クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

編集者と行く羽生城めぐりは?(16) ―三次会は古城天満宮―

2010年12月12日 | 羽生城跡・城下町巡り
夢うつつで訪れた城跡には何が見えるだろうか。
時は午前3時。
草木は眠り、丑の刻参りをした人も
そろそろお帰りになる頃である。

ぼくらは古城天満宮にお参りした。
ここは「天神曲輪」と称され、
かつて存在した羽生城の一郭である。

城が落城するとき、お姫さまが天神社の御神体を一体抱えて、
天神曲輪から舟を使って落ち延びたという伝説がある。
どこにでもある神社だが、
ここはあまり知られていない歴史が眠っている。

二次会からの帰り道で立ち寄った古城天満宮。
女の子を送っていく帰り道でもある。
TさんとSさんとぼくの3人。
午前3時のぼくらは妖しい。
カラオケで唄ったエヴァンゲリヲンのエンディング曲や、
「天城越え」の余韻が残っている。

古城天満宮は闇と静けさに包まれていた。
ぼくら以外に誰もいない。
あるいは、どこか闇の中からぼくらを見つめる目があっただろうか……

3人仲良く並んで参拝。
彼らが願ったのは何だったのだろう。
不思議な縁で出会ったぼくらが深夜の天神さまで、
並んで手を合わせていることがくすぐったかった。

天神曲輪は城の北東に位置している。
つまり、鬼門に建つ神社である。
したがって、本丸はもっと西の方角。
忍城勢に攻められ、城主木戸忠朝は自害。
城は炎上し、黒煙に包まれたという伝説もある。

 町場口より火を懸ける折節、
 南風はげ敷吹懸け、城中不残火煙の黒煙り立上りければ、
 運命是迄と観念して主人忠朝を初家臣従卒百余人
 一騎も不残相果けり
 (「簑沢一城根元亡落記」より)

夢、幻の羽生城。
つはものどもたちの夢が眠っている。
空はちりばめたように光る星々。
ふと西を見れば、ほら、
肩の向こうにお城が燃える……

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “直木三十五”の原稿はなぜ字... | トップ | 北武蔵の“パワースポット”は... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

羽生城跡・城下町巡り」カテゴリの最新記事