らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

BARYLLI QUARTET

2010年03月24日 23時55分29秒 | お気に入りのCD
 レッスンの友社から出ている弦楽専門誌「ストリング」は、我々プロが購読しても(むしろプロが読むべき?)興味深い記事が掲載されている貴重な雑誌です。既に通算300号近い歴史のある月刊誌で、専門的な(マニアック)な記事が豊富で、よく続いているなぁ~と感心しています。

 そのストリングで連載されている幸松肇氏による「ウィ~ンの名弦楽四重奏団たち」という記事が面白いです。弦楽四重奏馬鹿の中では神様の存在に近い幸松肇氏の豊富な知識と所有している膨大な資料を利用して記事を書いているので(想像です)、とても勉強になっていたりします。ウィ~ンの~には副題もあって「その誕生と闘争の軌跡」とありますから、弦楽四重奏の歴史を知るにはもってこいです。

 さて、昨年の10月・11月には、とうとうBARYLLI Qについて記事にされていました。バリリというウィーンフィルのコンサートマスターが組織していたバリリQは、1945~59に活動していたウィ~ンの団体です。

 バリリの手の故障のために、早く解散したので1952~56年にかけて録音されたBeethoven全集は当然モノラル録音です。レーベルの1949年に創立したウエストミンスターは、当時のウィ~ンの名手達の録音を数多く残していて(例えばクラリネットのウラッハなど)、世界中のレコードファンには愛されていた有名なレコード会社でしたが、今はユニバーサル傘下に入り歴史的録音を少しずつですが復刻しています。

 バリリQの全集がおすすめですが、今日は、第10番と第12番のCDを上げておきます。

 第10番「ハ~プ」について幸松肇氏は全集の中で最高の名演と記述していました。

 第12番Op.127の評価は以下のとおりです。

 「Op.127では親密感のある語り口はいいのだが、その口調はあまりにも落ち着き過ぎている」・・・・・。

 確かにそうとも感じるのですが、Beethovenの全集を何種類も所有しているのにわざわざこのモノラル録音に手が届く理由は、まさに幸松肇氏が言った所を聴きたいからです。この時間を超越して、上から雪でも降ってくるような、決して忙しくならない語り口がモノラルの音色ととてもあっていて、気が静まる気がします。基本的にBeethovenは気分を高める音楽なので、今はむしろ、この演奏は新鮮に聴こえてきます。もの凄く悪い言い方をすると、この時代遅れ的な演奏がむしろ現代のせわしない世の中に癒しをくれるような・・・・。

 本当に良い音楽です。

 この幸松肇氏の連載は是非ともまとまった形で、本として出してもらってまとめて読んでみたいです。記事自体はストリングを部屋の山から引っ張り出してくれば全部読めるんです。でもそれは実に時間のかかる面倒くさい行為で、1冊の本として読んでみたいのです。レッスンの友社さんお考え下さいね。
HMVジャパン
コメント (2)
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