報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

第3次小泉改造内閣について

2005年11月02日 19時58分32秒 | ■時事・評論
第3次小泉改造内閣が発足したようだが、顔ぶれについては特に興味はない。
小泉首相は、
「しがらみ(派閥)がないから選びやすかった」
「改革に励んで欲しい」
とコメントしている。

自分の思い通りに「改革」に励んでくれる人物を選んだということだろう。つまり、ここでも大臣に「改革競争」をさせて楽しむというようにも聞こえる。これから大臣諸氏は、何でもかんでも「改革」と叫び、デタラメなことをしだすのではないか。とにかく小泉首相を喜ばせれば地位は安定する。それに失敗すれば切り捨てられる。独裁者に対するゴマスリ・ニセ改革合戦が始まるのだろう。もはや、小泉首相に諫言する者などどこにも存在しない。

これまでの「改革」を見れば明らかだが、小泉改革とは、旧利権構造の温存・強化にすぎない。本当の改革など何一つ行われていない。本来、とっくに消えてなくならなければならない旧利権構造や企業群はいまでも存在し続けている。郵便貯金は「民営化」と言いながら、りそな銀行には2兆円も投入して「国有化」している。まったく矛盾している。

腐敗し硬直化した官僚機構にはまったく手が付けられていない。「民営化」によって、天下り先は減るどころかさらに増えている。ゾンビ企業もこのまま永遠に生き、国民の生活を脅かし続ける。憲法が「改正」されれば、自衛隊は米軍の傭兵と化すだろう。

小泉首相の「構造改革」はいっさい「構造」には手をつけていない。それは、腐敗した旧利権構造を温存したいからにほかならない。こうした構造が日本経済をガタガタしたのに、本質的な問題には手をつけず、できるだけ先送りにして誤魔化そうというのが、小泉改革の実体だ。

そして、腐った構造を温存するためにかかるコストは、すべて「増税」で国民に押し付けてしまう、というのが小泉流だ。「障害者自立支援法」なども形を変えた「増税」だ。大臣諸氏は、これからその「改革競争」を行うことになる。小泉政権のウソやデタラメ、ゴマカシがさらに加速していく。

ベンジャミン・フルフォード氏は、「本当に国を滅ぼすのは、経済や政治ではない。為政者たちのウソやゴマカシである」と述べている。

「共産党独裁だったソ連も、為政者たちはウソやゴマカシで自国民と世界を騙し続けた。その結果、滅んだのである。太平洋戦争中の日本も、負けている事実を国民にひた隠しにし、『勝った、勝った』と言いながら、やがては大敗した」
(『ヤクザ・リセッション』光文社)


小泉首相も、「改革、改革」と叫びながら、いっさい改革などしていない。旧利権構造をさらに温存強化し、そのツケをすべて国民にまわしている。まさに戦中の日本と変わりない。それが、われわれの目の前で、いままさに現在進行中なのだ。小泉改革の、行き着く先も、当然明白だ。

第3次小泉改造内閣について、コメントを求められた亀井静香氏は「日本は滅びるよ・・・こんなことは言いたくないけど・・・」と言葉少なかった。亀井氏も、はっきり言って腐敗した政治家の一人だ。過去幾度となく収賄の噂がたっている。それをうまく乗り切ってきた、裏社会に通じた大物だ。しかし僕には、政争に敗れた将の単なる負け惜しみには聞こえなかった。とても、リアリティをもって響いた。

フルフォード氏の言葉をもう少し続けよう。

「民主主義というシステムは、人類の歴史上もっとも腐敗から遠いシステムのはずだ。歴史を見れば明らかだと思うが、腐敗がある国ほど、経済はうまくいかず、国民は貧しくなる。アジア、アフリカの多くの国が、民主主義政権を樹立し、資本主義経済を導入したにもかかわらずうまくいかなかったのは、もともとの支配階級の腐敗を断ち切れなかったからだ。共産主義国家でもこれは同じだ」

日本人なら誰でも、日本に潜む腐敗の構造をなんとなくでも理解しているはずだ。そしてそれを「仕方のない」こととして受け入れてしまっているのではないだろうか。いくら小泉改革にNOと言っても、この構造を「仕方ない」で受け入れてしまっては、日本は本当に破滅するしかない。倒すべきは、小泉改革によって温存されている腐敗しきった利権構造だ。

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2 コメント

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クオレさんへ (中司)
2005-11-04 01:28:51
なにもかもが、予定調和というか、誰もが与えられた役割を演じているだけの政治という感じです。列を乱す者も、波風立てる者もいない。まさに三文オペラです。

こんな政治をこのまま放っておけば、日本は破滅へ向って進んでいくだけです。



日本の未来は、国民が切り拓くしかないです。
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三文オペラ! (クオレ)
2005-11-03 15:54:35
 小泉劇場の終幕、第3次改造内閣を見て、

 すべてが読み取れたようです。

 小泉チルドレン・シスターズ、やれマドンナと、財界・マスメティアをあげての馬鹿はしゃぎ。要は単なる選挙用に利用されたツールに過ぎなかった。大きな論功賞の思惑が外れたり、何で初当選で入閣?、と。恨み、辛み、妬み、やっかみ交々と煩いかぎり。

 民主党の前原代表にいたっては、この改造内閣と党人事を「実力者が多く、奇をてらう人事もあまりない。首相の本気が出ているのではないか。真の改革を競う形で負けないように頑張りたい」と高い評価には、呆れて物も言えない。

 政治屋の政治ごっこもいい加減にしろ。

 日本の前途・未来が思いやられます。

 「面白うて やがて悲しき 鵜舟かな」

 小泉劇場の三文オペラの終幕の緞帳を一刻も早く下ろさせましよう。



 米経済誌「フォーブス」アジア太平洋支局長のベンジャミン・フルフォード氏(在日カナダ人ジャーナリスト)は、

 「日本は民主々義国家ではなく、泥棒国家。政・官・業・ヤクザが癒着した利権構造の上に成り立つ日本の行く末には、アルゼンチンのような国家破産が待っている。」と。日本の大手メディアが決して伝えない、日本国家の本質を鋭く指摘しています。

 日本ではエセジャーナリストの多い昨今、溜飲の下がる思いです。

 また、フルフォード氏は、今回の選挙前に、「日本の将来を決める大事な選挙」と位置づけて、「小泉首相のメディアを利用したプロカバンダに騙されてはならない」とも警告していたことをも付記しておきます。

 

 

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