クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

真名板で“嫁子呼び”の風習があった?

2016年02月26日 | 民俗の部屋
年が明けてまだ間もない頃、
真名板の郵便局へ行ったついでに、
久伊豆神社へふらり立ち寄った。

真名板高山古墳のすぐ近くに鎮座する神社で、
境内には鎮守の杜がわずかに残っている。
特に何があるというわけではない。
一般的な地域の神社だ。

江戸時代には、花蔵院というお寺が神社の管理をしていた。
花蔵院は火事で焼失してしまったが、
古墳の麓には薬師堂が建っている。
相当大きなお寺だったのだろう。
現存する仁王門が、往古の隆昌を偲ばせる。

ちなみに、この地域で婚礼を行ったカップルは、
1年以内に薬師堂を詣でる習わしがあったという。
ただ詣でるのではない。
嫁入り衣装姿で詣でるのだ。

これを“嫁子呼び”と呼んだ。
境内には、若い見物人がたくさん集まって祝福したらしい。
同日とは限らないが、鎮守である久伊豆神社への参拝もあっただろう。
村人たちは、村に入る嫁を温かく迎えたのかもしれない。

久伊豆神社は大通りから眺めることができる。
ただ、参拝となると小さな道を通らなければならない。
交通には十分気を付けたい。

神社の周囲は田畑が広がり、のどけさを誘う。
ぼくがこの神社に足を運んだのは、特に理由はない。
まだ数えるほどしか足を運んだことのない神社だ。
真名板高山古墳は、それこそ何度も足を運んでいるのに、
道を一本隔ててその頻度は歴然としている。
なぜだろう。
古墳と花蔵院の吸引力はいまも健在といったところか。
コメント (1)
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