日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

「楽観」の影 警戒サイン 業績拡大、過熱感を拭えるか

2015年03月04日 | 株式全般
〔15.3.4.日経新聞:マーケット総合1面〕
 

 下がらない相場だ。3日の日経平均株価は4営業日ぶりに反落したとはいえ11円安と小幅で、下げれば入る押し目買いの強さが目を引いた。市場では「売る理由がない」との声も交ざり、いつの間にか「総楽観」のムードに傾きつつある。ただ、強気が極まるほどその反動も大きくなるのが相場の常。楽観の影で警戒サインも出始めている。

 「とにかく皆さん強気です。私自身、今のところは個別株や株価指数先物を使ったリスクヘッジもしていない」。損保で政策株投資を担当する運用者がささやく。普段なら人一倍リスクに気を使う立場のはずなのに、すっかり強気なのだ。

 国内の投資信託のファンドマネジャーは経験則が効かないと首をかしげながらも日本株を買っている。いったん資金を避難させたいところだが、「値動きが小さい銘柄まで買い上げられている。相場についていくしかない」。

 強気が強気を呼びつつある日本株。大和証券が6日まで開いているセミナーには過去最高規模の約400人の海外投資家が詰めかけている。「海外勢にとって日本株を持たざるリスクは大きい。足元でも買い越しが続いている」(グローバル・エクイティ・セールス第一部の上島英二副部長)

 しかし楽観の影で、次の調整の芽もまた育つもの。実際、過熱を示す警戒サインもともり始めた。例えば「シャープレシオ」だ。

 一定期間の株価の騰落率を、その間の価格変動率で割って算出する指標。安定的に株価が上がれば高く出る。投資家にとってはシャープレシオが高いほど、売買タイミングにあまり左右されずに投資益を狙えるように見え、さらなる買いを呼びやすい。日本株でこのシャープレシオが切り上がっているのだ。2月には株価が最高値の米国株やドイツ株よりも高くなった。

 日本株が独走する風景は2013年春に見ている。日銀の異次元緩和で株価が高値を追った局面だ。しかしその年の5月に急落を経験した。「今回もどこかで株価の調整があるとみるべきだ。いま積極的に運用リスクをとる状況ではない」(ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏)

 もちろん、脱デフレへの期待が膨らみ、「理想買い」の金融相場だった当時とは異なる点も多い。大きいのは企業業績の拡大が「現実」になってきた点だ。上場企業の今期の経常利益は過去最高益を見込めるまでになった。SMBC日興証券の阪上亮太チーフストラテジストは「熱気に染まった当時よりも冷静に選別を進める投資家も多い」と話す。日経平均の移動平均とのかい離率をみれば極端な行き過ぎともいえない。

 「海外勢の間には日本株は資産バブルの3合目だとの声もある」とBNPパリバ証券の岡沢恭弥取締役が話していた。今の強気相場は天井に近いのか、まだ大相場の通過点なのか。どうみるかで投資する側のスタンスも違ってくる。少なくとも、需給に頼ったバブルで終わらないためには裏付けが必要だ。企業がさらに「稼ぐ力」を高めていく姿をはっきりと見せることが過熱感をぬぐい去り、持続的な株高につながるカギになる。 (酒井隆介) 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。