日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

市場、流動性への過信 原油安の影響 軽視できず

2015年01月14日 | 株式全般
〔15.1.14.日経新聞:マーケット総合1面〕
 

 原油安を起点にした不安が市場に広がっている。原油急落の問題が、信用リスクが高まる導火線になるかもしれないとの懸念だ。原油高は続くし、潤沢な緩和マネーが金融市場の安定を支えるとみていた市場参加者の多くの予測。それを見誤ったツケが待っているのではないか。市場には「流動性は幻想」だとする警鐘も混ざり始めている。

 「破綻懸念先リスト」。市場関係者にこんな資料が広がり始めた。並ぶのは信用力の低い米国のエネルギー会社約30社。先週に米シェール関連企業が経営破綻し、原油安が企業の信用リスクを高めると認識が新たになった。13日の日経平均株価も下げ渋ったとはいえ、一時300円を超える下げとなった。日本株もその波に揺さぶられている。
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 止まらない原油安。11日には米ゴールドマン・サックスが原油価格の予想を一気に下げた。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が半年後に1バレル30ドル台もありうるという。100ドルを超えていた昨年夏時点では想像のつかない、3分の1の安さだ。

 「原油高が続くと予想していたプレーヤーが多いほど、その予想の失敗が経済的な危機を招来する危険性は高くなる」(バークレイズ証券の北野一チーフストラテジスト)。産油国、エネルギー会社、投資ファンド――。原油高を前提にした計画や投資が狂った影響が今後どう出てくるか、まだわからないという。

 原油安が長期的には消費国経済にプラスに働くとの議論はある。しかし、北野氏は「予測の失敗の影響が過小評価されている」とみる。不確実性が高まれば、企業は設備投資を手控え、ひいては先進国景気に影を落とす。この悲観シナリオは捨てきれないという。1980年代の原油安は米国で貯蓄貸付組合(S&L)危機の遠因になった。
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 いまの金融市場でも相場の安定がずっと続くことを前提にした価格形成が修正を迫られるかもしれない。その1つが社債市場だ。

 「市場の流動性は見かけより枯渇している。流動性があるかのような幻想が生じている」。英中銀のイングランド銀行、カーニー総裁が昨年11月に鳴らした警鐘を、再び思い起こしている市場関係者は多い。

 世界の中銀の緩和マネーに支えられ、多くの投資家が格付けの低い社債や新興国債券など「ハイイールド債」をどんどん買い上げてきた。しかしいざ資金が逆回転を始めたとき、本当に次の買い手が現れるのか。

 主な資産運用会社が抱え込んだハイイールド債はこの5年で約7倍に急増。「売りたくても円滑に売れないリスク」に直面するとき、価格変動は必要以上に増幅される。これは住宅バブル崩壊後の米金融市場で見た風景だ。

 米シェール開発会社の破綻は信用リスクに視線が向かう契機になった。原油輸出国のロシアでは政府債務よりも、民間企業がドル資金を調達できるかに関心が向かい始めている。

 将来予測の前提が大きく狂ったあとの市場は、新たな足場探しに時間がかかる。市場関係者は一段と霧が濃くなった不安定な相場とつきあうことになる。(田口良成)

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