日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

海外資金、不動産に1兆円 14年過去最高 円安進み日本買い

2015年01月12日 | 32.不動産業
〔15.1.12.日経新聞:1面〕


 海外からの不動産投資が急拡大している。2014年の海外企業による日本の不動産取得額は1兆円近くと、前年の約3倍に増え過去最高となった。円安などを背景に「日本買い」が進み、国内不動産取引の約2割を占めた。東京都心での購入に加え地方にも波及している。海外マネーの流入(総合・経済面きょうのことば)は、訪日外国人による消費だけでなく、不動産市場でも存在感を増している。

 みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所(東京・中央)によると、昨年の海外法人による不動産取得額は9777億円だった。比較可能な05年以降でこれまで最高だった07年を約8割上回る水準。約2兆円とされる訪日外国人の「インバウンド需要」が消費を下支えするのと同時に、不動産市場でも外国人の存在は無視できなくなっている。

 投資会社や金融機関が多い海外の購入者のなかで目立つのは中国などアジア系だ。昨年12月、中国の投資会社の復星集団や米系ファンドは日本たばこ産業(JT)の複合施設「品川シーサイドフォレスト」のオフィスビル計3棟を700億円弱でそれぞれ取得した。シンガポール政府投資公社は同10月、東京駅前の「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」のオフィス部分を約1700億円で買収した。

 海外マネーが不動産に向かうのは、日本企業の業績改善や20年の東京五輪開催で地価やオフィスビル賃料の上昇が見込みやすいことがある。

 地価は全国的に下落幅縮小が続き、昨年には三大都市圏で商業地・住宅地とも上昇に転じた。東京都心のビル空室率は5%台半ばと6年ぶりの低さにある。

 さらに円安が海外勢にとって投資負担を軽くする。国内の不動産価格や賃料を円建てでみると、世界の大都市に比べ割安感が強い。日本不動産研究所(東京・港)によれば円換算した昨年10月のオフィス賃料比較では、東京を100とすると香港は165.6、ロンドンは146.0だった。

 「主要国の金融緩和で資金調達しやすい」(都市未来総研の平山重雄氏)ことも、不動産投資の魅力を高める要因だ。

 海外の個人も存在感を増している。住友不動産が東京・晴海で販売中のタワーマンション「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」は中国人らの購入が目立つという。

 京都市では伝統の京町家を別荘に使う目的で購入する外国の富裕層客が増えている。市内の不動産会社、八清は14年6月期に京町家14軒を販売した。スキーリゾートで知られる北海道ニセコ地区などでも外国資本による開発が進み、海外マネーの不動産買いは地方にも広がりをみせる。

 日本は海外からの対内直接投資が少ないと指摘される。投資を後押ししようと、国土交通省は昨年8月に日本の不動産取引に関する法律などを英訳して発信する取り組みを始めた。

きょうのことば 「海外マネーの流入」 日本の資産、円安で割安に


▽…海外投資家による日本の資産への投資は、日本企業の株式や債券に加え不動産も有力な投資先だ。外国人による投資で外国為替市場での円相場の動きは重要な役割を果たす。円安が進むと、外国人にとり自国通貨でみた日本の資産は割安になる。2012年以降に急速に進んだ円安で割安になったとみた外国人が、日本の不動産取得を増やした面がある。

▽…株式市場では円安進行が、外国人の投資に逆の効果をもたらす場合がある。円安が進む過程では自国通貨でみた株価の上昇を抑え、日本株を買いづらいとみる外国人も少なくない。不動産と株式で受け止め方が違うのは、投資してから収益を回収するまでの期間が、不動産の方が比較的長いことなどが影響しているとみられる。

▽…海外マネーの不動産市場への流入は、円安効果だけではない。日本のデフレ脱却が進むとの期待や、20年の東京五輪開催に伴う不動産市況の好転見込みも外国人の投資を後押しする。長引く低金利も要因だ。投資するために借り入れる円を調達しやすいためだ。  

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