の当たりにしてきた。
ただ、それらは、驚きではあったが、意外ではなかった。
誰の犯行であるかは、すぐに予想がついたからだ。
グァテマラのアンティグアでは、アメリカ人観光客のバスが爆破されたが、これは反政府ゲリラの仕業だった。
ペルーでは、大統領選挙後の投票箱を狙って、投票箱を保管してあった郵便局の前で車爆弾が爆発した。これは、反政府ゲリラ、センデロ・ルミノッソだった。
イスタンブールでは、僕の立っている位置から10メートルの近さにあったゴミ箱が爆発した。クルドゲリラ・PKKの爆弾だった。
1998年のあの日までは、爆弾テロというのは、こうした紛争地域、、もしくは反政府活動の活発な地域で起こるものだった。紛争のない地域で爆弾が爆発することなど、まず考えられなかった。
しかし、ナイロビとダルエスサラムの米大使館爆破テロ以降、そうした概念は覆された。
あの日を境に、テロに国境はなくなった。
そしていまや世界中の都市が、テロのターゲットなのだ。
だが、注意して観察すると、なぜかテロは必要なときに、必要なところで実に都合よく起こる。
昨年の、インドネシアの大統領選挙の前に、ジャカルタとバリ島で爆弾が爆発した。その結果、アメリカに都合の悪いメガワティ大統領の威信は失墜し、アメリカに忠実なユドヨノ候補が当選した。
テロが発生すると、なぜか決まってアメリカに有利な結果が生まれる。
21世紀になって、まだ数年しか経っていないのに、すでに、おびただしい血が流されている。
21世紀は、「テロの世紀」として歴史に記載されることになるのかもしれない。
20世紀は「熱い戦争」と「冷戦」の世紀だった。そしてどちらも、アメリカの覇権を拡大し、アメリカを潤す結果となった。「テロの世紀」も間違いなくアメリカを潤すことになるだろう。
ヒットラーを悪魔と呼び、ソビエトを悪の帝国と呼んだように、北朝鮮・イラン・イラクは「悪の枢軸」と呼ばれた。
結局のところ、アメリカが「悪」を必要としているのであって、アメリカの都合で「悪」が作られているにすぎない。
アメリカはなぜ「悪」を必要としているのか。
「平和」はカネにならないからだ。「平和」はアメリカの覇権を低下させるだけなのだ。アメリカの覇権を維持拡大するには、「悪」の脅威が必要なのだ。
──「テロ」とはすなわちメイド・イン・USAだ──
「テロの世紀」の主役と言えば、オサマ・ビン・ラディンとアル・カイダだ。
ナイロビとダルエスサラムのアメリカ大使館爆破テロの翌日には、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌に「オサマ・ビン・ラディン」の名が躍った。世界がはじめて、オサマ・ビン・ラディンの名を知った日だ。
いま考えれば、このときの報道はあまりにも出来すぎていた。人が知りたがる情報がすでに満載されていた。まるで、用意されていたかのような、くわしい記事が続々と掲載された。
しかし、具体的な証拠など、何一つ提示されなかった。
後のイラクの「大量破壊兵器」と同じなのだ。
アメリカがそう言っているから「事実」になったにすぎない。
それだけの、理由だ。
今日に至るまで、ビン・ラディンを犯行と結びつける一片の証拠も提示されていない。
しかし、アメリカは証拠もない相手を、犯人にする決定的な方法を持っていた。
それは、「報復」することだ。
アメリカは米大使館爆破テロからたった13日後に、ビン・ラディンがいるとされるアフガニスタンの軍事訓練キャンプに巡航ミサイルを70発も撃ち込んだ。ビン・ラディンの化学兵器工場だと言いがかりをつけ、スーダンの工場にも巡航ミサイルが撃ち込まれた。このとき破壊されたスーダンの施設は、普通の製薬会社だった。しかも、アフリカの貧困層に、安い高品質の薬を供給している優良企業だった。
アメリカは、オサマ・ビン・ラディンが犯人だからミサイルを撃ち込んだのではなく、オサマ・ビン・ラディンを犯人にするために、ミサイルを撃ち込んだのだ。一発1億8000万円もする巡航ミサイルを70発も使って「報復」したからには、確実な証拠があるはずだと世界は思い込む。そういうカラクリなのだ。それまで、ほとんど無名だったオサマ・ビン・ラディンは、テロの総元締めとして世界の憎悪を独り占めにした。
もちろん僕もまんまと、引っかかった。
しかし、アメリカが「こいつが犯人だ」「こいつが悪だ」「こいつを叩き潰せ」と声を大にして叫ぶとき、それはいつも計画された言いがかりなのだ。イラクに「大量破壊兵器」はなかった。サダム・フセインとアル・カイダとは何の関係もなかった。アメリカには、はじめからわかっていたことだ。そしてイラク攻撃の最大の理由が二つとも、事実ではなかったことを表明した後も、アメリカ軍はイラクに居座り続け、イラク人を殺戮し続けている。すべては、サダムとイラクを攻撃し、石油を奪うためのデタラメの口実だったのだ。
タリバーンのアフガニスタンもまったく同じ手法で、攻撃され、殺戮され、占領されてしまった。
クリントンによるアフガニスタンとスーダンへの「報復」ミサイル攻撃は、ビン・ラディンを世界の敵に仕立て上げるためのショーだったのだ。米大使館爆破テロとは、すなわち、ビン・ラディンを世界の有名人にし、後のテロの責任をすべてかぶせるための下準備だった。
したがって、オサマ・ビン・ラディンは、911テロの黒幕でもなんでもない。アル・カイダという組織が本当に実在するかも、大いに疑わしい。ブッシュ家とラディン家が、非常に近しい利害関係にあることは、いまや周知の事実だ。
ただ、それらは、驚きではあったが、意外ではなかった。
誰の犯行であるかは、すぐに予想がついたからだ。
グァテマラのアンティグアでは、アメリカ人観光客のバスが爆破されたが、これは反政府ゲリラの仕業だった。
ペルーでは、大統領選挙後の投票箱を狙って、投票箱を保管してあった郵便局の前で車爆弾が爆発した。これは、反政府ゲリラ、センデロ・ルミノッソだった。
イスタンブールでは、僕の立っている位置から10メートルの近さにあったゴミ箱が爆発した。クルドゲリラ・PKKの爆弾だった。
1998年のあの日までは、爆弾テロというのは、こうした紛争地域、、もしくは反政府活動の活発な地域で起こるものだった。紛争のない地域で爆弾が爆発することなど、まず考えられなかった。
しかし、ナイロビとダルエスサラムの米大使館爆破テロ以降、そうした概念は覆された。
あの日を境に、テロに国境はなくなった。
そしていまや世界中の都市が、テロのターゲットなのだ。
だが、注意して観察すると、なぜかテロは必要なときに、必要なところで実に都合よく起こる。
昨年の、インドネシアの大統領選挙の前に、ジャカルタとバリ島で爆弾が爆発した。その結果、アメリカに都合の悪いメガワティ大統領の威信は失墜し、アメリカに忠実なユドヨノ候補が当選した。
テロが発生すると、なぜか決まってアメリカに有利な結果が生まれる。
21世紀になって、まだ数年しか経っていないのに、すでに、おびただしい血が流されている。
21世紀は、「テロの世紀」として歴史に記載されることになるのかもしれない。
20世紀は「熱い戦争」と「冷戦」の世紀だった。そしてどちらも、アメリカの覇権を拡大し、アメリカを潤す結果となった。「テロの世紀」も間違いなくアメリカを潤すことになるだろう。
ヒットラーを悪魔と呼び、ソビエトを悪の帝国と呼んだように、北朝鮮・イラン・イラクは「悪の枢軸」と呼ばれた。
結局のところ、アメリカが「悪」を必要としているのであって、アメリカの都合で「悪」が作られているにすぎない。
アメリカはなぜ「悪」を必要としているのか。
「平和」はカネにならないからだ。「平和」はアメリカの覇権を低下させるだけなのだ。アメリカの覇権を維持拡大するには、「悪」の脅威が必要なのだ。
──「テロ」とはすなわちメイド・イン・USAだ──
「テロの世紀」の主役と言えば、オサマ・ビン・ラディンとアル・カイダだ。
ナイロビとダルエスサラムのアメリカ大使館爆破テロの翌日には、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌に「オサマ・ビン・ラディン」の名が躍った。世界がはじめて、オサマ・ビン・ラディンの名を知った日だ。
いま考えれば、このときの報道はあまりにも出来すぎていた。人が知りたがる情報がすでに満載されていた。まるで、用意されていたかのような、くわしい記事が続々と掲載された。
しかし、具体的な証拠など、何一つ提示されなかった。
後のイラクの「大量破壊兵器」と同じなのだ。
アメリカがそう言っているから「事実」になったにすぎない。
それだけの、理由だ。
今日に至るまで、ビン・ラディンを犯行と結びつける一片の証拠も提示されていない。
しかし、アメリカは証拠もない相手を、犯人にする決定的な方法を持っていた。
それは、「報復」することだ。
アメリカは米大使館爆破テロからたった13日後に、ビン・ラディンがいるとされるアフガニスタンの軍事訓練キャンプに巡航ミサイルを70発も撃ち込んだ。ビン・ラディンの化学兵器工場だと言いがかりをつけ、スーダンの工場にも巡航ミサイルが撃ち込まれた。このとき破壊されたスーダンの施設は、普通の製薬会社だった。しかも、アフリカの貧困層に、安い高品質の薬を供給している優良企業だった。
アメリカは、オサマ・ビン・ラディンが犯人だからミサイルを撃ち込んだのではなく、オサマ・ビン・ラディンを犯人にするために、ミサイルを撃ち込んだのだ。一発1億8000万円もする巡航ミサイルを70発も使って「報復」したからには、確実な証拠があるはずだと世界は思い込む。そういうカラクリなのだ。それまで、ほとんど無名だったオサマ・ビン・ラディンは、テロの総元締めとして世界の憎悪を独り占めにした。
もちろん僕もまんまと、引っかかった。
しかし、アメリカが「こいつが犯人だ」「こいつが悪だ」「こいつを叩き潰せ」と声を大にして叫ぶとき、それはいつも計画された言いがかりなのだ。イラクに「大量破壊兵器」はなかった。サダム・フセインとアル・カイダとは何の関係もなかった。アメリカには、はじめからわかっていたことだ。そしてイラク攻撃の最大の理由が二つとも、事実ではなかったことを表明した後も、アメリカ軍はイラクに居座り続け、イラク人を殺戮し続けている。すべては、サダムとイラクを攻撃し、石油を奪うためのデタラメの口実だったのだ。
タリバーンのアフガニスタンもまったく同じ手法で、攻撃され、殺戮され、占領されてしまった。
クリントンによるアフガニスタンとスーダンへの「報復」ミサイル攻撃は、ビン・ラディンを世界の敵に仕立て上げるためのショーだったのだ。米大使館爆破テロとは、すなわち、ビン・ラディンを世界の有名人にし、後のテロの責任をすべてかぶせるための下準備だった。
したがって、オサマ・ビン・ラディンは、911テロの黒幕でもなんでもない。アル・カイダという組織が本当に実在するかも、大いに疑わしい。ブッシュ家とラディン家が、非常に近しい利害関係にあることは、いまや周知の事実だ。