日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

鉄鉱石、対日11%安に 4~6月、中国需要鈍化や増産で 鉄鋼の収益改善後押し

2015年03月04日 | 素材:鋼材・鉄
〔15.3.4.日経新聞:マーケット商品面〕
 

 鉄鋼原料である鉄鉱石の4~6月期の対日価格が前四半期比11%安の1トン62ドルに決まった。下落は5四半期連続で、四半期ごとの値決めになった2010年以降の最安値だ。原料安は鉄鋼メーカーの収益改善を後押しする。ただ足元では鋼材価格も下げ基調で、今後は利ざやが徐々に縮小する可能性もある。

 対日価格はオーストラリア産の中国向けスポット(随時契約)価格から算出する。新日鉄住金など国内鉄鋼大手が英豪リオ・ティントなど資源大手から鉄鉱石を購入する際の長期契約に適用される。価格は2014年1~3月期の122ドルからほぼ半値になった。

 世界の粗鋼生産の半分を占める中国では、経済成長の鈍化で14年の国内鋼材需要が前年割れした。鉄鉱石輸入の伸びもほぼ止まりつつある。輸入量は昨年11月に続き、今年1月にも前年同月を下回った。「今年は旧正月(春節)の連休前に在庫を積み増す取引すらなかった」(国内総合商社)

 それでも資源大手は増産を継続する方針だ。豪英BHPビリトンは17年までに40億ドルのコスト削減を実施すると発表した。「安値競争を仕掛けて中小の資源会社を撤退させ、最終的に寡占状態を作る狙い」(新日鉄住金)との見方がある。

 鉄鋼原料では主に電炉が使う鉄スクラップも関東地区の価格が一段安となった。電炉買値は現在、1トン2万5千円弱で1カ月前より6%安い。アジア市場での需給緩和を受けて日本からの輸出価格が年初から急落した影響が出ている。

 原料安はメーカーの業績改善につながる。新日鉄住金は1月末、15年3月期の連結業績について経常利益の見通しを100億円上方修正し、4100億円とした。電炉メーカーも棒鋼最大手の共英製鋼が経常利益見通しを35億円引き上げ125億円としている。

 ただ鉄鋼原料の値下がりを受けて、ゼネコンなど鋼材の需要家は値下げ要求を強めている。マンション建設に使う異形棒鋼(鉄筋)は現在1トン6万1千円程度で年初から3%下落した。熱延鋼板など薄鋼板も1~2%下げている。消費増税後の需要減少やアジア市場での鋼材相場の急落も価格の弱材料だ。

 鉄鉱石のスポット価格は2月ごろから1トン60~70ドルで横ばい傾向となった。採算悪化で中小の鉱山が生産を減らしているとの観測がある。鉄鋼原料が下げ止まれば、今後は鉄鋼メーカーの利ざやが縮小に向かう可能性がある。 

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