クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

“伊奈忠次”の夢が眠っている場所は? ―伊奈陣屋―

2010年11月11日 | 城・館の部屋
埼玉県内で“障子堀”が検出された城跡はいくつかある。
その一つに“伊奈陣屋”がある。
“伊奈忠次(いなただつぐ)”の陣屋である。

障子堀とは、堀の中に畝があるものを言う。
騎西城や花崎城、深谷城で検出され、
城を堅固にする用法だ。

伊奈忠次は徳川幕政を支えた人物で、
天正10年に徳川家康に仕えた。
武蔵国小室領1万石を領すと、
ここを拠点に新田開発や治水に尽力。
治水をやると必ずぶつかる人物である。

その伊奈忠次の陣屋跡は、現在民家が建っている。
しかし、堀や土塁が現存しており、
往時の面影を伺い知ることができる。
障子堀が検出されたという意味で、
比較的特異な城ということができるだろう。

障子堀は、埋め立てられて目にすることはできない。
こぢんまりと広がる空き地になっている。

ここには忠次の夢が眠っている。
この場所で、忠次は関東の行く末を思い描いていたのだろうか。
そしていまの日本を見たとき、
忠次は何を思うのだろう……。



検出された障子堀(埼玉県伊奈町)


障子堀跡


二の丸跡




水堀







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2 コメント

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Unknown (さいたまんぞう)
2010-11-16 21:40:25
今晩は。
伊奈陣屋は、自分の職場から車で5分位で行ける場所で、これまで何度も車では通っています。このエリアに入ると道の直角に曲がる箇所がいくつもあり、また昼間でもほとんど人影がなく不気味というか、一人で歩くのはちょっとこわいです。人を寄せ付けない感じがあります。陣屋跡の西側はかなり広い湿地帯になっていて、当時は広大な沼だったのでしょう、要塞にうってつけだったと想像できますね。障子堀跡の北側はここ最近、養護施設やマンションが建てられ様変わりしてます。

開催中の、冨田さん企画展には28日に行けそうです。講演もされたそうですね。なかなか行ける時間がとれず、最終日のようですが伺ってみようと思います。


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さいたまんぞうさんへ (クニ)
2010-11-17 22:08:28
伊奈陣屋の近くに職場があるのですね。
伊奈陣屋は知る人ぞ知る場所ですよね。
ぼくはあの閑静な感じが好きです。
新幹線の陸橋の下も独特の雰囲気があって、
なぜかパトカーが止まっていました。
20歳過ぎのとき、毎週のように陣屋近くを通っていたので、
なんだか懐かしかったです。

冨田勝治展は充実した展示だと思っています。
28日で終わってしまうのがもったいないくらい……
ぜひいらしてくださいね。
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