〔15.1.14.日経新聞:マーケット商品面〕
食品トレーの製造コストも下がりそうだ
食品容器や建設資材などに使うポリスチレン樹脂の国内取引価格が下落した。原油安を受けて樹脂原料となるベンゼンが値下がりしたのを反映した。内需も鈍く、需要家から値下げ圧力が強まった。これまでの高値で採算が悪化していた加工メーカーのコスト負担は和らぎそうだ。
国内の樹脂メーカーが出荷価格を引き下げ、年明けから新価格に移行した。東京地区の取引相場は汎用の一般グレードが1キロ218~234円と昨年秋に比べて約20円(7~8%)安い。値下がりは半年ぶりで、ほぼ2年ぶりの安値となった。
合成樹脂は包装材料などに使うポリエチレンやポリプロピレンも昨年末から値下がりに転じており、原油安の影響が幅広い石油化学製品に及んできた。
ポリスチレン価格は原料コストの変動に応じ4半期ごとに改定する方法が主流だ。主原料のベンゼンは2014年10~12月の指標価格の平均が前四半期比23%下がった。原油やナフサ価格が急落したほか、中国の需要鈍化でアジア域内の需給が緩んだことが背景にある。
需要も盛り上がりを欠く。日本スチレン工業会によると14年11月の国内出荷量は4万8784トンと前年同月を17%下回った。食品容器向けは年末にかけてが最大需要期だが「年明けからの樹脂の値下がりを見越した需要家が調達を先送りした」(樹脂大手)。12月も出荷が伸び悩んだようだ。
ポリスチレンの国内価格は13~14年にかけて2割超上昇していた。ベンゼンが米国や中国の旺盛な需要を背景に値上がりしたためだ。同樹脂を容器に使うカップ麺や乳酸菌飲料ではコスト高を製品価格に転嫁する動きも出た。
樹脂の値下がりで需要家のコストアップは一服する。発泡スチロール製品の成形メーカーで組織する日本フォームスチレン工業組合は「加工メーカーの採算改善につながれば」と期待する。
ただ、原料安で輸入樹脂の価格も大幅に下がり「国産の割高感は消えていない」(食品トレー大手)。容器分野でPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリプロピレンといった別の樹脂との競合もあり、ポリスチレンの需要が値下げで回復するかは不透明だ。
弁当容器や総菜用トレーなどは価格競争が激しく、樹脂高が続いた昨年以降も製品への転嫁が遅れていた。「今回の原料安で値上げが一段と難しくなる可能性がある」(日本プラスチック食品容器工業会)と懸念する声もある。
食品トレーの製造コストも下がりそうだ
食品容器や建設資材などに使うポリスチレン樹脂の国内取引価格が下落した。原油安を受けて樹脂原料となるベンゼンが値下がりしたのを反映した。内需も鈍く、需要家から値下げ圧力が強まった。これまでの高値で採算が悪化していた加工メーカーのコスト負担は和らぎそうだ。
国内の樹脂メーカーが出荷価格を引き下げ、年明けから新価格に移行した。東京地区の取引相場は汎用の一般グレードが1キロ218~234円と昨年秋に比べて約20円(7~8%)安い。値下がりは半年ぶりで、ほぼ2年ぶりの安値となった。
合成樹脂は包装材料などに使うポリエチレンやポリプロピレンも昨年末から値下がりに転じており、原油安の影響が幅広い石油化学製品に及んできた。
ポリスチレン価格は原料コストの変動に応じ4半期ごとに改定する方法が主流だ。主原料のベンゼンは2014年10~12月の指標価格の平均が前四半期比23%下がった。原油やナフサ価格が急落したほか、中国の需要鈍化でアジア域内の需給が緩んだことが背景にある。
需要も盛り上がりを欠く。日本スチレン工業会によると14年11月の国内出荷量は4万8784トンと前年同月を17%下回った。食品容器向けは年末にかけてが最大需要期だが「年明けからの樹脂の値下がりを見越した需要家が調達を先送りした」(樹脂大手)。12月も出荷が伸び悩んだようだ。
ポリスチレンの国内価格は13~14年にかけて2割超上昇していた。ベンゼンが米国や中国の旺盛な需要を背景に値上がりしたためだ。同樹脂を容器に使うカップ麺や乳酸菌飲料ではコスト高を製品価格に転嫁する動きも出た。
樹脂の値下がりで需要家のコストアップは一服する。発泡スチロール製品の成形メーカーで組織する日本フォームスチレン工業組合は「加工メーカーの採算改善につながれば」と期待する。
ただ、原料安で輸入樹脂の価格も大幅に下がり「国産の割高感は消えていない」(食品トレー大手)。容器分野でPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリプロピレンといった別の樹脂との競合もあり、ポリスチレンの需要が値下げで回復するかは不透明だ。
弁当容器や総菜用トレーなどは価格競争が激しく、樹脂高が続いた昨年以降も製品への転嫁が遅れていた。「今回の原料安で値上げが一段と難しくなる可能性がある」(日本プラスチック食品容器工業会)と懸念する声もある。