クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

安部公房は“ワープロ”派? ―作家の秘密道具(13)―

2011年01月17日 | ブンガク部屋
パソコンや携帯電話が普及し、
電子で文章を綴る人は多いと思う。
このブログにしても、
職場で文章を書くにしても、99%はパソコンである。

その反動というわけではないが、
ぼくは手書きが好きだ。
まだ日が昇らない内に、
万年筆を使って原稿を書くのはツボである。
手書き原稿はパソコンに打ち込まなければならないのだが、
二度手間だろうが何だろうと、
好きなのだから仕方がない。

とはいえ、手書きにも波がある。
パソコンしか使わない時期もある。
その周期がどのようにやってくるのかわからない。
わかれば時間的配分も要領よくできそうなのだが、
B型+ペガサスというとても気分的なものに左右されている気がする。

『作家の仕事場』(新潮社)や『作家のインデックス』(集英社)を見ると、
撮影された時期が二十年前以上というせいもあって、
手書きの作家が多い。
ワープロを使っている作家は少数派。

前者など“安部公房”しかいない。
安部公房はもとも手書きで原稿を書いていたが、
いち早くワープロを導入したらしい。
ワープロの登場を心から喜んでいたという。

ワープロが普及し始めたときは、
ワープロvs手書きのような企画が存在した。
根幹的なテーマとして、電子文字を使うことで、
文章や作品が変わるかということだろう。

電子文字全盛期とも言うべきこの時代から振り返れば、
おかしな企画だったかもしれないが、
安部公房なら何と答えていただろう。
ワープロバンザイ。
作品の質が変わったことはなかっただろうか。

時代はどんどん変わる。
手書きが好きとは言っても、推敲に関してはパソコンなしでは生きていけない。
内容によって、パソコンで書きたいものもある。

例え古くても、いいところを継承して新しいものと合わせていけば、
よりよいものが生まれる。
目先の新しさにだけ飛びつくのは嫌いだ。

いま、電子書籍が話題になっている。
あと五年もしたら一般的に読まれているのかもしれない。
ただ、紙で読みたいものと、電子の方が優れているものと、
内容や性格によって異なってくるだろう。

現在の本の形はぼくは「超」がつくほど好きだが、
電子書籍を受け入れないつもりはない。
むしろ、新しい可能性の方を強く感じている。
今後の動向が気になるところである。

手書きからワープロに変更した作家はたくさんいる。
いまは、最初から電子文字を使っている人も多数だ。
そして、電子書籍の時代を迎えているわけだが、
安倍公房なら何を思うだろうか……

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