日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

米投資事業向けファンド 原油安、リスク顕在化 開発・生産など収益悪化

2015年01月14日 | 投信&その他運用
〔15.1.14.日経新聞:マーケット商品面〕


 米国のシェール革命を追い風に、急成長を続けてきたエネルギー関連事業への投資が踊り場にさしかかっている。原油価格の急落を受け、投資マネーが流出。代表指数は約1年ぶりの安値をつける場面があり、足元で値動きの激しさが目立つ。

 エネルギー分野で日本マネーの流入が目立つのがMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)に投資するファンド。MLPは原油や天然ガスなどの輸送パイプライン事業が全体の8割を占める。

 MLPの運営会社が受け取るパイプラインの使用料は安定しているため、収益はエネルギー価格の変動に左右されにくいとされる。高い利回りも魅力で、個人マネーをひき付けてきた。


 日本でも野村アセットマネジメントや国際投信投資顧問などがMLPに投資する投資信託を相次いで設定し、個人投資家の人気を集める。国際投信が運用する「米国エネルギーMLPオープン」は純資産が1800億円に達し、過去1年で6倍になった。日本から4000億円程度の投資マネーがMLP市場に流入しているもよう

 市場は活況を呈してきたが、原油価格の急落が冷水を浴びせている。ニューヨーク証券市場に上場する代表的なMLP50銘柄で構成する「アレリアンMLP指数」は今月、1500台で推移し2014年8月につけた過去最高値から2割下げた。石油輸出国機構(OPEC)が14年11月に減産の先送りを決めてから、2日間で1割下げる場面もあった。

 投資家比率は個人が6割超と高く、原油安を嫌気したろうばい売りが広がった。原油・ガスの探査や開発など「上流事業」は、全体の1割を占める。原油急落は上流事業を直撃するため、MLP指数を押し下げた格好だ。

 パイプラインなど「中流」については、当面は安定した収益が見込める。日本で販売されている投資信託も主な投資対象は、中流事業だ。

 ただ、投資家は原油安の長期化に懸念を強めている。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・上席エコノミストは「パイプラインの建設などインフラの開発が遅れるほか、稼働率が低下する可能性もある」と指摘する。

 国内のある大手投信会社によると、14年11月から販売額は伸び悩んでいるという。「MLPの値動きの激しさなど、説明が十分に行き届いていなかった」と反省の弁を口にする。

 MLPの事業や組み入れ資産を基準に、銘柄ごとに選別が進む可能性が高い。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが上場した石油パイプラインに投資するMLPは14年10月末の上場以来、堅調な値動きが続く。

 一方、同じ10月に上場した「USDパートナーズ」は原油の鉄道輸送の成長性に疑問符がつき、価格は低迷している。MLPブームが一巡し、個人投資家も個別銘柄の収益力に目を配る必要性が高まりつつある。 

MLPとは
 共同投資事業の一つで米証券市場に上場している。エネルギーのインフラ整備を目的に、米国で1980年代に誕生した。約120銘柄が上場し、株式と同様に市場で取引されている。合計の時価総額は5300億ドル(約63兆円)に達し、過去1年で約2割増えた。

 MLPはエネルギー関連事業が主な収益となる仕組みで、不動産の賃貸収入を収益源とする不動産投資信託(REIT)と似ている。原油・天然ガスの輸送パイプラインや貯蔵施設、油田・ガス田、精製施設などの事業や資産に投資する。法人税が免除されるため、米国債などに比べ高い利回りが特徴だ。 

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