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院長室から

日々の診療、子育て中のつぶやき

ヒトパピローマウイルスワクチンのこと

2008-11-23 06:03:36 | 健康・病気

さて、後編です。

読んでくださっている方、しんどいかもしれませんね。最後までよろしくおつきあい下さい。

インフルエンザと違って、こちらはあまり耳慣れないウイルスかもしれません。

でも、ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌をおこす原因です。B型、C型肝炎ウイルスは肝細胞癌の主因として有名ですが、このウイルスはさらに上をいっていて、これに感染しなければ子宮頸癌にはならないのだそうです。このウイルスにもいろいろな亜型がありますが、特に悪いのは16型と18型だそうです。
このウイルスは、性行為によってうつります。しかし、やばい(?!)人が罹る性病というイメージではなく、性行為を行うような人(まあ、ほとんどの人ですね)は、80%がうつるウイルスなんだそうです。しかも全身的に免疫ができないので、何度もうつってしまいます。うつったときには症状はありません。そして、うつった人の1/10000が、5~10年後に癌を発症します。

実は、このウイルスのワクチンが、来年春には認可される見通しです。将来的には、中学1年生くらいの時点でこのワクチンが公費で受けられる見込みだそうです。
もっとも、現時点で12歳を過ぎていても性行為現役続行中(笑)の方は、いつでもうつる可能性があるわけですから、ある程度自費でもうけたいですよね。

ワクチンについては続報があれば、またかきますね。


新型インフルエンザのこと

2008-11-23 05:39:20 | 健康・病気

夕べは、新型インフルエンザ、ヒトパピローマウイルスについての勉強会に参加してきました。
講師の先生は防衛医大の川名明彦先生、自治医大埼玉医療センターの今野良先生でした。

まず、世間を騒がせている新型インフルエンザ(H5N1)のパンデミック(ヒトーヒト感染の大流行)についてです。

2006年にインドネシアでヒトーヒト感染例があったのですが、それ以外はまだトリーヒト感染にとどまっており、1997年に最初にトリーヒト感染が報告されて以来、11年が経過しています。
専門科の間で、H5N1によるパンデミックはないかもしれないという見解もでてきているそうです。”パンデミックはいつか起きるかもしれないではなくて、今起きてもおかしくないし必ず起きる”と、いわれてきただけに、少しほっとする思いでした。

しかしながら、H5N1の毒性はとても強いと見られています。
20世紀に起きたパンデミックの中で一番規模の大きかったスペイン風邪(H1N1)が青年層を中心に全世界で4000万人の死亡者を出したそうですが、この際の致死率は2-3%とされています。今回の新型インフルエンザは、これまでに罹患した方の63%が亡くなっているのです。

もしかするとパンデミックは起きないかもしれないけど、もし起きて自分が罹ったら抗ウイルス薬を使わないと一週間以内に死ぬ確率は高いということです。

そして感染対策ですが、今抗ウイルス薬の備蓄は5700万人分予算が付いたそうです。そして、鳥インフルエンザからつくられたプレパンデミックワクチンは2000万人分用意が出来ており、今年度中に3000万人分まで増えるそうです。全国民の半分が罹患しても、薬剤は十分あるということですね。

パンデミックが起きて日本での発生が報じられれば交通が発達しているので、すぐ大流行となるでしょう。
一般の方は国内発生が報じられたら、極力不必要な外出はさけた方が良いでしょう。外出時には必ずマスクをつけて下さい。
よしば診療所にもどんどん患者さんが見えると思うので、自分もうつったかなと思ったらすぐにタミフルかリレンザを使用しようと思いました。以前はパンデミックが起きたら予防的に使うことも考えましたが、流行が収束するまでずーっと使うことは現実的でないし、講師の先生が、逃げ回っていてもいつかは感染するとおっしゃっていましたので、軽く罹ることに目標を切り替えました。そうこうしているうちに新型ワクチンが作られれば、それを打てばいいわけですね。

自分の中で、こうしたらいいなというやり方が見えたので、とても有意義な講演会でした。

長くなったので、ヒトパピローマウイルスに関しては、分けますね。


食中毒について

2008-07-30 05:40:24 | 健康・病気

夏場に多い食あたり(食中毒)について、今日はワンポイントメモです。
一般的な家庭での予防法としては、
1.まな板、包丁は生ものとそうでないものを使い分ける。あるいはその都度よく洗って使う。
2.出来るだけ生ものはさける(加熱して食べる)。多くの菌は加熱すれば死滅します。
3.料理したものは、室温に2時間以上放置しない。


個人的にはすぐ下痢する方なので、最近夏場の毛糸パンツは欠かせません。

食中毒をおこす5大菌は、サルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌(特に腸管出血性大腸菌)カンピロバクターです。
サルモネラは夏に多く、卵や肉などが原因となります。翌日症状がでます。
腸炎ビブリオも夏に多く、魚介類の生食などが原因となります。やはり翌日症状がでます。
ブドウ球菌は通年見られ、食べたら3時間前後で症状がでます。残念ながら加熱しても効果がありません。冷蔵庫に保存(5度以下)してあればだいたい大丈夫です。
病原性大腸菌は、潜伏期が長くて5日前後です。下痢、嘔吐だけでなく、様々な合併症をおこすことがあるので要注意です。
カンピロバクターは、肉などが原因となります。潜伏期は3日前後です。

下痢、嘔吐の多くは対症療法(水分補給、安静)でよくなるのですが、抗生物質(菌を殺す薬)が必要なこともありますので、心配な方は受診してください。


講演会に行って来ました。

2008-06-27 06:43:02 | 健康・病気

夕べ、講演会に行って来ました。講師の田部井先生は、自治医大で腎臓内科医をしていた頃に大変お世話になった大先輩です。毎年某花火大会のときにご自宅にお招きいただき、医局員大勢でお邪魔しました。庭は即席のビアガーデンになり、楽しかったなあ。現在は自治医大さいたま医療センター腎臓科の教授をなさっていますが、その昔と全然お変わりない感じです。

さてさて・・・
腎臓病なんて、昔はマイナーなものと思われてきましたが、最近は、メタボの次はCKD(慢性腎臓病)なんて揶揄されるくらいメジャーになってきています。
1.糖尿病が爆発的に増えていること、
2.採血での指標が正常でも、高齢者、やせている人などは実は腎機能がかなり落ちていること、
3.腎機能が低下していることそのものが脳卒中や心筋梗塞といった脳、心臓の病気になる確率を上げるということ
などから、実はCKDの方はかなりの数に登り、かつ早めに一度腎臓内科医に見せてもらった方がよいのです。日曜日にも内科学会の講演会に行きましたが、やはり、CKDの講演が含まれており、全国的に医師側には啓蒙が進んできていると思います。

南埼玉郡市医師会久喜医師会は、このような勉強会を頻繁に設けてくれているので、とても勉強熱心なところだと思います。各分野での臨床最先端を教えていただけるので、とてもありがたいです。
子供にはさみしい思いをさせるし、おばあちゃんにはいつも迷惑をかけますが、医師としては新しい情報をしっかりキャッチするよう心がけたいと思います。