倉野立人のブログです。

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国会論戦〝目玉〟の中で ~障害者支援の「改正法案」提出へ~

2022-10-04 | 日記

秋の臨時国会が開会、今年の年末に向けて論戦がスタートしています。

コロナ禍や諸物価高騰など 厳しい社会情勢を踏まえての経済対策、また一方で いわゆる〝旧統一教会問題〟など、課題と問題がない交ぜになった中で 連日に亘り紙面や画面を賑わせることになるのでしょう。

そんな〝目玉ネタ〟が引きも切らない中、私は一本のニュースに注目しました。

「障害者支援、改正法案提出へ、1人暮らしや就労に新事業」というものです。

 

 


報道によると、障がい者の地域生活や就労への支援を手厚くしようと、厚生労働省が この臨時国会へ関連法改正案を提出する運びとなっているそうです。

基本法である「障害者総合支援法」は、さきに①利用者者負担の見直し ②障害者の範囲の見直し ③相談支援の充実 ④障害児支援の強化 ⑤地域における自立した生活のための支援の充実 などを期して改正されておりますが、今回は これに加えて、精神保健福祉法など複数の改正案を束ね、例えば 障害者が少人数で共同生活するグループホーム等について、一人暮らしやパートナーとの同居を望む人を支援する新たな種類を設ける他、社会参加(就労)に向けた支援を行なう内容となっているとのことで、2024年度に施行したい考えとのことです。

 

[参考]障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて(社会保障審議会障害者部会 報告書)

              ↓

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000950635.pdf

 

 

わが国の障がい者支援については、さきに国連の『障害者権利委員会』が その現状について〝ダメ出し〟をするなど、世界水準から大きく立ち後れていることが指摘されているところであり、それらを踏まえての〝新たな支援〟の打ち出しとも捉えられるところです。

一方で、いくら制度を改正し〝枠組み〟ばかりを整えたとしても 支援する「人」の意識がシッカリとしたものでなければ、いわば「仏つくって魂入れず」の顛末となってしまうとの意見も聞かれるところです。

 

 

その 悪しき典型となるような事例が散見されており、憂慮の念を抱かされると同時に この辺りを抜本的に変える…とういうより、関係者が「原点に戻る」意識を持たなければならないと思わされるところです。

過般 上田市の通所型障がい者福祉施設において、あろうことか 施設職員が通所者(利用者)さんを殴るなどの暴行を加えたとして、20才の職員が傷害容疑で逮捕されたことが報じられたのです。

 

 

 

報道によると、当該の職員は 勤務先の施設で、30代の利用者さんをパイプ椅子で殴るなどし 腹の打撲など2週間のケガを負わせたとのこと

そして さらに問題なのが、この暴行が単独のものではなく、他の職員ら2人と共謀して犯行に及んでいたとみられていることです(上田警察署調べ)。

これを受けて 警察や関係機関は、施設内で 職員らによる通所者らへの暴行が常態化していなかったかどうかを詳しく調べる方針とのことでした。

 

・・・・・。

今回の悪しき報道をはじめ、最近 全国の障がい者施設や高齢者施設など、いわゆる社会的弱者を支援する施設で 考えられないような虐待・傷害事件が頻発しており、由々しき思いをさせられています。

百歩譲って言えば、かかる〝虐待職員〟も 就職したての頃は「社会的弱者を支援したい」との熱意(=優しさ)をもって仕事に就いたハズです。

それが…どのような経過を辿って変節してしまったのでしょうか。

そこには 淀(よど)んだともいえる職場環境や、利用者さんを「お客様」として考えない 悪しき主客逆転の考え方の蔓延→それを容認する先輩職員の存在など、さまざまな悪要因が想像されるところです。

と いうのも、今回 上田の施設で摘発された職員は僅か20才代の若者。おそらくは勤務数年の中で悪魔の所業に手を染めた背景には、彼の悪しき素養を助長させる〝悪しき職場環境〟があったことが往々にして想像できるところです。

また、今回は 暴行という形で職員による虐待が大きく報じられましたが、実際には いわゆる言葉の暴力や威圧的なモノの言い方など、目に見えない虐待事例も遍在していることが側聞されており、地域の拠り所(よりどころ)であるハズの福祉施設は 一体どうなっているんだと懐疑的にならざるを得ないところです。

 

かかる事案を反面教師とし、福祉施設の健全運営には「職員の意識」が基本中の基本であることを再認識し、そこから〝改正〟してゆかないことには 真の障がい者支援は成り立たないのではないか、とも思わされたところでありました。

翻(ひるが)って、問題の背景には 福祉施設における職員待遇も課題であることも挙げられているところではありますが、それとは別次元での「職員意識」の問題、これを通底に据えて「福祉向上」を議論すべきと思う者の一人です。