らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

L.v.Beethoven 第12番 変ホ長調 Op.127奮闘記 vol.3

2010年03月19日 23時49分41秒 | クァルテット
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 実はこのOp.127を正式に演奏予定を入れる前からスコアを所有していて、たまにCDを聴きながら流し読みしていました。家にあるこのOp.127の演奏CDを列挙すると、アマデウスQ、アルバンベルクQ (2種類)、ブダペストQ、ゲヴァントハウスQ、クリーヴランドQ、ハーゲンQ、キュッヒルQ、バリリQ、リンゼイズ、エンデリオンSQ、フェルメールQ、グァルネリQ、上海Q、スメタナQ、ラサールQ・・・

 まだまだありそうですが・・・。汗。

 ベートーヴェンの後期の演奏をする時に演奏者がまず譜面を見て考えることがあります。ボウイングの事です。譜面の中にスラー(slur)というのがあります。音楽を全然知らない人は聞いたことがないでしょうけど、この音符と音符の間にスラ~がかかっていると、(例えば2つの音符にスラ~がかかっているとします)我々弦楽器奏者は弓を1回上下させる中で、その二つの音符を演奏しなければならない決まりになっています。

 そうする事によって、その2つの音は滑らかに繋がって聞こえるのです。スラーは2つの音符だけにかかるのではなくて何個の音符にかけても良いのですが、ベートーヴェンの後期の作品になると1つのスラ~がかかっている時間が長い場合が多いのです。まずそれが第一関門でしょうか?

 例えば、第1楽章の冒頭Maestosoが終わりAllegroに入った所のヴィオラは7小節もの間~1つのスラ~がかかっています。それをワンボウイングで演奏する事は何とか可能ですが、それでは音楽の起伏を作りにくいのでどこかでスラ~を作曲家に内緒で切る事をします。

 Allegroのテンポにもよりますが、無理をすれば1往復のダウンアップで演奏出来ます。機械的に真ん中でとはいかないのが音楽です。演奏者にとって、このスラ~が意味している事がもう一つあります。スラ~で括られたのが、一つのフレ~ズという意味です。弦楽器奏者が習慣的にやっている1つのスラ~は1つのボウイングという事をしないで、(無理をしてかかっているスラ~を守りすぎても音楽が小さくなる危険性があります)、どう音楽が流れているか、どう表現したいかで団体の個性~強いては個人の好みでスラ~を分断してゆきます。

 もちろんそこには、作曲家が書きたかったワンフレ~ズを無視しないで、慎重に分断してゆくのです。

 そこには、正解はないので、上記に上げた各団体もそれぞれのやり方で演奏しています。

 曲をよく練習してみて、先輩達の演奏を色々聞き比べて、又練習しての繰り返しで、やっと自分にしっくりくるボウイングを捜すのがとにかく大変な作業です。そうまでしてせっかく決めたボウイングを今度は他のメンバ~と合わせるために変更しなければならなくなることは日常茶飯事です。他メンバ~と無理してボウイングを合わせるのか?はたまた目をつぶってわざとずらすのか?いつも葛藤するところです。

 本番直前にやはりこうする方が良かろうと変更することもしばしばあります。

 面倒くさくて機械的にボウイングをまず決めてという作業から譜面を練習しだしてしまうと、後で後悔することも多々あります。シンプルなボウイングは、演奏しやすさが先にたちますが、やはり音楽ありきでボウイングを決めてゆく方法が好きです。

 なので、結局1回の本番では、曲の深みまで到達することは叶わずというのが毎回正直なところです。しかし、今努力しておけば今後に繋がりますので、頑張っています。

 難しい話でした?

 あと定期演奏会当日まで32日!!(戦艦ヤマト風・・・。次回に続く)
コメント (2)
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