歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

「ネット未来地図 ポスト・グーグル時代 20の論点」

2007-10-26 20:24:14 | 読書
 佐々木俊尚「ネット未来地図 ポスト・グーグル時代20の論点」(文春新書)を読みました。「日本のテレビビジネスはまもなく崩壊する」、「新聞は非営利事業として生き残るしかない」など、著者はかなり大胆な発言をしており、ここまで言い切って大丈夫かな、と思います。しかし、いまいち腑に落ちない部分はあるにせよ、ネットビジネスの行方をこれまで丁寧に追ってきたジャーナリストだけにその論には多くの箇所でうなづくことができました。Web2.0の現状を知る上で良い本だと思います。

 特に私が面白いと思ったのは、最近までやたらと経済誌で大きく取り上げられていた「セカンドライフ」に関する筆者の見解です。とても面白いとは思えない三次元オンラインゲーム、「セカンドライフ」をとにかく流行らせようという大企業の意図が見え見えなことに少々胡散臭さを感じていた私としては、我が意を得たり、といった感じです。

(以下引用)
 インターネット上の3Dの仮想世界を提供しているサービス「セカンドライフ」が、日本国内で過熱したブームになっている。ブームといっても、インターネット業界や若者の間で流行しているわけではない。流行が起きているのは、大企業と大手広告企業、そして日本経済新聞の紙面の上だけだ。(中略)ごく普通のインターネットユーザーたちの間では、セカンドライフのブームなどどこにも起きていない。(中略)つまりは広告代理店と大企業主導で、ブームを盛り上げている構図である。
 私が取材したセカンドライフコンサルタント企業の若い経営者は、次のように打ち明けている。
「セカンドライフのプロモーションは、企業で稟議とかに通りやすいんですよ。」
 たとえば若い二十代、三十代のマーケティング担当者がインターネットでの販売促進プログラムを会社に提案したとする。(中略)しかしこうしたサービスを利用したプロモーションを提案しても、稟議はなかなか通らない。最終的な決裁を行う経営層や部長クラス、局長クラスのオジさんたちは、これらのサービスのほとんどを見たことも聞いたこともないからだ。(中略)ところがこうした経営幹部たちにセカンドライフの説明をすると、一発で直感的に理解してもらえる。理由は簡単だ。セカンドライフには現実の世界と同じような仮想の3D空間が存在し、そこにショールームを作ればその画像をリアルに見ることができるし、人々が訪れている様子も同じようにリアルな画像で観察することができるからだ。
(引用終わり)

 この後、筆者はセカンドライフが会社の経営層にウケる理由として、仮想空間内で流通する通貨「リンデンドル」をリアルな通貨の米ドルに交換できるということを指摘していますが、上記の「稟議を通しやすいから」というくだりが大変印象に残りました。実に日本的だなあ、と思いますし、私もサラリーマンなので事情はよくわかります。「セカンドライフ」に出店している有名企業には、トヨタ自動車、日本航空、みずほ銀行など、いかにも経営層へ稟議を通すのが大変そうな企業が目立ちますが、これは決して偶然ではないわけですね。

日本国民の叡知と努力

2007-10-26 20:23:55 | 日常
 今日は名古屋に出張でした(当然、帰りの土産は赤福餅ではありません)。東海道新幹線は何度も利用していますが、東京駅にこんなプレートがあることに初めて気が付きました。

「東海道新幹線 この鉄道は日本国民の叡知と努力によって完成された」

 同様のプレートが他にもいろいろあって良いように思いました。