魚1匹1匹に、それぞれ想いを込めて、
毎日育てている私。
導入した時のことを思い出しながら、
魚に話しかけてみたりする事も多々ある…。
金魚を導入した際は必ず、
目標のように自分へ言い聞かせていることがある。
それが、
『丸1年を迎えられるよう育てること』だ。
導入した個体が、無事に1年を迎えることは、
私にとってかなりハードルの高い目標でもある…。
遡ること今から1年前の話。
冬の風が吹きぬける店の水槽内で泳ぐ沢山の蝶尾。
蝶尾が好きな私は嬉しそうに蝶尾たちを見ていたのだが、
他の蝶尾は機敏に泳いでいるのに、1匹だけ泳ぎが鈍く、
他の子よりも鰭が長く見えた子がいた。
ボロボロだったこの子を迷いもなく手にして、
途中、何度も電車の中で金魚の入った袋を覗きながら、
家に帰ったあの日。
金魚を導入する際、病気や傷のある個体は、
なるべく導入を避けるのが一般的なのだが…
それすら忘れて購入したのには訳がある。
蝶尾×蝶尾を掛け合わせると生まれるという、
ロングフィンタイプの蝶尾。
それまで金魚に名前は付けなかった私でしたが、
夢心地にさせてくれる金魚…ということで、
夢心地を中国語で→
梦境と名付け、
梦境と過ごす日々が始まりました。
金魚にも泳ぎが上手な品種と下手な品種はいますが、
梦境は超が付くくらい泳ぎが下手な子。
鰭が長いので泳ぎ負けしてしまう梦境…。
他の出目金は、餌に向かって泳ぎも機敏だが、
梦境だけは餌まで泳ぐのでさえ一苦労、
突出した眼でパクパクと餌を探し始めた時には、
他の子たちに餌を食べ尽くされた後でした。
『他の子と一緒に管理するのは、やめた方が良い。』
お世話になっている金魚屋さんにアドバイスを頂き、
梦境を単独飼育に切り換えた私。
泳ぎ負けしないよう食べさせなければ…
意識して給餌し迎えたある初夏の日、
梦境は『鰓病』になってしまいました。
酸素もしっかり与えていた中で発症した鰓病。
給餌の仕方に問題があったとしか言えず、
塩と換水と酸素の供給を欠かさず、様子を見る毎日。
魚の鰓は、人間にとって肺と同じ役目を果たす器官。
病原菌が鰓に寄生し鰓を食い荒らし、
やがて呼吸不全になり死に至る…。
金魚飼育を始めた頃、鰓病で魚を死なせ悔やんだだけに、
今度こそ鰓病を克服させてみたいと思い、
自分なりに病態生理を描き治療に取り組んだ私。
閉じていた鰓も開き、症状も落ち着き出したある日のこと。
いつものように換水して水槽に戻すと、呼吸が不規則に…。
水槽の底でもがき始め、
『これは、危ない!』と慌てて掬い出した時には、
梦境の鰓も体も動かなくなっていました。
換水の手順には何ら問題も見当たらず、
一体何が起こったのか、状況わからぬまま…。
心取り乱した私は、エアを全開にして、
開いたままの口に当てて、酸素供給。
動かなくなった鰓に、そんな事をしても戻らない…
わかっていても半泣きになりながら行うこと数分。
微かながらに鰓は動き、徐々に鰭も動かし始めた梦境。
丁度このとき、他の金魚が次々と暑さで☆になり、
自信を失いかけていた矢先の、奇跡的な出来事でした。
大変な夏を乗り切り、秋を迎え、年を越し…
導入時に掲げた『丸1年』を、梦境も迎える事が出来た昨日。
迎えられるようでなかなか迎えるのが難しい、丸1年。
迎えられたことへ心から素直に喜びたい私だけど、
また重みのある1年がスタートした事には変わりない。
相変わらず、手がかかる梦境ではありますが、
これが更紗模様の、普通タイプの蝶尾だったら…
きっとあの時、連れて帰ってくる事はなかったと思う。
導入時の画像と比べれば変化がわかると思いますが、
尾芯にしか目立たなかった朱色は、
今では尾全体に色が入っています。
そうした変化を感じながら、2年目を迎えられるよう…
梦境を、これからも管理していきたいと思う私です。
Thank you very much for accessing.