クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

『羽生・行田・加須 歴史周訪ヒストリア』のウラ話(2) ―文具―

2016年02月23日 | クニ部屋の本棚
ブログを運営しているせいでしょうか。
パソコンに強いように思われるときがあります。

いえ、強くありません。
ぼくのパソコンの知識は「ない」も同然です。
それに、全ての文章をパソコンで書いているようにも思われますが、
決してそんなことはありません。

実を言うと、拙著は手書きでした。
万年筆で書きました。
使った万年筆は、
モンブランの作家シリーズの2010年モデル“マーク・トウェイン”。
中字ですが、やや太め。
インクボトルまるまる1本分は使い切ったと思います。

紙は満寿屋の原稿用紙……
と言いたいところですが、粗悪な裏紙です。
長年試した結果、最初から捨てるつもりの裏紙の方が、
自由にのびのびと書くことができることに行き着きました。
(書写した原稿用紙の裏などを使っています)

大きさはA5サイズ。
無地。

これも個人的な趣向です。
罫線はどうしても目に引っかかりますし、
A4とB5サイズはやや大きく感じられてしまうのです。
かつて、B5のルーズリーフや、
A4原稿用紙(縦・横両方)にシャープペンや鉛筆で書き綴っていました。
が、30代半ばにさしかかった頃から、
A5サイズの裏紙に万年筆で書くスタイルに落ち着いています。

パソコンの使用が一般化している時代です。
だからこそというか、ぼくは文具を使って手で書く作業が好きです。
書写もよくします。

とはいえ、全てが手書きというわけではありません。
ブログの記事はパソコンで書いています。
かつて埼玉新聞のタウン記者をやっていたときの記事や、
埼玉文学賞を受賞した「放課後の羽生城」も最初からパソコンを使いました。
現在、市広報に載せている羽生城の記事もキーボードを叩いています。

原稿によって、相性のいい書き方があるのでしょう。
本の執筆は、(たまたま)手書きだったというわけです。

最初、パソコンで書き始めたのですが、どうもうまくいきませんでした。
手書きにしてみたところ、思いのほかスムーズに進みます。
そして、そのまま手書きで書き進めたというわけです。

ところで、書くことによって常々実感するのは“文具”の力です。
文具によって、気分がまるで変わります。
例え気分が乗らなくても、お気に入りの文具を手に取るだけで、
エンジンがかかることは少なくありません。
そして、それはそのまま仕事に反映してきます。

今回、本を書き上げられたのも、
モンブランの万年筆の影響が強いと思います。
もし別のペンを使っていたら、
書き上げることはできても、もっと時間がかかっていたかもしれません。
気分が乗らないまま机に向かい、少し万年筆を動かすだけで徐々に熱が上がり、
最終的には集中して書くことができたことは何度もありました。

文具は気分を高め、仕事の質を上げる効果を持っています。
これは改めて実感したことです。

ただし、仕事の質が高価な文具と比例するわけではありません。
高価であればあるほど、仕事の出来がいいわけではないでしょう。
基準はあくまでも“自分のお気に入り”。
どんなに安価でも、それが自分のお気に入りであれば、
手に取るだけで気分は高まります。

これは文具に限らず、全ての仕事道具に当てはまるのではないでしょうか。
よく使うものだからこそ、気に入ったものを手元に置く。
例えそれが職場から支給されるものであっても、
あえて自分のお気に入りを見付けて買う。
些細なことですが、とても重要なことだと思います。

ぼくは、ステーショナリーディレクターの土橋正 氏の著書が好きで、
好きな箇所を繰り返し読んでいます。
(『文具上手』や『文具の流儀』など。いずれも東京書籍刊行)
ぼくは物にあまりこだわりがなく、執着もしない方ですが、
土橋氏の著書を読むと、文具にはこだわりを持っていたいなと思います。

もし、文具の効用を20年前、いや30年前に知っていたら、
人生が変わっていたんじゃないかなと思えてなりません。
というのも、文具によって、
学校の勉強に集中できたかもしれないからです。
自分の出来の悪さを文具のせいにするわけではありませんが、
少なくとも「やる気スイッチ」をonにすることはできた気がします。

学校の勉強や仕事にやる気が出ない状態が続いていたら、
1つでもいいから、お気に入りの文具(仕事道具)を見付けて使ってみるといいかもしれません。
その効果によって、気分が高まってきたらしめたもの。
気が付けば、offからonに変わっているでしょう。
愛用の文具(道具)には、
いつも感謝の気持ちを持って使いたいですね。
コメント
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