かつて大企業の海外駐在員に対する待遇は良く、高額な赴任手当がもらえる一方、特に途上国ではあまり金を使うあてもないため、それはそれは貯金がたまったそうです。私の知人にも、海外駐在期間で貯めた金でマンションを買ったとか、独立して一等地にオフィスを構えた、という例があります。
しかしながら、グローバル競争の深まりとともに日本企業の海外事業の高コスト要因である海外駐在員への好遇は大幅に見直され、今では海外赴任は当人にとってさほどオイシイものではないそうです。それでも途上国であれば生活必需品の物価は安いし、外国人向けの住宅は高いけど社員の安全確保の観点からこれは会社が補助するだろうし、日本並の給料を現地でもらっていれば(本物の)メイドさんを雇うなどかなり優雅な暮らしができるんだろうな、と想像していました。ところが、タイで働く日本人で、優雅どころか厳しい生活を余儀なくされている方が増えているのだそうです。以下、タイの日系メディアの報道からの引用です。
(以下引用)
日本人がシラチャーに住み始めたのは90年代半ば。当時はほとんどが駐在員で、各種手当てに恵まれ、家族連れが多かった。その後、日系メーカーのタイ東部への進出が続き、それに伴って日本人が増えていく。そして進出ラッシュが一段落した2003年前後から、駐在員が波を引くように減り、単身の出張者が取って代わる。出張者とはすなわち、現場でタイ人ワーカーと共に労働に従事する「応援者」。シラチャー在住の日本人は、高待遇の駐在員はたかだか全体の約2割。大多数はより経費が削られた、住む場所と通勤手段、日当のみを保証された出張者だ。
タイ東部に進出している日系メーカーの多くはこの下請け、孫請け出張者で、過当な価格競争にしのぎを削っている。親会社が「金のかかる駐在員」を送り込む余裕などない。駐在を出張に置き換え、可能な限り経費を抑えることになる。選ばれる人材は、家庭を持たない単身者だ。
出張者の場合、給与は日本での振り込み、現地では日当800―1000バーツほどが手渡される。日本人にとって1日1000バーツは、生活費として明らかに少ない。切り詰めなければ金欠となり、日本から送金してもらうハメとなる。節約は食費に反映される。夕食の場合、「ビール込みで300バーツ以内でないとお客を引き止められない」と、居酒屋の経営者は話す。
(引用終わり)
出所:「タイ東部、シラチャーの日本人事情」2007/10/8
シラチャー(Si Racha)はバンコクの南東にあるチョンブリ県にある町です。チョンブリ県とその南に接するラヨーン県は、日本車メーカーとその関連メーカーが多く進出している地域です。バンコクへの交通の便が良いシラチャーには特に日本人が多く住んでおり、日本人向けの店が多く建ち並び、さながら日本人町のようなところです。
とはいえバンコクなどとは異なり、しょせん小さな海辺の町です。報道されているような窮乏生活を余儀なくされている下請け、孫請けの日本人出張者たちは、私が想像していたような優雅な生活を送る同胞の駐在員たちと、どうしても現地の狭い日本人社会の中で付き合わざるを得ない場面が少なくないでしょう。日本ではあまり意識せずにすんだかもしれない格差の現実を、はっきりと意識させられてしまうような海外勤務。悲しいですね。
しかしながら、グローバル競争の深まりとともに日本企業の海外事業の高コスト要因である海外駐在員への好遇は大幅に見直され、今では海外赴任は当人にとってさほどオイシイものではないそうです。それでも途上国であれば生活必需品の物価は安いし、外国人向けの住宅は高いけど社員の安全確保の観点からこれは会社が補助するだろうし、日本並の給料を現地でもらっていれば(本物の)メイドさんを雇うなどかなり優雅な暮らしができるんだろうな、と想像していました。ところが、タイで働く日本人で、優雅どころか厳しい生活を余儀なくされている方が増えているのだそうです。以下、タイの日系メディアの報道からの引用です。
(以下引用)
日本人がシラチャーに住み始めたのは90年代半ば。当時はほとんどが駐在員で、各種手当てに恵まれ、家族連れが多かった。その後、日系メーカーのタイ東部への進出が続き、それに伴って日本人が増えていく。そして進出ラッシュが一段落した2003年前後から、駐在員が波を引くように減り、単身の出張者が取って代わる。出張者とはすなわち、現場でタイ人ワーカーと共に労働に従事する「応援者」。シラチャー在住の日本人は、高待遇の駐在員はたかだか全体の約2割。大多数はより経費が削られた、住む場所と通勤手段、日当のみを保証された出張者だ。
タイ東部に進出している日系メーカーの多くはこの下請け、孫請け出張者で、過当な価格競争にしのぎを削っている。親会社が「金のかかる駐在員」を送り込む余裕などない。駐在を出張に置き換え、可能な限り経費を抑えることになる。選ばれる人材は、家庭を持たない単身者だ。
出張者の場合、給与は日本での振り込み、現地では日当800―1000バーツほどが手渡される。日本人にとって1日1000バーツは、生活費として明らかに少ない。切り詰めなければ金欠となり、日本から送金してもらうハメとなる。節約は食費に反映される。夕食の場合、「ビール込みで300バーツ以内でないとお客を引き止められない」と、居酒屋の経営者は話す。
(引用終わり)
出所:「タイ東部、シラチャーの日本人事情」2007/10/8
シラチャー(Si Racha)はバンコクの南東にあるチョンブリ県にある町です。チョンブリ県とその南に接するラヨーン県は、日本車メーカーとその関連メーカーが多く進出している地域です。バンコクへの交通の便が良いシラチャーには特に日本人が多く住んでおり、日本人向けの店が多く建ち並び、さながら日本人町のようなところです。
とはいえバンコクなどとは異なり、しょせん小さな海辺の町です。報道されているような窮乏生活を余儀なくされている下請け、孫請けの日本人出張者たちは、私が想像していたような優雅な生活を送る同胞の駐在員たちと、どうしても現地の狭い日本人社会の中で付き合わざるを得ない場面が少なくないでしょう。日本ではあまり意識せずにすんだかもしれない格差の現実を、はっきりと意識させられてしまうような海外勤務。悲しいですね。