くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

「えせ同和」じゃないって言うけれど

2015-05-30 10:42:28 | 総務のお仕事(反社対応)

会社に、ある会を名乗る男性(A氏)がやってきました。

団体名をインターネットで検索してみると、
定期的に自民党議員などを招いて大会を開催している大きな団体です。
「担当者不在」を理由にして面会しないという選択肢もありましたが、
何度も来られても面倒なので応対することにしました。

相手は一人だというので、
当社は総務の担当者と、二人の先輩の計三人です。
場所は受付ロビーにある打ち合わせコーナー。
密室空間になる応接室には、あえて通しません。

ロビーに行くと、見るからにいかつく、ふてぶてしい風体の中年男性が座っていました。
服装もスーツ姿とはいえ、普通のビジネスマンが着るようなものではありません。

名刺交換のあと、
A氏が「同和教育はどのようにしているか」などと聞くので、
「人権問題は社会における重要な課題のひとつとして当社でも認識しており、
 研修などにおいて同和問題も含めて人種差別や男女差別、年齢差別など、
 さまざまな差別問題について・・・」などと想定通りの回答を返すと、
「さすがにきちんとしておられる。御社のような会社なら安心だ」
などと持ち上げてきます。

そしてA氏は、しばらく同和問題についてうんちくを語ったあと、
そうした差別されている人々を雇用している警備会社があるので、
社屋の警備などで取り引きを考えてほしいと切り出しました。

要するに、外注契約を取ることが彼の目的だったわけです。
もちろん総務担当者には予想通りの展開です。

「そういうお申し入れでしたら、
 当社はお取り引きするつもりはありませんので結構です」

総務の担当者がそう答えると、
A氏は「せめて見積もりだけでも見て検討を」と食い下がります。
そこで担当者は、「検討します」と回答すると二度目があると考え、
かたくなに「いいえ、結構です」と拒否していると、
次第にA氏はいらだち始めました。

A氏 「同和問題をどう考えている」
総務「警備会社とのお取り引きの話と、同和問題とはまったく別の問題で
   関係ありませんのでご理解ください」
A氏 「いや、関係なくはない。 お前の会社は人を差別するのか」
総務「差別ではなく、商取引のお話です。ご理解ください」

そんな押し問答が続き、ヒートアップしたA氏は声を荒げ、乱暴な口調で、
「こんな会社見たことがねぇ。普通は持ち帰って検討くらいするもんだ」
「おまえのような奴じゃ話にならん。上司を呼んで来い」
「おまえなんか会社にいられなくしてやるぞ」
などと口汚くののしります。

ロビーにいた他のお客様は、いつの間にか誰もいなくなり、
受付嬢が不安そうな眼差しで事の成り行きを見つめています。
もちろん受付には、合図があったらいつでも防災センターに連絡し、
そこから警察へ通報するようあらかじめ段取りがつけてあります。

そんな準備万端の対応体制を察したのか、A氏は20分ほど粘った後、
「えせあつかいするな!」と捨てゼリフを残して出ていったのでした。 

肩をいからせて立ち去るA氏のうしろ姿を見送ったあと、
緊張の解けた三人は顔をあわせて思わず爆笑してしまいました。

「えせあつかいするな」って言うけど、
そのまんま、絵に描いたような「えせ行為」じゃん! 

「えせ団体」とは、
その団体に社会団体としての実体があるか否かにかかわらず、
同和問題を口実に商取引を要求するなどの行為をする、
すべての団体のことを指すのです。

 



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