日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

クラゲ襲来 引き金は中国 経済発展,護岸と排水増える (プランクトン爆食→イワシ・アジ等の減少へ)

2015年01月11日 | 中国(紛争・汚職・倒産等)
〔15.1.11.日経新聞:サイエンス面〕
 クラゲが大量に発生する現象が世界各地で相次いでいる。海が突然クラゲスープのようになり、発電所をまひさせたり漁を台無しにしたりする。大発生は開発や魚の乱獲などが引き金となっていることがわかってきた。近年、日本海に押し寄せる巨大クラゲは中国の経済発展と深く関わっているとみられている。

 2013年9月、バルト海に臨むスウェーデンのオスカルスハムン原子力発電所は緊迫した。原子炉を冷やす水を海から吸い上げられなくなったからだ。取水口には無数のクラゲがぎっしりと詰まっていた。運営するOKGは念のために原発を緊急停止した。

 日本では12年8月に、関西電力赤穂火力発電所(兵庫県)の取水口付近が海面が見えないほどのクラゲで覆われた。冷却水を取り込めなくなり、起動をあきらめた。クラゲを海中から引き上げるカゴはあまりの重さに壊れたという。

 世界屈指の高級海浜リゾート地、フランスの地中海岸コートダジュール一帯には数年前から無数のクラゲが押し寄せるようになった。バカンス客は天気予報よりもクラゲ予報が気がかりだといわれる。地元のビルフランシュ・シュル・メール海洋研究所はクラゲ警告を出すようになった。

 「クラゲ対策に本腰を入れないと世界の海は大変なことになる」。昨年11月、スペイン・バルセロナで開かれた海洋生態系の保全を話し合う国際会議では、クラゲ問題が主要議題のひとつに挙がった。講演を求められた広島大学の上真一教授はこう警告した。ミズクラゲやエチゼンクラゲに悩まされる日本は、クラゲの被害と対策の先進国だ。

 直径2メートル、重さ150キログラムを超すエチゼンクラゲが日本に大挙襲来するようになったのは02年からだ。それまでは40年に1度ほどだったが、02年以降は毎年のように大発生している。09年には犬吠埼(千葉県)沖で漁船の網にクラゲがかかりすぎて転覆する事故も起きた。多い年では、漁業被害額が300億円に達したという。

 大量のクラゲはどこからやって来るのか。上教授や水産総合研究センターなどの調査で、エチゼンクラゲは渤海や黄海など東シナ海北部の中国沿岸で生まれていることがわかった。

 中国の沿海部は開発が進み、海岸はコンクリートの護岸へと姿を急速に変えつつある。こうした岸壁は小さなイソギンチャクのようなクラゲの子供「ポリプ」がくっついて育つのにうってつけだ。発展著しい沿海部の生活排水や農業廃水などが大量に流れ込む。そこに含まれる窒素やリンなどはクラゲの大好物であるプランクトンを増やす。「中国の沿海域はクラゲの培養液だ」と上教授は例える。

 護岸にはりついたポリプは春になるとほんの2~3ミリほどの子クラゲを放出する。対馬海流に乗って初夏に玄界灘に流れ着くころには重さ数キログラムに成長し、本州北部に到達する秋には100キログラムを超える。

 巨体のエネルギー源は海を漂う動物プランクトンだ。大きなエチゼンクラゲは泳ぎながら1日にプール一杯分の海水を取り込み、触手を使ってプランクトンを根こそぎ食べ尽くす。

 プランクトンはイワシやアジなどの稚魚のエサになる。クラゲが増える背景には魚の乱獲もあるとみられている。餌を巡る競争相手が減った空きスペースでクラゲばかりが幅をきかせるようになると、魚はますます育ちにくくなる。


 ここ1、2年、エチゼンクラゲの日本への大規模な襲来は確認されていないが油断は禁物だ。クラゲの子供は、固い殻に包まれた「ポドシスト」の格好で休眠しているからだ。ポドシストは8年ほどは生き延び、何かの刺激で一斉に休眠から目覚める。中国の護岸ではいまも天文学的な数のポドシストがクラゲになるタイミングを待っている。
~以下割愛~

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