日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

「金融機関はプロ」を疑え 投資賢者の心理学

2015年03月04日 | 投信&その他運用
〔15.3.4.日経新聞:M&I 1面〕

金融機関の窓口や営業担当者は、自社で扱う商品を買ってもらうのが仕事

 投資を始める初心者の多くは「株式や投資信託ってよく分からないからプロに相談してみよう」と考えるでしょう。ゴルフや英会話でも自己流でやるより専門家に教わる方が早く確実に身につきやすいですが、残念ながら投資に関してはそれが正解とは言い切れません。なぜなら皆さんが身近な相談相手として思い浮かべる「プロ」は証券会社や銀行の窓口や外回りの営業担当者だからです。彼らは「販売のプロ」ではあっても運用のプロではありませんし、プロのアドバイザーでもありません。あくまでも自社で扱う商品を買ってもらうのが仕事です。

 例えば保険でいえば、中立なプロが診断すれば「あなたは保険に入る必要はありません」という結論になることもあり得ます。株や投信であれば「あなたはリスク商品はやめて預金だけにした方が賢明です」とアドバイスしてくれる人がいてもいいはずです。しかし特定の金融機関の窓口などで相談すると、まずそういった助言は望めません。勧められた商品に選択肢を狭めてしまう結果になるでしょう。

 本当に自分に合ったアドバイスを求めたければ、特定の金融機関に属さない独立系のファイナンシャルプランナー(FP)など運用や投資に詳しい専門家に有料で相談するべきです。ところが多くの人は、無料で気軽に対応してもらえる金融機関の窓口に行ってしまいます。金融機関もそれは百も承知で、「資産の総合アドバイザー」や「トータルライフプランナー」といった頼りになりそうな肩書の担当者を置いて相談者を待ち構えています。

 これは行動経済学でいう「権威づけ効果」です。投資や金融商品のように売り手と買い手との知識差が大きい場合は、「大企業」や「安心」「プロ集団」といったイメージ戦略が功を奏しやすいのです。2014年から始まった少額投資非課税制度(NISA)のCMや広告でも、商品の細かい説明ではなくこうしたイメージを訴えているものが多いはずです。

 こうした背景を知れば、まったくの投資初心者がいきなり金融機関の窓口に相談に行くのは避けるべきだということが分かるのではないでしょうか。説明を聞いてもよく分からず、「お薦めは?」「プロのあなたにお任せします」ということになり、担当者の思うつぼになりがちだからです。

 もちろん金融機関に「投資のプロ」はいます。しかし彼らは自社の資産を運用したり、投信などの形で預かっている資産の運用をしたりするのが仕事です。個人顧客の相談を受けるわけではありません。

 投資はまず自分で勉強し、分からない部分があればちゃんとお金を払ってプロのアドバイザーに聞くのが大原則です。自力で多少分かるようになるまで投資はやらないか、多少の失敗をしても差し支えないくらいの少ない金額で経験を積みながら、自分に合った投資法を探っていくべきでしょう。投資によって得る利益も被る損失もすべてあなたのものであって、商品を勧めた金融機関の担当者が責任をとってくれるわけではないのです。 (経済コラムニスト 大江 英樹)

▼マネー→やさしい投資→投資賢者の心理学

※ブログ主補記:従前そこに身を置いていた者としても、強く賛同します。 

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