大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

イスラムの理解

2015年04月10日 | 日々徒然
イスラムと聞くと連想するのは、暴力的な「タリバン」や「イスラム国」になりがちです。
しかしイスラムの人々を正しく理解しないと歩むべき道筋が見えてきません。
イスラムとはイスラム教のことで、世界中の5人に一人がイスラム教徒(ムリスム)です。
しかも2020年には3人に一人まで増えるとされるキリスト教につぐメジャーな世界宗教です。
赤色がムスリムの人口比率80%以上の国で、茶色が50~79%の国です。

西暦570年にメッカに生まれたムハンマドがイスラムの創始者です。
ご存知かもしれませんが、ユダヤ教・キリスト教・イスラムの神は同一であり、この3つの宗教は「姉妹宗教」とも呼ばれています。
紀元前500年頃、まずパレスチナで「ユダヤ教」が誕生します。
紀元0年「ユダヤ教」からイエスが生まれ「キリスト教」が誕生しました。
しかしユダヤ教徒の憎しみから、30年頃イエスは「十字架刑」によって処刑されてしまいます。

600年頃誕生した「イスラム」は、ムハンマドがキリスト教の天使「ガブリエル」から啓示を受けて布教活動を始めたと言われています。
その心は、ユダヤ教・キリスト教では神の意思が正確に伝えられなかったため、最終預言者としてムハンマドが選ばれたというものでした。
イスラムは急速に勢力を伸ばしていき、1453年、歴史上最も完成されたイスラム国家「オスマン帝国」が完成します。
しかし11世紀後半から始まった十字軍による侵略戦争やヨーロッパとの対立から、1922年オスマン帝国は崩壊していきます。
ヨーロッパの植民地主義はイスラム世界を分断し、民族対立を煽り、イスラムの伝統社会を破壊していきました。
ヨーロッパ諸国に押されたイスラム諸国の指導者たちは、ヨーロッパモデルの近代化を追求しました。
しかし欧米型の近代化は、様々な矛盾や社会問題を引き起こしていきます。
政治腐敗、民主主義の欠如、貧富の格差、失業、インフレ、劣悪な社会基盤、環境の悪化…などなどです。

イスラム世界では欧米を模倣した資本主義も、ソ連をモデルにした社会主義も有効に機能しませんでした。
そのために世直しとして、「イスラム政治運動」が台頭してきました。
これはイスラムの「平等」「正義」という概念に立ち返って、イスラム世界の問題に対処していこうとするものです。
その政治運動とは「イスラム法」の復活を求めているといえるかもしれません。
イスラムは宗教であって宗教を超えている部分があります。
人の心を救うだけでなく、政治、経済、飲食、服装など日常生活のことまで細部にわたり規定しています。
穏健な運動家は「イスラム国家」に到達する手段として選挙などの民主的な方法によって活動しています。
これに対して過激な運動家はその手段としてテロなどの暴力的方法に訴えています。
このテロは彼らの解釈によればイスラムの伝統的な概念である「聖戦(ジハード)」です。
イスラムは平和を求める宗教ですが、異教徒が侵入してきた時には正当防衛としての戦争を認めています。
彼らの「聖戦」に火をつけたのが湾岸戦争でした。

今、中東ではふたつの戦争が起きようとしています。
ひとつは聖地エルサレムをめぐるイスラエルとパレスチナ。
もうひとつは聖地メッカから派生したイスラム過激派とキリスト教諸国の戦いです。
(情勢は非常にきな臭い…無宗教の日本が巻き込まれようとしているような気がしてなりません)

一方、イスラムの特徴は多様性を認めている点でもあります。
世界で50を超えるイスラム国家、そこには宗派・民族・文化・習慣・言語などに様々な違いがあります。
それぞれのイスラムは、民族やその土地により、独特の習慣、伝統、文化と混じり合って発達してきました。
我が日本の行くべき道はどこなのか、歴史はさまざまなことを教えてくれます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿