院長室から

日々の診療、子育て中のつぶやき

インフルエンザ・去年の分析と今年の見込み

2010-11-17 10:30:34 | インポート

昨日の夜は、インフルエンザの勉強会に参加してきました。

去年は言わずと知れた新型インフルエンザパンデミックの年でしたが、

改めてその特徴と日本の対応の優れた点が確認できました。

キーワードは“Age shift"。

通常インフルエンザで死亡するのは80歳以上の高齢者が大部分を占めますが、

新型では高齢者はかかりにくく、重症化するのは多くが若年、中年者だということです。

通常は起こりにくいウイルス性肺炎が多いのも特徴です。

この傾向はパンデミックが起こってから3-5年ほど続くとのことですので

今期以降も30~50代の方も油断せず、出来るだけワクチン接種をお願いします。

また、昨年の新型インフルエンザでは、日本は非常に死亡者が少なく

諸外国からも“アンビリーバボー”と言われています。

今回の新型は軽症と考えられている方が多いと思いますが、

これは、皆さん自身と我々医療従事者の努力のたまものなんだそうです。

日本人は、情報が入るとわ~っと全員がそれに乗っかりやすい国民性がありますが、

昨年の新型インフルエンザ騒ぎもしかり。

巷のスーパーや公共機関の入り口にはもれなく消毒薬がおかれ、

マスクがバカ売れし、

診療所には予防接種の希望者が殺到しました。

そして、高めの熱が出たとなるとしっかり受診し、

私たちもせっせと迅速検査をし、お薬を出しました。

この、ごく初期段階での努力によって重症化する人そのものがとても少なかったのです。

海外では、熱が出ても受診せずに家で我慢して寝ている人も多く

4,5日後に肺炎を起こす方がバタバタとお亡くなりになりました。

タミフルなどの抗インフルエンザ薬を日本人は安易に使いすぎるなんて言う批判もありますが

事実としては、先シーズンの日本人の迅速に診断を受けて薬を飲むという基本姿勢が

大当たりしてこれだけ被害を減らすことができたといえます。

この講演を聞きながら、去年のドタバタをしみじみ思いだし

みんなでやったんだぞ~!!と、ジーンと熱いものを感じました。

今年も、インフルエンザでの死亡者を一人でも少なくできるよう

末梢の診療所としてもまた頑張っていこうと、気持ちを新たにしました。


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