くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

名刺の威力

2011-02-24 23:26:32 | 総務のお仕事(反社対応)
「工事現場に警察官名刺」
これは、先日の朝日新聞のネットニュースで見つけた記事です。

それによると、茨城県で建設中のトンネル工事で、
建設業者が工事現場の事務所の入り口に、
地元警察署幹部の名刺の拡大コピーを貼り付けていたというものです。

建設業者によれば、
工事開始前から政治結社や民族団体を名乗る者から、
「仕事をくれ」と脅しまがいの依頼を受けたため、署に相談に行き、
そのとき交換した警備課長らの名刺を防犯の意味で貼っていたということです。

それ以来、そのような団体は来ていないということですが、
朝日新聞からの取材を受けた警察署が建設業者に抗議をして、
工事現場事務所ではこれを外したそうです。

警察では、公記号の不正使用などの違法行為にあたるとは認識していないが、
「警察と工事業者が結託しているかのような誤解を受ける」として抗議したといいます。

                            「新聞記事の詳細はこちらから」

反社会的勢力が、不当要求の際に相手を威圧するため、
毛筆体で書かれたまがまがしい名刺を示すのはよくあることですが、
これはその逆の示威行為を実行した例です。

この警察関係者の名刺の掲示は、威力抜群だそうです。
私も以前、ある現役の警察の方からこのような話を聞いたことがあります。

それによれば、ある新装開店したパチンコ店に巡回に行ったら、
そのパチンコ店事務所の応接室の壁に、自分の名刺の拡大コピーが貼ってあったそうです。

そのパチンコ店も、日頃から反社会的勢力の不当要求に悩まされていたため、
警官の名刺のコピーを壁に貼り、来店した反社会的勢力をその応接室に通すと、
世間話をしておとなしく帰ってしまうようになった、と店長が話していたそうです。

その警官の偉いところは、
苦笑しながらもこれに抗議はせず、そのまま掲示することを承諾したということです。
さらに私たちにも「推奨はしませんが」と前置きし、
「反社会的勢力の不当要求排除のためには、
  このような名刺の使い方もあることを紹介しておきます」と公開してくれたのです。

冒頭のニュースも、掲示場所を事務所の入り口でなく、
応接室などの室内に貼るのが、警察への配慮というか常識というものでしょう。
その点が、この建設業者の認識の甘さです。

誰にでも目につく事務所の出入り口でなけでば、
このような報道記事にはならなかったと思います。

また警察も、「反社会的勢力への資金源を断つ」という点では、
一般企業も警察も目的は同じであり、お互いに連携が必要なのですから、
「結託しているかのような誤解を受ける」などと梯子を外すようなことを言わず、
「貼るなら室内にこっそり貼ってね」と言うくらいの度量がほしいものです。



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