大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

諫言

2014年09月18日 | 日々徒然
自分は謙虚なつもりであっても傍から見れば驕り高ぶっていると見られることがある。
それが高ずるとそれまで付いてきてくれた人々が遠く離れていくことになる。
それにも気づかず驕り高ぶるとどうなるか。
自分の考えだけが正しいとなり、聞く耳を持たなくなり、客観的にものごとを観る目も洞察力も失われていき、自爆する。
そんな大人を何人も見てきたから、我が身を気をつけてはいるが、自らの姿はなかなか見えにくい。
もしそんな驕りが見えたら遠慮なく諌言してくれ、と周りの人に頼んでもなかなかそうはいかない。
そりゃそうだ。もし逆鱗に触れて損をしたら嫌だから、真の友しか諫言はしてくれない。
だから自分自身で戒めていくしかないが、戒めすぎて消極的になってもいけない。
なかには諫言の上手い人もいるが、こちら側も「聞き上手」になる必要がある。

中国の春秋時代、鄒忌(すうき)という役人がいた。
なかなかの美男子だったが、国で一番の美男子と言われる徐公(じょこう)には敵わないと思っていた。
ある日鄒忌は妻と妾と客人に尋ねてみた。
「私と徐公のどちらが男前か」
するとみな「あなたです」と答えた。
その次の日、徐公が彼を訪ねてきた。
じっくりと彼を見た鄒忌はとうてい敵わないと感じた。
夜になって鄒忌は考えた。
事実は明らかに徐公が優っているのになぜ3人とも私を選んだのか。
「妻は身びいきがあり、妾は私を恐れ、客人は私の歓心を得たいからだろう」

鄒忌は斉の君主 威王(いおう)に謁見したときこの話をしながらこう言った。
「私ごときでさえこうなのだから、多くの権力を持つ大王であるあなたは、おそらくかなり多くの者によってごまかされ、目や耳をふさがれているだろう」
威王はそれを聞いて「よくぞ言ってくれた」と喜び、さっそく「貴族や平民の身分を問わず、私の過ちを指摘してくれる人に褒賞を与える」との布告をした。
この布告が出されると、大臣を始めとして大勢の人々が宮殿前の広場に集まった。
一年後には諌言しようにも諌めることがまったくなくなり、素晴らしい国になった。


項羽と劉邦という二人のリーダー論も面白い。
劉邦は、リーダーらしいリーダーとはいえなかったが、項羽に勝ち天下を治めた。
聞く耳を持ち人の力を生かした劉邦と、自分だけの才能や器量に頼ってしまった項羽。
やはりここでも「聞く耳」が必要だと説いている。

“良薬は口に苦いけれども病に利あり”であるし“諫言は耳にうるさいけれども天下に利あり”ですね。

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