日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

原発の電気、新電力へ 経産省方針、小売り競争促す 取引所に供給 義務付け

2015年03月24日 | エネルギー:化石以外
〔15.3.24.日経新聞:1面〕


 経済産業省は原子力発電所が7月にも再稼働するのをにらみ、原発でつくった電気を電力小売りに新規参入する企業(新電力)も調達できるようにする。大手の電力会社に原発の電気を卸電力取引所(総合2面きょうのことば)に供給するよう事実上、義務づける。電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるようにし、電力小売りの競争を促す。

 九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は7月にも再稼働する。経産省はそれに合わせて、まず原発を再稼働した電力会社に余った電気を日本卸電力取引所(東京・港)に供給するよう指導する。

 いまも新電力は卸電力取引所で電気を調達できる。しかし原発の停止で電力が不足しており、電力会社から取引所への電気の供給は限られる。2016年4月には工場など大口の需要家だけでなく、家庭向けの電力小売りも自由化される。経産省は取引所への供給を増やし、電気料金の引き下げにつなげる考えだ。

 政府はいまの国会に「電力市場監視委員会」の設置法案を提出している。成立すれば、同委員会は今秋にも発足する。電力会社が原発の安い電気を取引所に流していなければ、同委員会が是正を勧告する。安い電気の供給がすすまなければ、経産省が改善命令を出せるルールをつくる。

 足元の取引所での売買価格は1キロワット時あたり10~15円なのに対し、原発の発電コストは数円程度とされる。安価なコストを反映した電気が取引所に流れれば、売買価格の低下が期待できる。

 同委員会は余った電気のうち、どれだけの割合を市場に供給しているかも調べる。「電力会社は余剰となった電気の3割を市場に流すべきだ」(新電力のエネット)との意見も上がっている。仮に供給量が少なければ、一定量を取引所に供給するよう義務づける法整備に乗り出す構えだ。

 経産省が原発でつくった電気を新電力に開放するのは、原発の再稼働で電力会社だけが得をしないようにするためだ。再稼働で電気料金は下がる見通しだが、安い電気を電力会社だけが独占すれば新電力の参入余地は限られる。

 経産省は将来、大手電力会社に原発で生んだ電気を原則すべて市場に供給させることも検討する。今後、原発への公的な支援の拡大は避けられず、世論の支持を得るには原発の活用で電気料金を引き下げる必要があるからだ。

 12兆円超とされる使用済み核燃料の再処理費用は現在、原発を抱える電力会社がほとんどを負担している。新電力との競争がすすめば、電力会社は必要額を払えなくなるおそれもある。経産省は新電力が負担する再処理費用を増やす制度の導入も視野に入れている。

▽きょうのことば 「卸電力取引所」 余剰電気を売買、100社超参加


▽…大手電力会社や発電所を持つ企業が、電力を売買する取引所。日本では2003年に日本卸電力取引所(JEPX)が設立され、15年3月時点で東電や東京ガス、日本製紙など100社超が会員となっている。電力会社などが余った電気を売買する「スポット市場」や、将来の特定期間に売買する「先渡し市場」などがある。

▽…電力の工場などへの大口販売は00年から段階的に自由化された。取引所は新たに電力販売に参入する企業(新電力)が電気を調達しやすくするために設立されたが、売買量は乏しい。13年度のスポット市場の売買高は約102億キロワット時と、販売電力量の1.2%にとどまる。電力自由化が進んだ北欧ではこの割合が86%に達する。

▽…新電力は電力会社やJパワーなどの余った電気を取引所に流すよう求めてきたが、進んでいない。原発停止で余った電気がないことが主因とされるが「電力会社が競争を妨げるために市場への供給を渋っている」との見方もある。取引所での売買価格は原発が停止して電気料金が高騰しているのを反映し、上昇している。10年度の平均売買価格は1キロワット時あたり8.4円だったが、13年度は約2倍の16.5円に上がった。足元では原油価格の下落などにより、10~15円前後で推移している。

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