日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

三菱重工、アレバ救済に苦悩 支援は経営リスク、断念なら海外暗雲 中国勢の影、原発事業岐路

2015年09月25日 | 15.機械
(日経9/25:企業総合面)
 経営再建中のフランス原子力大手アレバの中核子会社アレバNPへの出資を巡り、アレバと提携関係にある三菱重工業が難しい判断を迫られている。共同で取り組む新興国での原発設備受注拡大にはアレバを支える必要があるが、不振にあえぐアレバへの支援はリスクを抱え込むことになりかねない。三菱重工の原子力事業の行方を決める選択になる可能性がある。

  
三菱重工とアレバは2006年、原発事業で提携した

 アレバNPはアレバの100%子会社で原子炉製造を手掛ける。仏電力公社(EDF)が今後51~75%の株式を取得し、アレバ本体は最大25%を持つ枠組みが固まっている。両社は国外企業の出資も募っており、両社以外の持ち分が2割程度になる場合もあり得る。

 三菱重工は24日、「(両社と)アレバNPへの出資を協議しているのは事実」としたうえで「現時点で(出資を)決定した事実はない」とのコメントを発表した。

 三菱重工とアレバは2006年10月に原子力機器事業での提携を発表。折半出資で中型の加圧水型軽水炉(PWR)「アトメア1」を開発・販売する合弁を設立し、トルコではアトメア4基を建設する事業の準備が進む。ベトナムでの売り込みのほか、ブラジルでも受注を狙っている。アレバが揺らげば三菱重工の海外展開も鈍ることになる。

 アレバは14年12月期まで4期連続の最終赤字で、同期の赤字額は約48億ユーロ(約6400億円)と巨額だ。NPへの出資要請にはアレバと同じPWR技術を持つ三菱重工の参画で根幹の原子炉製造事業を安定させたいとの思いがある。フランスには約60の原発があり、機器交換や補修を委ねることも可能だ。三菱重工にはチャンスとも言える。

 それでも同社の小口正範取締役は「アレバへの支援は極めて変数が多い」とためらう。簡単に手を出せないのにはわけがある。

 アレバ再建には時間がかかるとの見方が大勢だ。同社はアトメアとは別に大型炉「欧州加圧水型炉(EPR)」を開発中だが、深刻な不具合によりフィンランドやフランスでの建設計画が大幅に遅れ、赤字体質の元凶になっている。東京電力・福島第1原発の事故以降、ドイツなど欧州では脱原発の動きも出ている。

 三菱重工自体も造船事業や旅客機「MRJ」事業など課題を抱える。社内には「アレバNPに出資すれば株主に説明がつかない」(幹部)と慎重論がある。

 さらに大きな「変数」が中国だ。EDFは中国の原発関連企業にも出資を要請したもよう。EDFと組んで中国でEPRを建設中の中国広核集団(CGN)などが有力候補だ。仏側は資金確保とともに原発建設計画が目白押しの中国市場を狙う。「中国側も核燃料の再処理技術などが手に入れば御の字のはずだ」と日本政府関係者はみる。

 NPへの日中出資は原発技術が中国に漏れるリスクをはらむ。三菱重工の最大の懸念だ。だが日本抜きの仏中連合となれば海外原発市場でアトメアと競合関係になる。いずれも三菱重工には痛しかゆし。どう臨むか。原発をインフラ輸出の柱とする政府の判断も影響を与えそうだ。(上阪欣史)


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