日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

外食、止まらぬ客離れ 値上げ嫌いスーパーへ?

2015年01月25日 | 27.小売業
〔15.1.25.日経新聞:日曜に考える2面〕
 
松屋は東京・池袋などの店でプレミアム牛めしの販売を一時休止した

 成人の日を含む3連休。東京都新宿区の住宅街にある「マクドナルド」は、昼時にもかかわらず客席が半分も埋まっておらず、従業員も手持ち無沙汰な様子だった。年明けに青森県など各地の店舗で続々と明らかになった異物混入問題が影響しているようだ。ただ、外食業界全体を見渡すと、客数の減少に悩むのはマクドナルドに限らない。

 日本マクドナルドホールディングスは、昨夏に「使用期限切れ鶏肉問題」が発覚して以降、深刻な顧客離れに直面した。2014年に既存店売上高が前年同月を上回ったのは1月だけ。鶏肉問題が発覚した同年7月以降は、6カ月連続で2桁のマイナスに落ち込んでいる。15年は異物混入問題も加わり、さらに厳しい経営環境が続くのは避けられない。

 マクドナルドは全国に約3100店を運営し、全店合計の年間売上高は約5000億円(13年)に上る。1カ月当たりの単純平均は400億円超。売上高の2桁マイナスは、毎月数十億円単位の減少を意味する。

牛丼店も軒並み苦戦
 一方、マクドナルドの鶏肉問題が発覚した後、他の外食企業で売上高を大幅に増やしたところはほとんどない。それどころか、多くがマクドナルドと同じく客数を減らしている。消費者の志向はどこに向かっているのだろうか。

 松屋フーズは昨秋、牛丼店「松屋」の東京都内の一部店舗で「プレミアム牛めし」(並盛り380円)の販売を休止した。同社は14年7月、関東中心の店舗で従来品(同290円)から冷蔵肉を使ったプレミアム品に切りかえた。すると学生街などの店舗で客数が落ち込んだ。低価格志向の消費者が利用を控えたためとみられる。

 一部店舗でプレミアム品の販売を休止したのは、価格の安い従来品に戻して顧客の反応を探る試みだった。しかし、結果として「客数が大きく増えることはなかった」(同社)ため、約2週間で再びプレミアム品に戻した。

 他の牛丼大手も客数の伸び悩みに苦しむ。「すき家」は14年8月から前年割れが続き、ヒット商品「牛すき鍋膳」を持つ「吉野家」も14年12月は前年同月比8.4%減となった。

 背景には高単価商品の投入や値上げがある。すき家は同8月に牛丼並盛りを21円高い291円、吉野家は同12月に80円高い380円へと、それぞれ値上げした。吉野家ホールディングスの河村泰貴社長は、値上げについて「客数に(落ち込みの)影響がある」と認める。

 少々高くても質の高い商品やサービスを求める消費者がいる半面、価格を重視する消費者は依然として多い。すき家と吉野家の14年12月の既存店売上高はそれぞれ3.5%、0.2%増えた。値上げによる客数の減少を、高単価商品の販売や値上げを通じた単価上昇で補った格好だ。既存店売上高が堅調なファミリーレストランも、来店客を減らしながら単価上昇でプラスを維持するケースが多い。

夕食時間帯振るわず
 とはいえ、価格を際限なく上げるのは現実的ではない。持続的な成長には客数の増加が欠かせない。マクドナルドや牛丼店から遠のいた顧客は、どこに行ったのだろうか。

 外食業界の関係者は「コンビニエンスストアやスーパーに流れているのではないか」との見方を示す。14年4月の消費増税もあって、消費者の多くは食費を節約したいと考えている。割高感のあるコンビニを避けて、スーパーで買い物する消費者が増えたとの指摘もあるほどで、外食を“ぜいたく品”として減らしている可能性がある。

 消費者の価値観の変化が影響しているかもしれない。「夜はヒマという感覚が強くなってきた」。ハンバーガー店「モスバーガー」を運営するモスフードサービスの桜田厚会長兼社長は、夕食時間帯の売れ行きが落ちているとこぼす。14年度のモスバーガーの時間帯別売上高を05年度と比較すると、朝食帯は数十億円増えているが、夕食帯はそれ以上に減っているという。「日本人の生活スタイルが朝型にシフトしている」(桜田氏)

 人口減少の時代を迎えて、内需産業の典型である外食は業界全体として成長を見込むのは難しい。縮む市場で生き残るためには、食材価格の上昇や人手不足といった逆風に耐えることはもちろん、遠のいた消費者をふたたび店舗に呼び戻す商品やサービスの工夫が欠かせない。 (企業報道部 黒井将人)

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