歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

イスラエル軍のガザ地区侵攻に思うこと

2009-01-05 21:47:04 | Weblog
 イスラエル軍がパレスチナ自治区のガザ地区に侵攻したというニュースは、不況に落ち込む世界経済にさらに悪い影響を与えるものと思われます。イスラエル領内に対してロケット弾攻撃を続ける武装組織ハマスを叩くことが今回の侵攻の理由だそうですが、「侵略者イスラエルと戦う」というイスラムの大義を掲げるハマスをそう簡単に根絶することはできないでしょう。

 ガザ地区は経済的に貧しい地域です。にもかかわらず、ロケット弾という決して安価ではない兵器をハマスが何度も繰り出すことがなぜ可能なのでしょうか。それはハマスに対するスポンサーが外部にいるからに他ならないのですが、イスラエルが経済封鎖を行っている現状においてもハマスのロケット弾攻撃が続いているところを見ると、彼らが活動資金の入手に難渋しているようには思えません。
 かつて中東問題の研究者からパレスチナを巡る問題について話を聞いたことがあるのですが、ハマスのようなイスラム過激派と彼らの資金源とのつながりを絶つことはまず不可能なのです。この点は経済封鎖が極めて有効であった北朝鮮などとは問題が大きく異なります。

 イスラム教では信者の務めとして礼拝や断食などに加えて喜捨(ザカートといいます)が定められています。喜捨は富裕層はもちろん、信者であれば当然行わなければならない行為であり、集められた喜捨は一種の社会福祉に用いられます。原理主義や過激派に属さずとも、イスラエルをよく思わないイスラム教徒は少なくありませんから、この喜捨の一部がイスラエルと戦うハマスに対する義捐金として回っている可能性は高いのです。
 世界には11億人近いイスラム教徒がいます。富裕層ではない一般的なイスラム教徒の一人当たりの喜捨の額はわずかであるかもしれませんが、何億人分を集めるとこれは巨額なものとなり、そのごく一部であっても戦費に回すことができれば十分イスラエルと戦うことができるでしょう。そして、この資金調達ルートを遮断することは、供給源が膨大、多様、そして顔が見えないことを考えると、まず無理でしょう。

 現在のイスラエルは、匿名の巨大掲示板で執拗な攻撃を受けて激怒し、強硬な態度で「炎上」に臨んで鎮火しようという、徒労に終わる作業を行っているようなものではないでしょうか。