日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

子牛価格が過去最高 生産者減少響く 食肉卸値も高止まり

2014年12月16日 | 1.水産・農林業
〔14.12.16.日経新聞:マーケット商品面〕



 和牛子牛の取引価格が過去最高になった。農家の高齢化や口蹄疫(こうていえき)の後遺症で頭数が減り続けているためだ。農畜産業振興機構(東京・港)が15日にまとめた11月の全国平均価格は前年同月比1割上昇し、2カ月連続で過去最高を更新した。早期の供給回復は見込めず、食肉価格も高止まりしそうだ。

 福島県棚倉町の肥育農家、沼野博さんは上がり続ける子牛価格に頭を抱える。「毎月12頭の肥育牛を出荷するのに子牛は8頭しか導入できない。悪循環が断ち切れない」

 肉用牛の生産は「繁殖」と「肥育」の二段階からなる。出産から生後10カ月程度までの子牛の養育を担うのが繁殖農家。繁殖農家が市場に出荷した子牛をセリで仕入れ、20カ月前後かけて肉牛に育てるのが肥育農家だ。

 肥育農家にとり、子牛の高値は原価の上昇を意味する。原子力発電所の事故に伴う風評被害で、福島牛の取引価格は他産地より1割ほど安い。高値で子牛を仕入れても出荷する肥育牛の売値は頭打ちだ。「子牛を仕入れるだけの利益が出ず、頭数を維持できない」(沼野さん)という。

 子牛の高値は全国の肥育農家にとって悩みのタネだ。11月の和牛子牛の価格は1頭約58万4千円(黒毛和種、去勢・雌平均)と前年比11%上昇した。2012年度平均に比べると4割高く、記録が残る1994年以降では最高値だ。

 背景には生産基盤の弱体化がある。14年2月時点の繁殖農家数は約5万戸と過去10年で4割減った。高齢化による廃業に加え、11年の東日本大震災で廃業した東北の農家もある。10年には全国屈指の繁殖拠点だった宮崎県で口蹄疫が発生して多くの母牛が殺処分され、生産のサイクルが狂った。

 出産や子牛の細やかな世話など手間がかかる繁殖は伝統的に小規模な農家が手がけてきた。「規模拡大による経営の合理化が難しく、価格が上がっても簡単には生産頭数が増えない」(全国農業協同組合連合会畜産生産部)

 供給の減少を背景に和牛の枝肉卸値は過去2年で2割超上がったが、子牛価格の上昇ペースはそれ以上に早い。肥育農家が自前で繁殖から手がけて子牛の調達費用を抑えたり、放牧を活用して餌代を減らしたりする個別の取り組みもあるが、即効性のある解決策は見当たらないのが実情だ。


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