報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

人民元2%切り上げ

2005年07月24日 19時43分19秒 | □経済関連 バブル
 中国が、人民元を2%切り上げた。
 しかし、たいした事件ではない。
 たった2%の切り上げなど、中国にも世界にも何の影響もない。
 ここで、取り上げる必要のないニュースだ。

 問題に思うのは、人民元切り上げに対する日本のメディアの大騒ぎだ。異常としか思えない。22日の日経新聞の一面は、二段ぶち抜きで、
『人民元2%切り上げ』
 というでかい見出しをつけている。
 これでは、とんでもないことが起こったという印象を与える。
 2%の切り上げなど、ほんの調節程度にすぎない。
 続いて5面では、小さな見出しではあるが、
『「円」の71年切り上げに相当』
 とある。
 これもまったく妥当とは言い難い。
 71年のニクソン・ショックでは、円は360円から308円へと約15%も切り上げられたのだ。しかも、ドルと金の交換が停止され、世界経済は大混乱となった。これは大きな世界的事件だった。その71年の円切り上げに相当とは、あまりにも誇張がすぎる。

 もちろん、つまらない事件に大きな見出しをつけてはいけないという法はない。
 しかし、見出しというのは、読者にとってはひとつの目安だ。そのニュースがどれだけ重要であるか、あるいは緊急であるかを、読者は見出しで判断する。
 新聞社は、その心理を利用して、読者をミスリードすることが出来る。ドルペッグ制で固定相場を取っていた人民元が微量とはいえ、変動に移行したことは、確かに「事件」ではある。しかし、2%程度の調節幅にそこまで紙面で大騒ぎするのは不自然だ。日経新聞の紙面には、あきらかに意図的な誇張を感じる。

 なぜ、このような不自然な紙面づくりがなされるのだろうか。
 人民元2%切り上げよりも、「郵政民営化」の方が世界的な大事件だ。何といっても350兆円もの資金が市場に放出されるのだから。この大事件が、衆院を通過し、来月5日には参議院で採決される。いよいよ天王山なのだ。にもかかわわず、日経新聞は驚くほど小さくしか扱っていない。国民の富350兆円の行方を決する大事件を、経済専門紙がこの程度にしか扱わないというのは、これこそが、あまりにも不自然というしかない。

 たいしたこともない事件を過大に扱い、本当に大事な事件を取り上げない。日本のメディアは、国民を意図的に落し穴にミスリードしている。明らかな確信犯だ。日本のメディアは、いつか断罪されなければならない。既製メディアは、放っておいても遠からず、姿を消す運命にはある。しかし、なるべく早く消えて欲しいものだ。

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