26日に長野市内の川中島町に出没した「猪(イノシシ)」は、町内のお寺さんの境内で近隣住民にケガを負わせるなど大暴れをした後に 域内を流れる堰(せき/農業用水路)に逃げ込みました。
その後は 近所の藪(やぶ)の中で目撃されるなどしましたが、現在のところ 足取りはプッツリと途絶えたままとなっています。
そんな突発事案の「対応」を巡り〝ちょっと気になること〟を思わされたところでした。
そんなこんなの〝イノシシ騒動〟ですが、(イノシシが)出没した川中島エリアは 田舎とはいえ約2,7000人の人口を抱える市南部のベッドタウンでもあり、多くの住民 その中には当然のことながら、学校に通う児童生徒もいることから、ときならぬ野生獣の出現には 大人もさることながら、身体の小さな児童生徒へ被害が及ばないかが心配されたところでした。
さきに被害に遭ったKさんを看た医師は「野生獣の被害に遭った場合、噛まれ傷などの受傷被害もそうだが それ以上に「感染症」が怖い」と話しておられたそうです。
家で飼われるペットや家畜と違い、山野を駆ける野生獣は 思わぬ感染症を有していることがあり、万一噛まれるなどすると 口径(唾液)等を介してバイ菌が被害者の体内に入り、発熱などの体調不全の原因となるそうです。
したがって イノシシに襲われ受傷したKさんも、噛まれ傷の手当てと同時に 感染症を防ぐ点滴を受けたそうです。
そんな 悪しき副産物を有した野生獣に、万一 抵抗力の低い児童が被害に遭えば、ガタイのでかい野生獣の突進を食らったダメージに併せ そこ(受傷箇所)から感染症にでも罹(かか)れば、まさに踏んだり蹴ったりの厄難を負うことになりかねません。
したがって、イノシシが出没した域内の小中学校においても それぞれに警戒を促す連絡などが為(な)されたことを聞き及んでいます。
そんな中、JR川中島駅の近在に住む 小学生の子供を持つ親御さん(Nさん)から、やや気になるお話がありました。
「イノシシが出てから、ウチの子が通う小学校からは (イノシシ関連の)情報メールが届いたんだけど、JR今井駅のそばに住んでて 中尾山の麓(ふもと)にある小学校に(子供が)通う親御さんには「そんなメールは来てない」っていうんだよね。」とのことでした。
今回〝イノシシ騒動〟が起きたエリアには、4つの小学校と2つの中学校があります。
そこに、今回のイノシシの出没歴を重ねると、ほぼ満遍なく それぞれの学区内に(イノシシが)出没しているのが分かります。
そのうえで言える(推測)されるのは、おそらく このイノシシは、域内の西部にある山部(中尾山方面)から下ってきたんじゃないか ということです。
と いうことは、逃走に疲れたイノシシは その帰巣本能に基づき、向かうとすれば 西の方角ではないか、と。
ところが今回、域内の南部・北東部の学校ではメール(LINE)配信がありましたが、最も注意を要するハズの西部の学校では それ(メール(LINE)配信)が行なわれなかったようなのです。
ましてや 件(くだん)のイノシシは JR今井駅周辺で目撃(それも児童に)されており、その子らは 西部にある小学校に通学しているのです。ことによったら野生獣に遭遇するリスクが最も高い環境にあるのです。
で、そのことを市教育委員会に訊(き)くと「市教委からは情報発信は行なうけれど、その先 保護者にまで配信するかどうかは学校裁量に任されています」とのことでした。
そのうえで市教委は「当該の小学校(長)に訊いたところ「情報発信によって児童や保護者が動転(パニック)することを憂慮し、敢えて その時点での情報発信を行なわなかった。騒動が落ち着いたところで、一連の経過についてお知らせする予定でいる。」とのことです」と報告してくれました。
一連の対応を訊いて、私は やや複雑な心地になりました。
野生獣の出現は、地震や河川水害などと異なり それ(被害)自体が未詳の面が多く、どこでどう被害が及ぼされるかを判断するのは非常に難しい面があります。
一方で 今回の場合、域内の地勢を考えれば 当該の野生獣は「西」に向かう(戻る)可能性が高いことから、とりわけ西部の関係者においては警戒を強めるべきではなかったか。
そのうえで 情報発信により 児童や保護者に混乱をもたらすと(現場が)判断すれば、それ(情報)を出さないことが了(りょう)とされることがあるし、また逆に 万が一のことがあれば、その時に情報を出さなかったことが大いに責められることになるでしょう。
ジャンルは やや異なりますが、消防団(員)に向けた「火災発生メール」について、今までは 長野市域のどこで(火災が)発生しても、全ての団員にメール配信されていましたが、例えば豊野エリアの火災情報が篠ノ井の団員に届けられても管轄外であることから(全域でのメール配信が)果たして意味があるのか?との声によって ある程度(発生⇔対応)エリアを限定した情報発信に改められたとの事例もあり…そこに情報発信の難しさが感じ取られたところでありました。
今回の〝イノシシ騒動〟における情報発信においては、本人?が神出鬼没であるが故(ゆえ)に その対応も硬軟分かれ、非常に難しい面があることを感じさせられました。
今後は 事案の特殊性にも鑑(かんが)み、例えば庁内でも 所管の「森林いのしか対策課」と情報交換し、域内の地勢や 当該野生獣の生態などを勘案して情報発信を臨機応変に行なうなどの〝柔軟性〟が求められるのかもしれません。
いずれにしても、いろんな面でお騒がせしたイノシシ。
あれから 一体どこへ行ったのでしょう。