倉野立人のブログです。

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市役所庁舎「清掃ロボット」のデモンストレーション…一方で「障がい者雇用」を期する

2022-08-03 | 日記

この日(2日)の午前、屋内通路の床掃除を自動で行なう「清掃ロボット」のデモンストレーションが長野市芸術館前のフロア(通路)で行なわれたことから、見学に足を運びました。

 

 

 

 

この取り組み(デモンストレーション)は、長野市が進める「行政DX推進計画」の一環として 業務効率化の観点から「ロボット」などの先端技術の活用について調査研究を進めることを趣旨(主旨)として行なわれたものです。

長野市においては 今年度から、総務部の中に「情報化推進グループ行政DX推進課」が新設され、こちらの所管課が中心となって「ロボット化」の研究を進めることになっています。

 

 

 

今回のデモンストレーションについては、さき(26日)に 庁内を巡回する「警備ロボット」のデモンストレーションが行なわれ、この日は〝第二弾〟として「清掃ロボット」のお披露目となりました。

 

 

 

この「清掃ロボ」約50㎤の箱型で、本体が縦横に動きながら床のゴミ(塵/ちり)を吸引するものです。何というか、家庭用の「ルンバ(商品名)」のデッカイ版とでも申しましょうか。

で、その仕様(システム)は意外とシンプル。

 

 

 

まず、本体上部のタッチパネルに業務内容(清掃パターン)等を入力します。

 

 

 

その後、一旦は人力で 清掃させたい範囲を押し歩き、清掃ルートを覚えさせます(AI化)。

 

 

 

その後 スタートボタンを押すと、アラ不思議…件(くだん)の清掃ロボは 静かな音を立てながら 床のゴミ(塵)を吸引しながら自走を開始しました。

 

 

 

この清掃ロボ、多くの人が通る通路を自走させることから (人との)衝突事故が懸念されるところですが、訊けば 前面にセンサーか組み込まれているとのこと、もし自分(ロボ)の前に人がいても、そこを避(よ)けて走行することができます。

 

 

 

【参考】「清掃ロボット」仕様説明サイト

        ↓

https://www.it-ex.com/products/maker/irisohyama/whiz-i-iris.html

 

 

 

こちらの清掃ロボットは、1時間あたり500㎡(テニスコート2面分)の清掃が可能で、遠隔からも稼働状況を確認できるなど〝ロボット化〟に伴う業務効率向上は 一定程度期待できそうであります。

 

しかしながら、です。

私は、今回の「清掃ロボットのデモンストレーション」の知らせを聞いた瞬間から「これ(施設内清掃)って、例えば知的・精神障がい者さん(以下 障がい者さん)の「役務(えきむ)として購(あがな)える作業内容じゃないか。」と思い、今回のデモンストレーションにおけるロボットくんの〝働きぶり〟を見て 一層その思いを強くしたところです。

訊けば、このロボのリース料は 月額で約5万円とのこと。

で あるとするならば、障がい者さんを雇用して 工賃(役務費)を払った場合、このロボのリース料より安く上がることも考えられます(それはそれで問題なのですが…)。

かかる費用面(費用対効果)での思考は別にしても、今回の〝ロボット化計画〟の趣旨が「(職員等の)業務効率化の一環」であることに鑑(かんが)みれば、そのこと(庁内清掃)の業務について 職員等の業務とせずに 障がい者さんに委託することで、いわゆるWin・Winの相関関係が成り立つのでは と思ったところです。

このことについて 現場にいた職員に「庁内DXの推進については賛同し、今後も積極的に調査研究を進めてもらいたいところだけれど、一方で 機械化・自動化による効率第一主義に拘泥する余り、本来 そこで活躍できるハズの人(障がい者)の(活躍の)場を奪うようなことになってはならない。DXを推進するのであれば、その分 障がい者等の活躍の場を確保してこそ〝一人前〟になるのではないか。」と指摘し、今後の推移を見守ることといたしました。

なお 長野市では、現在も清掃役務で障がい者雇用を実施中ですが、この〝ロボット化〟により そちらの人員削減などに至らないよう、逆に ロボット⇔障がい者が共存共栄できるよう、福祉関係職員とも情報共有し ロボット化が逆に「心の通(かよ)った行政」の原資となるよう、私自身 心を配ってゆきたいと思ったところです。

 

 

 

 

 

そんな「障がい者雇用」に一抹の不安を抱くこととなった後に、その〝暗雲〟を吹き払ってくれるかの好事例に立ち会うことができました。

市内で いわばフリーダムな立場で 主に知的障がい者支援に取り組む団体(企業)である「Gota(このブログでは「チームGota」と呼ばせていただきます)」の代表者Mくんらが、長野市内の知的障がい者支援施設と 就労(作業)について「契約」を締結することになったのです。

その概要は、チームGotaが 飲食店等の店頭に「カプセルトイ(ガチャ)」を設置するので、そのトイ(ガチャ)の内容物の詰め込みを 知的障がい者さんに依頼しようというものです。

 

 

で…注目すべきは、その「工賃」なのです。

この日に交わされた契約(案)によると、障がい者さんらは「ガチャ」の販売価格の40%を「工賃」として受け取ることができるそうなのです。

「ガチャ」の内容は様々で、廉価なものから 上は数千円に上るものも想定されることから、作業に当たる障がい者さんらは 今までにない高額の「工賃」を得ることができるようになります。

障がい者さんへの「工賃」については、その低劣さ(時給100円程度)が社会問題化しているところですが、そこを問題視した「チームGota」のMくんが 自ら〝ガチャ事業〟を立ち上げ、今までの悪しき常識であった低劣な工賃を劇的に改善し、もって 障がい者さんらに やり甲斐のある役務に携わってもらおうというものなのです。

ただ、これまでの道のりは 容易ならざるものがありました。

最大の障壁は、当事者(障がい者)さんらを見守るべき立場である施設職員の「旧態依然の意識」でありました。

本来は 障がい者さんらの自立を願い、1円でも工賃を上げてやろうと率先して努力すべきハズの職員自身に そのような前向きな意識が無く、逆に 障がい者を障がい者として留め置こうとする〝逆の発想〟のままに(職員自身が)就労している実態がアリ…この悪しき殻(から)を打ち破るのは 至難に満ちた作業であったと聞いております。

(このことの詳細については後日に譲ることとしますが)いずれにしても「チームGota」が温め続けた障がい者支援(就労)のサクセスロードが ようやくスタートを迎えようとしており、今後の有為な展開に大きな期待が寄せられます。

 

今までは、敢えて日陰に留め置かれた障がい者さんらの就労機会に、明るい陽が射(さ)すことを願って止まないところです。