〔14.12.09.日経新聞:マーケット商品面〕
スーツ生地など毛織物の原料となるそ毛糸の価格が上昇している。指標品種の国内価格は24年ぶりの高値となった。原料の羊毛の出荷量が主要産地のオーストラリアで減少し、国際価格が高止まりしているうえ、足元で急激に円安が進んでいるためだ。衣料品など最終製品にも影響が広がりそうだ。
指標品種である48双そ毛糸の国内卸売価格は1キログラム2035円となり、10月末から4%上昇した。1990年6月以来の高値となった。
オーストラリアの羊毛競売価格は直近で1キロ10.5豪ドル前後と、高値圏を維持する。昨年末より約7%安いが、2009年より3割程度高い水準だ。干ばつの影響などで羊の飼育頭数が減り、羊毛生産量の減少傾向が続いているためだ。
中国の景気減速で一時期より国際的な需給は緩んだ。それでも1キロ10豪ドルを下回る価格では牧羊業者のコストをまかなえず、売買が成立しなくなっている。大阪市の毛糸問屋は「羊毛の国際価格が下がる要素は見当たらない」と話す。
これまではアパレル各社が値上げに慎重で、「毛糸の国際価格の上昇分をそのまま卸価格に転嫁するのは難しかった」(大阪市の毛糸問屋)。しかし、足元の急激な円安で、値上げをせざるをえなくなったという。
今年の秋冬商戦向けの調達はほぼ終わっているが、織物業者などのなかには「一段の値上げを見越し、来年向けの原料の調達に動きだしているところもある」(同)。
あるカジュアル衣料大手は「ウール100%の製品をアクリルとの混紡に切り替えるといった対応も検討している」と話す。セーターなどに使われる合成繊維のアクリル繊維は原料価格の下落を背景に値下がり基調にあり、毛糸と混ぜて使えば原料価格を抑えられるからだ。
中国や東南アジアの人件費が上昇しているうえ、国内外の物流費も上がっており、繊維や衣料品の輸入価格は上昇傾向が続く。「仕入れの集中化などコスト削減努力である程度は吸収するが、製品価格に転嫁せざるをえない」(靴下大手のタビオ)という声もある。
スーツ生地など毛織物の原料となるそ毛糸の価格が上昇している。指標品種の国内価格は24年ぶりの高値となった。原料の羊毛の出荷量が主要産地のオーストラリアで減少し、国際価格が高止まりしているうえ、足元で急激に円安が進んでいるためだ。衣料品など最終製品にも影響が広がりそうだ。
指標品種である48双そ毛糸の国内卸売価格は1キログラム2035円となり、10月末から4%上昇した。1990年6月以来の高値となった。
オーストラリアの羊毛競売価格は直近で1キロ10.5豪ドル前後と、高値圏を維持する。昨年末より約7%安いが、2009年より3割程度高い水準だ。干ばつの影響などで羊の飼育頭数が減り、羊毛生産量の減少傾向が続いているためだ。
中国の景気減速で一時期より国際的な需給は緩んだ。それでも1キロ10豪ドルを下回る価格では牧羊業者のコストをまかなえず、売買が成立しなくなっている。大阪市の毛糸問屋は「羊毛の国際価格が下がる要素は見当たらない」と話す。
これまではアパレル各社が値上げに慎重で、「毛糸の国際価格の上昇分をそのまま卸価格に転嫁するのは難しかった」(大阪市の毛糸問屋)。しかし、足元の急激な円安で、値上げをせざるをえなくなったという。
今年の秋冬商戦向けの調達はほぼ終わっているが、織物業者などのなかには「一段の値上げを見越し、来年向けの原料の調達に動きだしているところもある」(同)。
あるカジュアル衣料大手は「ウール100%の製品をアクリルとの混紡に切り替えるといった対応も検討している」と話す。セーターなどに使われる合成繊維のアクリル繊維は原料価格の下落を背景に値下がり基調にあり、毛糸と混ぜて使えば原料価格を抑えられるからだ。
中国や東南アジアの人件費が上昇しているうえ、国内外の物流費も上がっており、繊維や衣料品の輸入価格は上昇傾向が続く。「仕入れの集中化などコスト削減努力である程度は吸収するが、製品価格に転嫁せざるをえない」(靴下大手のタビオ)という声もある。